土偶と呼ばれた女は異世界でオッサンを愛でる。R18

来栖もよもよ&来栖もよりーぬ

文字の大きさ
249 / 256

敵襲じゃー【4】

しおりを挟む
「──それじゃダーク、済まないがリーシャと子供たちは数日拉致という事で。
 丁重にもてなすから安心しろ」
 
「当たり前ですよ」
 
 
 
 2日後、私とルーシー+4匹の子猿たちは、お義父様とモリーと一緒にポルタポルタ町へ出発する事になった。……何故かグエンさんもいる。
 
「……何でグエンさんが? 流石にダークと一緒で休み取れないでしょうに」
 
 と不思議に思って聞いたところ、
 
「やだなぁ僕とルーシーは新婚ですよ? 
 離ればなれで数日とかもう命に関わりますから。
 それにヒラの一団員ですから、多少の融通は利くのです。今までまともに有給を取ってなかったですし。
 男手もあると何かと便利ですし」
 
 とニコニコとルーシーの隣の席に座ってご機嫌である。便利ですし、じゃねえわ。
 数日で命に関わってたまるかい。
 そんなこと言うたら船乗りの妻はみんな未亡人じゃ。
 
 流石にウチの馬車には子供たち含めて総勢7名は無理だったので、お義父様の馬車にカイルとブレナンを乗せてもらう事にした。
 
「リーシャたちが何日もいないなんて、俺のメンタルヘルスはどうなるんだ……」
 
 ダークが深刻な顔で嘆いていたが、一応騎士団のトップなのだし、残念だけど仕方がない。
 遊んでばかりのトップというのは部下が付いてこないものである。
 
「ダーリン頑張ってね。お土産沢山買って帰るから!」
 
 私は馬車から手を振った。
 
「いや、みんなが元気に帰って来てくれればそれだけで充分だ。リーシャ、早く戻って来てくれ」
 
 お義父様の馬車から手を振るカイルやブレナンにも手を振りつつ、切実な様子のダークは相変わらず無駄に輝く美貌で目がしぱしぱする。
 
「分かってるわよ。浮気しないでねー」
 
「バッ、する訳ないだろう!」
 
 本気で怒り出す前に「冗談よ、愛してるー!」と大声で叫んで投げキスを送った。
 
 顔を赤くしながらも「俺もだーっ!」手を振る旦那様はやっぱり私のイチオシである。
 
 窓を閉めて座り直すと、真ん前のルーシーが呆れたような眼差しで私を見ていた。隣を見ると、アナとクロエは恥ずかしそうである。
 
「……リーシャ様。もう結婚されて何年目でございますか?」
 
「えーと、13年目になるかしらね?」
 
「旦那様はまあモテなかったそうなので仕方ないとしても、リーシャ様は未だに私がストーカーを潰すほどモテモテなのです。
 町に出ると『リーシャさんが離婚をしたら即日プロポーズする!』と狙っている男性が引きも切らずという傾国の美貌の淑女でございますよ?」
 
「まあ。こんな子持ちの年増にとは奇特な方もいたものね。残念ながら絶対離婚しないけど。
 ……ダークは誰にも渡さないわよ?」
 
「旦那様にほぼ需要はございませんわ。
 ですからいい加減もっとこう、近寄りがたい気高さとか、厳かな気品ですとかですね、そういうのに目覚めても良いのではと。
 女神の美貌の安売りはよろしくありませんわ」
 
 私はまた始まったかと足を伸ばした。
 
「えー、でもダークがいればいいんだもの私。
 ダークが悲しむような真似はしたくないわよ」
 
 いきなりそんなツンケンした態度に変わったら、ダークがやっぱり俺との結婚を後悔してとか泣いちゃいそうだし、私に気高さとか気品など存在した記憶はない。
 
「アナもクロエも母様は今のまんまの方がいいわよねー?」
 
 隣の子供たちに聞いてみると、
 
「母様は今のまんまでいいと思うよ。今更だし」

「クロエもジークと母様たちみたいにずっと仲良しでいたいなー♪」
 
「……母様はむしろクロエとジークともっと仲良しになる前にどうにかしたいものだけど、こればかりはどうしようもないものね……っとと」
 
 小声で本音が洩れるが、クロエたちには聞こえなかったようで何よりだ。
 
「ねえところで、ポルタポルタ町は何が名産なのルーシー?」
 
 海はそれほど近くないし海産物は無理よねえ。
 あったとしても列車通ってないし傷むわ。
 
「乳製品と肉ですかしら?」
 
「あー、美味しいんだってねポルタポルタのチーズとか。あとハムも有名みたいだよ、ほら。
 ウチも買ってこうよ」
 
 グエンさんが頷いて小さなガイドブックを開いて見せてくれた。
 
「……新婚旅行継続中なのかしらねぇルーシー?
 まあお熱い事で。ほほほほほ」
 
 私はルーシーを見て微笑んだ。
 
「……グエンの事は、臨時の荷物持ちのバイトとでも思っていて下さればと。誠に申し訳ございません。
 わたくしはきつく仕事だからと申したのですが、さっさと休みをまた取って来ていたのです」
 
「愛する妻の仕事を陰ながらサポートするのが夫としての僕の役目です。シャインベック夫人なら分かって頂けるかと」
 
「まあ、そうですわね」
 
 ダークがいないのにラブラブアピールされるのはたまったもんじゃないが、ルーシーが何だかんだ言っても幸せそうだからいいか。
 ルーシーの丸め込みと塩対応にびくともしないグエンさんも強者だ。
 
「チーズね……ピザとグラタンとフォンデュ用に沢山買って帰りましょうか。好きだものね子供たちみんな」
 
「わーいトーストもー!」
 
「チーズケーキ用にもー!」
 
 
 よし、君らはカメラのモデルとして私の代わりに頑張ってくれたまえ。賄賂がチーズなら安いものさ。
 わははははは。
 
 内心で勝利の高笑いを上げながら、私たちを乗せた馬車は、のんびりと進んでいくのであった。
 
 
 
 
 

 
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

【完結】男の美醜が逆転した世界で私は貴方に恋をした

梅干しおにぎり
恋愛
私の感覚は間違っていなかった。貴方の格好良さは私にしか分からない。 過去の作品の加筆修正版です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!

ゴルゴンゾーラ三国
恋愛
 異世界転生をするものの、物語の様に分かりやすい活躍もなく、のんびりとスローライフを楽しんでいた主人公・マレーゼ。しかしある日、転移魔法を失敗してしまい、見知らぬ土地へと飛ばされてしまう。  全く知らない土地に慌てる彼女だったが、そこはかつて転生後に生きていた時代から1000年も後の世界であり、さらには自身が生きていた頃の文明は既に滅んでいるということを知る。  そして、実は転移魔法だけではなく、1000年後の世界で『嫁』として召喚された事実が判明し、召喚した相手たちと婚姻関係を結ぶこととなる。  人懐っこく明るい蛇獣人に、かつての文明に入れ込む兎獣人、なかなか心を開いてくれない狐獣人、そして本物の狼のような狼獣人。この時代では『モテない』と言われているらしい四人組は、マレーゼからしたらとてつもない美形たちだった。  1000年前に戻れないことを諦めつつも、1000年後のこの時代で新たに生きることを決めるマレーゼ。  異世界転生&転移に巻き込まれたマレーゼが、1000年後の世界でスローライフを送ります! 【この作品は逆ハーレムものとなっております。最終的に一人に絞られるのではなく、四人同時に結ばれますのでご注意ください】 【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』『Pixiv』にも掲載しています】

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

処理中です...