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家族旅行。【4】
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【ダーク視点】
「……ほっほっほっほっ」
「……はっはっはっはっ」
「……ふっふっふっふっ」
市場に来てからものの1時間で、怪しげな含み笑いをしながら取りつかれたように店を廻り魚介類を買い漁ったリーシャと子供たちを見て、ルーシーに小声で、
「普段は自分の見た目の話をされると鳥肌立てるほど嫌がるのに、買い物の時には逞しいなリーシャは」
と耳打ちした。
「そうですわね。だいぶ前になりますが、
『こんな顔でもより良い値引きの武器になるのなら、クーポンと同じよ。幾らでも使ってやるわよ。ダークと食べ盛りの子供たちと屋敷の家族の為に!』
と、鏡で笑い方の練習をしておりましたわ。
何度も『……さむっ』ですとか『こんな、ええ美人ですけど何か?みたいな演技、私に実践出来るのかしら』などと言いながら床を転げ回っておりましたが、1時間位でしたらギリギリ持ちましたわね」
ルーシーがポケットからメモを取り出して何か書き込んでいた。
「なあルーシー、たまにメモをしてるので気になっていたんだが、それには何が書いてあるんだ?」
「こちらですか?この世の全てですわね。
……と言うのは冗談ですが、仕事の覚書とリーシャ様やお子さま達の操縦マニュアルでございます」
この世の全て、と言うのが全く冗談に聞こえない。
俺には、ルーシーがリーシャに対して結構ザツな扱いをしているように思える事もあるのだが、リーシャの彼女への信頼は揺らがない。
と言う事は、あのメモ帳は俺にとってはかなりのお宝である。
「ルーシー、俺にはちょっとだけ見せてくれても──」
「なりません。旦那様はリーシャ様やお子さま達の扱いを人の知識任せにする御方なのですか?
楽をして私の血と汗と涙の結晶を容易く得ようなどと思っておられたのですか?」
ルーシーの呆れたような眼差しに俺は慌てて弁解した。
「ち、違うぞ!そうじゃなくてだな、俺はリーシャたちを幸せにする為の努力は惜しまない!
……だが、それが正しいのかどうか不安になるんだ」
リーシャはただでさえ傾国の美貌と呼ばれたたぐいまれな美しさだし、リーシャの血を色濃く受け継いだ子供たちも『シャインベック家のフォアローゼズ』などと言われているほどだ。
俺がもしポックリ逝ったら、喪が明ける前から再婚話が山のように来るに決まっている。
そんな自分には過ぎた幸せであるリーシャや子供たちを、俺は本当に幸せに出来ているのだろうかと常にどこかで考えてしまうのだ。
「──シャインベック指揮官どの」
ふとグエンが俺に声を掛けた。
「……ん?」
「きっと、シャインベック夫人もお子さん達も、幸せだと思いますよ?だって、皆で食べるためにあんな身体中が痒くなるようなことして頑張ってるじゃないですか」
リーシャと子供たちを見ると、戦果を誇らしげに語りながらも、手足をボリボリと掻いている。
なんであそこまで見た目通りに振る舞う事を嫌がるのか不思議で仕方ないが、リーシャの血と育て方なのだろう。
「僕とルーシーの子供もあんなにいい子に育ちますかねえ?ねえどう思うルーシー?」
「どう考えてもベースがわたくしですので、あんな素晴らしい子供は生まれないと思いますが、グエンの血が強くなれば良いところいけるのではないかと」
「ルーシーみたいな可愛い娘が欲しいなー」
「わたくしも結構いいトシですので、何人も生むのは難しいと思いますが」
「ん?別に生まれなければ生まれないで構わないよ。ルーシーと家族になりたかっただけだから。
子供は神様からの授かり物だしね。
ルーシー独り占め出来るからそれはそれでいいさ」
「……動きにくいので引っ付かないで頂けますか」
「え?イヤなの?僕と一緒にいるの」
「仕事中だと何度も言ってますで……そんな落ち込まれるとわたくしが悪いみたいではありませんか」
しょんぼりしたグエンを無表情でたしなめているように見えるが、あれは結構動揺しているな。
なかなかどうして、似合いの夫婦である。
俺も、リーシャや子供たちの夫であり父親なのだから、もっと自信を持たないと駄目だな。
部下に慰められるようじゃおしまいだ。
自嘲気味に笑みを溢すと、リーシャがこちらを見て、
「ダーク!これ早く屋敷に送らないとだから、荷物持つの手伝ってーー!」
と手招きした。
「分かった!」
俺は荷物を受け取りながら、後で釣り用の撒き餌も買わないと、と思い出した。
「なあリーシャ」
「なあに?」
「子供たちはみんな釣りやるのかな?」
「私とダークは当然として、そうよね。聞いてなかったわ。ねえー、みんな今回釣りはするのー?」
「「やるー!食べ放題~♪」」
「「タダのお魚ーー!!」」
子供たちはタダ、と言う所が重要らしい。
リーシャ同様、キャッチアンドイートの精神で何よりだ。
「そうか。じゃ、俺たちは竿持ってるから、子供たちの竿借りれるかも聞かないとな」
そんな話をしながら配送受付の方へ歩いて行くと、
「……ほほー、家族で釣りとは珍しいですのう」
