土偶と呼ばれた女は異世界でオッサンを愛でる。R18

来栖もよもよ&来栖もよりーぬ

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カメコン【6】

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「大旦那様、リーシャ様は右斜め25度位が平面的な美しさが見せられてベストでございます!
 それとお子様たちは躍動感のあるダンスのシーンは如何でしょうか?
 ああ、ブレナン様今の空を見つめる表情最高ですわ! クロエ様もアナ様も木の木馬がこれほど似合う少女がこの世にいるでしょうか? 否!
 グエン、新しいフィルムを!」
 
 
 公園で自らマイカメラを駆使した篠山ルーシーは、フィルムを何度も取り替えながらパシャーパシャーと私たちを撮影している。
 
 平面的な美しさって言われてもなあ。民族的にのっぺりしてるだけだと思うんだけども。
 
 そして、お義父様のカメラアングルにも口を挟むようになった。
 
「そうか。──1人ずつもいいが、2枚しか出せないから、ここはやっぱり4人とリーシャが一緒に遊んでるシーンも撮りたいな」
 
「ご慧眼でございますわ! あの6人乗りのブランコに乗って楽しそうに揺れる聖母と天使たち、というイメージはどうでしょう?」
 
「いいぞルーシー! それで行こう!」
 
 
 モデルになってる私や子供たちは結構疲れているのだが、お義父様もルーシーもやる気に満ち溢れている。
 
 ブランコに移動しつつも、
 
「そろそろ良くないかしらね? もうフィルム5本は使ってると思うのだけど」
 
 とルーシーに訴えたが、
 
「秋晴れ、絶好の被写体、のどかなイメージ高まる田園風景のロケーション。
 この時に撮り溜めしないでどうするのですか。
 周囲のアマチュアカメラマンには引き出せないリーシャ様やお子様たちの魅力を私や大旦那様がバッチリ引き出して見せますわ!」
 
 と取り合ってくれない。
 
「私からポロリと引き出せるものなんてもう腐女子のマインド位しか残ってないじゃないの」
 
「それは奥底にしまっておいて頂かないと色々と問題がございますからポロリ禁止でお願い致します。
 ポロリするのは大人の色気と妖艶な微笑み辺りで」
 
「在庫処分セールでとうに売り切れたわねえ。あら、元から在庫になかったかも知れないわ」
 
「──ねえ母様、ヨウエンってなあに?」
 
 クロエが私を見た。
 
「妖艶? うーん、人の心を惑わすほど美しい様子、とかかしらねえ」
 
「じゃ大丈夫。母様にいっぱいまどわされてる人沢山いるから。学校のお友だちのお父さんとかお母さんとか、ここで写真撮ってる人とか。
 でも大人の色気とかは……えっと、あの」
 
「こら、ダメだろクロエ。僕たちだってそこには触れないようにしてるのに」
 
 ブレナンが注意する。
 
「問題ないよ。母様に色気がなかろうと綺麗だし、僕らの母様には変わらないんだから」
 
 カイルにまで色気なし宣言された。
 少しは母親に対して気遣いをしたまえ君たち。
 自分で言うのと人から言われるのは違うんだぞー。
 
 そこでふと思う。
 
「やっぱりダークにもそう思われてるのかしら……」
 
 三十路になり若さまでこれからなくなる一方だと言うのに、若い子には出せない大人の色気までこれからもなかったら、他の色気ムンムンな女性に誘惑されるのでは。
 
 そうよ考えてみたら私なんてチチも貧相だし、痩せてるとは言っても別にスタイルがいいとか言う訳じゃないものね。
 
「色気って、どうしたら身につくのかしらね……」
  
 もっと胸元の露出度を上げても、ポヨンポヨンと揺れもしないチチでは色気も出る訳がない。
 残すはお尻かしら? ヒップアップのストレッチを増やしてきゅっと小股の切れ上がった感じにすればあるいは……。
 
 私がウンウン脳内会議を繰り広げていると、
 
「──シャッ、リーシャ!」
 
 と呼び掛ける声がする。
 え? とキョロキョロ辺りを見回すと、何とダークが走ってこちらにやって来るではないか。
 
「ダーク! お仕事はどうしたの?」
 
 少し息を切らして私の前に立つマイダーリンは、額の汗さえもキラキラと麗しい顔を引き立てるエッセンスである。いつみても私の旦那様とは思えないほどの美形で目眩がする。
 
「リーシャがいないと眠れなくて、書類を全部家に持ち帰って夜中にも処理してたら捗ってな。ヒューイが思ったよりも片づいたから行ってこいと今日明日休みにしてくれた。明日には帰るんだろう?」
 
