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「葵晴、葵晴」
何度、精を搾り尽くしたかわからない程、貪欲に絡まり合って。
途中で意識を失っていたらしく、快楽の熾火を残す頬をぺちぺちと叩かれて朧気に瞳を開けると暖人の腕の中に居た。
幾度も孔に吐き出された暖人の熱はスッキリ拭われていて、散々腹に飛ばした己の精も、流した汗も綺麗に清められて身体がサラサラしている。
昔から暖人はこういうところ、マメだったりする。
「ん……。何時……? 暖人……帰る……?」
脱がせ合った衣服が乱雑にベッドに散らばっていて、こんなの六年間の中で当たり前の光景だったのに何だか恥ずかしい。
「四時。起こして悪ぃな。寝かせてやりてぇけど、まだ、ちゃんと葵晴の気持ち聞いてねぇから帰れねぇんだ」
途端、僕は頬に熱を集めて。
まだぼんやりする頭の中で、それでも暖人の腕の中で身じろいで、そっと言葉を紡ぐ。
「攫って?っていうのは、無理矢理暖人のものにして?って意味だけど?」
「もう一度、俺を信じてくれんの? 俺が一緒にいても辛くねぇ?」
僕はゆっくり暖人の背に腕を回しながら、その首筋にもう一度吸い付いて、僕だけの証なんだって、鬱血痕を残す。
「僕は、もう誰かを信じるのが怖かったけど、でも、暖人を愛してる。それに──」
「それに?」と暖人が僕の背骨を指で辿りながら訊き返すから、甘やかなその刺激に背筋を駆け上がりそうな快感に再び見舞われそうになって、少しだけ暖人を睨んだ。
「暖人がまた裏切ったら、許さないって言ってくれた人がいるんだ」
「誰?」
暖人が不思議そうに、だけどちょっとだけ嫉妬を滲ませて僕の瞳を覗き込むのが嬉しくて、胸に顔を埋めながら呟く。
「マスター」
「マスター?」
暖人がますます意味がわからないと言った視線を絡めてくるから、僕はクスクス笑って、暖人の額に口付けた。
「今度、暖人も一緒に行こ? 僕たちきっと上手くいくって、マスターが言ってくれたんだ。だから僕、暖人に電話出来た」
「よくわかんねぇから、ちゃんと話、訊かせろ」
抱きしめ合ったまま、色んなことを話した。
来栖先輩と小寺先輩のこと、斗真さんのこと、マスターのこと。
暖人は、黙ってその言葉を耳に入れた。
途中、怒りで僕の背をきつく抱いたけれど、でも──。
「こんな僕でも、もう独りじゃない……かな? 暖人が……傍にいてくれる?」
目尻に朱を刷いた眼差しで、縋るようにスルリと伸ばした右手を暖人の硬質でシャープな顎の線に這わせると、「まだ誘ってんのか?」と呆れたように笑いながら溜め息を吐かれた。
その返事が面白くなくて口を尖らせると、暖人が僕の唇を親指と人差し指でぎゅっと抓んで。
「言ったろ? ジジイになっても一緒にいるって。“こんな僕”とか、もう二度と考えんな。今度言ったらマジで怒んぞ? どんな葵晴でも俺は愛してる。つーか、愛させろ。裏切っちまった空白の時間分まで、これからは葵晴の頭ん中、俺でいっぱいにしてやっから覚悟しとけな? 俺の人生全部お前にくれてやっから傍にいてくれ。俺の方こそ頼む」
言いながら、思わず泣きたくなるような甘い口付けで応えてくれて。
背に回した腕に力を込めて、今でも変わらずに焦がれ続けている恋人の存在をきつくきつく確かめた。
何度、精を搾り尽くしたかわからない程、貪欲に絡まり合って。
途中で意識を失っていたらしく、快楽の熾火を残す頬をぺちぺちと叩かれて朧気に瞳を開けると暖人の腕の中に居た。
幾度も孔に吐き出された暖人の熱はスッキリ拭われていて、散々腹に飛ばした己の精も、流した汗も綺麗に清められて身体がサラサラしている。
昔から暖人はこういうところ、マメだったりする。
「ん……。何時……? 暖人……帰る……?」
脱がせ合った衣服が乱雑にベッドに散らばっていて、こんなの六年間の中で当たり前の光景だったのに何だか恥ずかしい。
「四時。起こして悪ぃな。寝かせてやりてぇけど、まだ、ちゃんと葵晴の気持ち聞いてねぇから帰れねぇんだ」
途端、僕は頬に熱を集めて。
まだぼんやりする頭の中で、それでも暖人の腕の中で身じろいで、そっと言葉を紡ぐ。
「攫って?っていうのは、無理矢理暖人のものにして?って意味だけど?」
「もう一度、俺を信じてくれんの? 俺が一緒にいても辛くねぇ?」
僕はゆっくり暖人の背に腕を回しながら、その首筋にもう一度吸い付いて、僕だけの証なんだって、鬱血痕を残す。
「僕は、もう誰かを信じるのが怖かったけど、でも、暖人を愛してる。それに──」
「それに?」と暖人が僕の背骨を指で辿りながら訊き返すから、甘やかなその刺激に背筋を駆け上がりそうな快感に再び見舞われそうになって、少しだけ暖人を睨んだ。
「暖人がまた裏切ったら、許さないって言ってくれた人がいるんだ」
「誰?」
暖人が不思議そうに、だけどちょっとだけ嫉妬を滲ませて僕の瞳を覗き込むのが嬉しくて、胸に顔を埋めながら呟く。
「マスター」
「マスター?」
暖人がますます意味がわからないと言った視線を絡めてくるから、僕はクスクス笑って、暖人の額に口付けた。
「今度、暖人も一緒に行こ? 僕たちきっと上手くいくって、マスターが言ってくれたんだ。だから僕、暖人に電話出来た」
「よくわかんねぇから、ちゃんと話、訊かせろ」
抱きしめ合ったまま、色んなことを話した。
来栖先輩と小寺先輩のこと、斗真さんのこと、マスターのこと。
暖人は、黙ってその言葉を耳に入れた。
途中、怒りで僕の背をきつく抱いたけれど、でも──。
「こんな僕でも、もう独りじゃない……かな? 暖人が……傍にいてくれる?」
目尻に朱を刷いた眼差しで、縋るようにスルリと伸ばした右手を暖人の硬質でシャープな顎の線に這わせると、「まだ誘ってんのか?」と呆れたように笑いながら溜め息を吐かれた。
その返事が面白くなくて口を尖らせると、暖人が僕の唇を親指と人差し指でぎゅっと抓んで。
「言ったろ? ジジイになっても一緒にいるって。“こんな僕”とか、もう二度と考えんな。今度言ったらマジで怒んぞ? どんな葵晴でも俺は愛してる。つーか、愛させろ。裏切っちまった空白の時間分まで、これからは葵晴の頭ん中、俺でいっぱいにしてやっから覚悟しとけな? 俺の人生全部お前にくれてやっから傍にいてくれ。俺の方こそ頼む」
言いながら、思わず泣きたくなるような甘い口付けで応えてくれて。
背に回した腕に力を込めて、今でも変わらずに焦がれ続けている恋人の存在をきつくきつく確かめた。
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