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美しい食事

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 おそらく夫婦で経営しているのだろう。同じく50代ほどの男性が料理を作り始めた。しばらくの間、その様子を2人で眺めていた。
「あなたは料理とかするの?」
彼女が僕の方を向いて尋ねた。
「たまにね。両親が忙しい時なんかは。」
「男の子なのに珍しいわね。」
「暇だからね。」

「君は料理するの?」
「うん。気が向いたときはね。」
「君は料理してそうだと思ってたよ。」
「"暇だからね"」
僕らは笑い合った。そうしているうちに料理が届いた。一旦は僕の方にオムライス、彼女の方にシーフードパスタが置かれた。そして僕は取り皿を1つ頼んだ。
「1つでいいの?」
彼女は不思議そうに言った。
「オムライスを半分にして取り皿に乗せる。その空いたスペースにパスタを乗せるんだ。」
「なるほど。あなた数学が得意だものね。」
彼女はクスリと笑った。
「関係あるのかな?」
そうして僕らは2つの料理を分け合い、食べ始めた。

彼女はとても美味しそうにご飯を食べる。僕は食べるのを忘れて彼女を眺めていた。
「そんなに見られたら恥ずかしいじゃない。」
また言われた。
「ごめん。」
僕は慌てて顔をそらして料理を食べ始めた。

「私ってそんなに可愛い?」
 からかうように僕の目を覗き込みながら微笑んだ。
「うん。」
 僕は顔を熱くしながら小さく頷いた。
「ありがとう。」
彼女は僕の頬を小突く。
「ほら、食べましょう。」
 料理はどちらも美味かった。オムライスは主張がなく庶民的で優しい味だった。シーフードパスタの方は上品さもありつつ、やはり庶民的で美味かった。
 ほぼ同時に僕らは食べ終わった。彼女はメニュー表を僕の方に向けながら言った。
「カフェオレでも飲もうかな。あなたも何か頼む?」
「僕はアイスコーヒーにするよ。」
 彼女が注文してから、およそ2分後に飲み物が運ばれてきた。僕らはしばらく黙って飲んでいると、彼女はストローから口を離して言った。
「いつもあなたはブラックなのね。」
「そういえばこの前も、君はそんなことを言っていたような。」
「うん。」
「どういうことなの?」
 彼女はカフェオレを一口飲んでから言った。
「私のこと嫌いにならないでね?」

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