 わー父様だ父様だーと背中や腰に張りついてくる子供たちをそのままに私の手を握る。
 どうでもいいが放置できる筋力がすごいわ。
 
「勿論よ。ここものんびりしていいところだけど、ダークがいないと寂しいもの。
 でも、何で手を握るの? いつもならぎゅーっと抱きしめてくれるのに」
 
「いや、早朝から馬を飛ばしてきたから、その、汗臭いし、服が汚れたらいけないと。
 それに周りに沢山人もいるから……」
 
 
 このバカ旦那は、未だに不細工な自分が近くにいると私や子供たちに嫌な思いをさせるんじゃないかという不安感が拭えない。
 
 
 本当にバカで、バカで、愛すべき人だ。
 
 
 私は自分から抱きついた。ぐりぐりと厚い胸板に頬を押しつける。
 
「ちょっ、リーシャッ、」
 
「何よ。旦那様に妻が抱きついたらいけないの?
 子供だって引っついてるのにズルいじゃない」
 
「……全く、ウチの奥さんは、本当に……」
 
 ぎゅーっといつも通りに抱きしめてくれた。 
 あーやっぱりダークが大好きだ。
 
 
「……リーシャ様」
 
 ダークの匂いを堪能していると、ルーシーがそっと声をかけてきた。
 
「あ、撮影途中だったわね。ごめんなさいルーシー」
 
 慌ててダークから離れた。
 ダークも子供たちを抱きしめてはぺりっと自分から剥がしている。
 
 
「リーシャ様は、旦那様といる時が一番幸せそうでいい笑顔ですし、旦那様も……いっそ大旦那様やモリー様も入っての家族写真にするのはどうでしょうか?
 勿論私が撮影しますわ」
 
 ルーシーはそんな提案をすると、早速お義父様たちのところへ向かって行った。
 
「……いいのか? 優勝したいとか言ってたのに俺が入ると絵面として……」
 
「もうダーク、せっかくのファミリー写真なんだから一緒に撮らないと勿体ないわよ。ウチの分も余分に現像して貰って家に飾りましょう?」
 
「……そうだな。出品するかはともかく、記念に撮って貰うのはいいよな」
 
「父様と一緒~♪」
 
「お祖父様やモリーおば様とも一緒~♪」
 
 
 浮かれる子供たちを連れルーシーの元に向かうと、お義父様も遠慮していた。
 
「いや、私なんかが入るとせっかくの綺麗な写真が……」
 
 お義父様もシャインベック家の不細工の呪いにかかってるわねえ。
 
「お義父様、モリー。私たち皆で写真に撮って貰いたいです。家族ですもの。子供たちも楽しみにしてますから。ねー?」
 
「「「「はーい」」」」
 
「リーシャ……」
 
 涙ぐむお義父様とモリーさん。
 
 いやむしろハリウッドスターと図々しく一緒に記念写真撮って貰う感覚だからねこっちは。
 
「父さん、モリーも一緒に撮ろう。こっちの屋敷にも是非飾って欲しい」
 
 ダークがお義父様たちに笑顔を向けた。
 
「はい皆様。そろそろ現像の締め切り時間が迫っておりますので撮影に入らせて頂けますか?」
 
 ルーシーがてきぱきと進め、私たちシャインベックファミリーの写真を大量に撮影してくれた。
 
 
 
 受付にフィルムを預けて、私たちは町に買い物に出た。私がずっと手を繋いでいるダークを見てぎょっと2度見する人もいたが、やはりお義父様の血筋が感じられるのか、
 
「シャインベック家の息子さんだとさ」
 
「騎士団でトップだってねえ。出世したもんだよ」
 
「流石にいい体格してるねえ。いい奥さん貰って子沢山で幸せそうだね」
 
 と概ね好意的で、ダークの顔を見てしかめっ面をする人は殆どいなかった。
 
 
 チーズおかきやチーズスティック、レアチーズタルト、チーかまみたいなのまで有ったので屋敷の留守番組へのお土産も含めて大量に買い込んで、料理に使うカマンベールやモッツァレラ、クリームチーズにチェダーなど流石にチーズが名産の町だけあって豊富にあったので一通り買った。
 ヨーグルトも牛乳も数日は持つと言われて味見したら美味しかったのでまとめ買いした。
 