と声がして振り返ると、人の良さそうな50前後の丸っこい男性と、これまたコロコロしたカイルかブレナンと同じ位の年齢の女の子がニコニコと笑みを浮かべていた。
「……ほっほっほっほっ」
「……はっはっはっはっ」
「……ふっふっふっふっ」
市場に来てからものの1時間で、怪しげな含み笑いをしながら取りつかれたように店を廻り魚介類を買い漁ったリーシャと子供たちを見て、ルーシーに小声で、
「普段は自分の見た目の話をされると鳥肌立てるほど嫌がるのに、買い物の時には逞しいなリーシャは」
と耳打ちした。
「そうですわね。だいぶ前になりますが、
『こんな顔でもより良い値引きの武器になるのなら、クーポンと同じよ。幾らでも使ってやるわよ。ダークと食べ盛りの子供たちと屋敷の家族の為に!』
と、鏡で笑い方の練習をしておりましたわ。
何度も『……さむっ』ですとか『こんな、ええ美人ですけど何か?みたいな演技、私に実践出来るのかしら』などと言いながら床を転げ回っておりましたが、1時間位でしたらギリギリ持ちましたわね」
ルーシーがポケットからメモを取り出して何か書き込んでいた。
「なあルーシー、たまにメモをしてるので気になっていたんだが、それには何が書いてあるんだ?」
「こちらですか?この世の全てですわね。
……と言うのは冗談ですが、仕事の覚書とリーシャ様やお子さま達の操縦マニュアルでございます」
この世の全て、と言うのが全く冗談に聞こえない。
俺には、ルーシーがリーシャに対して結構ザツな扱いをしているように思える事もあるのだが、リーシャの彼女への信頼は揺らがない。
と言う事は、あのメモ帳は俺にとってはかなりのお宝である。
「ルーシー、俺にはちょっとだけ見せてくれても──」
「なりません。旦那様はリーシャ様やお子さま達の扱いを人の知識任せにする御方なのですか?
楽をして私の血と汗と涙の結晶を容易く得ようなどと思っておられたのですか?」
ルーシーの呆れたような眼差しに俺は慌てて弁解した。
「ち、違うぞ!そうじゃなくてだな、俺はリーシャたちを幸せにする為の努力は惜しまない!
……だが、それが正しいのかどうか不安になるんだ」
リーシャはただでさえ傾国の美貌と呼ばれたたぐいまれな美しさだし、リーシャの血を色濃く受け継いだ子供たちも『シャインベック家のフォアローゼズ』などと言われているほどだ。
俺がもしポックリ逝ったら、喪が明ける前から再婚話が山のように来るに決まっている。
そんな自分には過ぎた幸せであるリーシャや子供たちを、俺は本当に幸せに出来ているのだろうかと常にどこかで考えてしまうのだ。
「──シャインベック指揮官どの」
ふとグエンが俺に声を掛けた。
「……ん?」
「きっと、シャインベック夫人もお子さん達も、幸せだと思いますよ?だって、皆で食べるためにあんな身体中が痒くなるようなことして頑張ってるじゃないですか」
リーシャと子供たちを見ると、戦果を誇らしげに語りながらも、手足をボリボリと掻いている。
なんであそこまで見た目通りに振る舞う事を嫌がるのか不思議で仕方ないが、リーシャの血と育て方なのだろう。
「僕とルーシーの子供もあんなにいい子に育ちますかねえ?ねえどう思うルーシー?」
「どう考えてもベースがわたくしですので、あんな素晴らしい子供は生まれないと思いますが、グエンの血が強くなれば良いところいけるのではないかと」
「ルーシーみたいな可愛い娘が欲しいなー」
「わたくしも結構いいトシですので、何人も生むのは難しいと思いますが」
「ん?別に生まれなければ生まれないで構わないよ。ルーシーと家族になりたかっただけだから。
子供は神様からの授かり物だしね。
ルーシー独り占め出来るからそれはそれでいいさ」
「……動きにくいので引っ付かないで頂けますか」
「え?イヤなの?僕と一緒にいるの」
「仕事中だと何度も言ってますで……そんな落ち込まれるとわたくしが悪いみたいではありませんか」
しょんぼりしたグエンを無表情でたしなめているように見えるが、あれは結構動揺しているな。
なかなかどうして、似合いの夫婦である。
俺も、リーシャや子供たちの夫であり父親なのだから、もっと自信を持たないと駄目だな。
部下に慰められるようじゃおしまいだ。
自嘲気味に笑みを溢すと、リーシャがこちらを見て、
「ダーク!これ早く屋敷に送らないとだから、荷物持つの手伝ってーー!」
と手招きした。
「分かった!」
俺は荷物を受け取りながら、後で釣り用の撒き餌も買わないと、と思い出した。
「なあリーシャ」
「なあに?」
「子供たちはみんな釣りやるのかな?」
「私とダークは当然として、そうよね。聞いてなかったわ。ねえー、みんな今回釣りはするのー?」
「「やるー!食べ放題~♪」」
「「タダのお魚ーー!!」」
子供たちはタダ、と言う所が重要らしい。
リーシャ同様、キャッチアンドイートの精神で何よりだ。
「そうか。じゃ、俺たちは竿持ってるから、子供たちの竿借りれるかも聞かないとな」
そんな話をしながら配送受付の方へ歩いて行くと、
「……ほほー、家族で釣りとは珍しいですのう」
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