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しおりを挟むカラフルで特徴的な服が並ぶ古着店は気分が上がる。古着を用いるストリートファッションも自分は好きだ。
だが今日のお目当てはそれだけでは無い。
変わったボタンや個性的なジッパーを収集するために今日は訪ねた。
さすがにそれを売り物につけたりはしないが、自分ようにリメイクしたりデザインの参考にしたりする。
湧を連れてはなかなか来れないし、今まで来れなかったぶん、贅沢しちゃおうと思う。
「…俺もこういうの似合うか?」
「似合うと思いますよ、潤也さんは何着ても似合うと思います」
慣れない様子でオーバーサイズのトレーナーを手に取った彼に思わず言い切ってしまう。
でも間違ってはいない。
育ちの良さが滲み出てしまうけれどそれもまた一興。
崩してフランクな外見から滲む内面の上品さ、とてもいいものになる。そう考えると妄想が止まらない。
大きな紙袋を持ってお店を出ると久しぶりの買い物に満足感がある。
潤也さんに合わせてワンコーデ組んでみたが気に入ってくれたようなので買ってしまった。
「付き合ってもらってすみません、潤也さんは行きたいとこありますか?」
「あぁ、さっき調べたとこがあるんだ。…そこに行きたい」
「わかりました、連れてってください」
差し出された彼の手を取り歩き始める。
こうして自然に手を繋げるようになったのもいつからなのだろう。
彼と結婚して1年ほど経っただろうか。長かったような、早いようなそんな気がする。
「ここだ」
幸せをかみ締めながら潤也さんが立ち止まったのは洋風な小さなお店。
小さなショーウィンドウ。
「…お前と2人の記念…というか、そんなものを作りたかったんだ。…それで湧が大きくなったら今度は3人で…って思って」
カップルや家族の記念品の専門店らしい。
お店に入ると潤也さんが手際よく手続きをしてくれて、一緒に品物を選ぶ。
潤也さんと2人のシルエット。元の写真は結婚式のものではなくて、今撮ってもらうことにした。
特別な服でもなんでもないけれど、笑顔で撮れるのなら一番いいと思った。
お皿に印刷してもらって、後日家に届けてくれるらしい。
「楽しみですね」
「そうだな」
嬉しそうに笑ってくれる彼がとても愛おしく感じて握っている手に力を込める。
その後もゆっくり話をしながらウィンドショッピングをしたり、アイスを食べたりとデートを満喫して湧を迎えにタクシーへ乗り込んだ。
「湧元気そうですよ」
タクシーの中でお義母さんから送られてきた湧の写真を見せると潤也さんの顔が緩む。
「可愛いな…。帰ったら俺もいっぱい遊ぶ」
屈託のない笑顔でお義父さんに抱かれる携帯の中の湧を見て「そうですね」と頷いた。
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