 
 
 
「リーシャ、そんなに買って帰って食べられるのか?
 太るんじゃないかー?」
 
 屋敷に戻って、山のような乳製品が積まれた馬車の荷台を見ながらご機嫌な私にダークがからかった。
 
「……少し位は太った方がチチやお尻の肉も増えるかも知れないわ」
 
 私は子供たちに色気がないと言われたのよ、としょんぼり呟いた。
 
「色気? いやアリアリだがな?」
 
「お世辞はいいのよ。確かに私も足りないんじゃないかとずっと思ってたから。
 でもこのままじゃ大人の色気がないまま、おばちゃんになりおばあちゃんになったら困るじゃないの」
 
「……色気をこれ以上増して、どうしたいのかな俺の奥さんは?」
 
 何でか負のオーラがダークの背中に見えるんだけど。
 
「え? だって男の人は大抵色気のある人が好きだったりよろめいたりするじゃないの」
 
「だから、なんで、色気を増したいんだ?
 よろめかせたい人でも出来たのか?」
 
 
 んー? これはもしや焼きもちだったのか?
 
 
「……騎士団に気になる人がいるわね」
 
 しかし一生ダークだけだと言ってるのに何度疑えば気が済むのだと少々苛ついたのでぼかしてやった。
 
「騎士団にっ!……そいつは、イケメンなのか?」
 
 動揺したダークは、私に詰め寄った。
 
「まあ、恐ろしい程のイケメンよね」
 
「リーシャがイケメンというなら第3か第4だな?
 若いのか? まさかもう深い関係になったとか……」
 
 自分から聞いといて耳を塞ぐな。
 
「毎晩のように一緒に寝てるわよ?」
 
「何だと?! いやまさか毎晩俺が抱きしめていたと思ったリーシャは幻なのか?」
 
 私はええかげんにせいとふくらはぎにキックを入れた。全然効いてない。
 
「騎士団の彼はダークって言ってね、若くもないオッサンだけど、私が唯一気になる人よ。
 何勝手に人を浮気者みたいに」

「──だが、色気を増したいとか……」
 
「旦那様がこの先セクシーボディの色気ムンムンの女性に誘惑されないように、少しでも色気ある妻になりたいと思うのはそんなに不思議なことなの?」
 
「いや全く!……だが色気をつけようとするのは止めてくれ。只でさえ充分過ぎるのに、これ以上注目を浴びるような状態になったら俺は不安で命が幾つあっても足りないじゃないか。
 それに全くモテないオッサンの心配はするな。
 色気ムンムンな女性なんぞ来ないし、万が一あったとしても俺はリーシャ一筋だ。浮気なんかする訳がない」
 
「でもー、爆乳に顔を埋めたいとかナニを挟まれたいとか男性の果てない夢だって」
 
「誰がそんなこと言ったんだ」
 
「……グエンさん」
 
「アイツはルーシー自慢をしたいだけだ!
 俺にはそんな果てない夢はないぞ!」
 
「……それじゃ、男性にはそんな夢はないと?」
 
「……まあ、人によってはあるかも知れないが、少なくとも俺はない」
 
 そうだルーシーはチチが確かに大きかった。
 
 グエンさんは全男性の憧れが自分に訪れたとのろけていた気がするわね。
 
「じゃあ、チチもお尻も貧相でも浮気しない?」
 
「しない。貧相じゃないし、俺には最高だ」
 
 もう、驚かさないでくれと抱きしめられたが、勝手に私の浮気を疑うのはいつもダークである。
 でも私はこの心配性の旦那様がやはり一番好きだったりする。
 
「……でも、チーズは食べるわよ」
 
「誰かの為でなければ幾らでも。俺より太ってもずっと愛してるから問題ない」
 
 
 
 嬉しそうに頭を撫でるダークに、いやー嬉しいけどそれはちょっと問題あるよなー、腰にもくるし、と現実的な考えも頭をよぎるのだった。
 
 
 
 
 
 
 そして翌日、ファミリーとして最後に撮った家族の写真が板看板に貼られ、ぶっちぎりの最高得票数でお義父様が優勝したが、撮影者はルーシーなんだけどなー、という素朴な疑問は持ちつつも心にナイナイし、後から現像してひとまとめに送ってくれた家族の写真は、我が家の居間に飾られる事になった。
 
 
 
 
 
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