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「……ただいま」
玄関で革靴を脱いでリビングをくぐると、暖人がキッチンにいた。
僕を振り返って満面の笑みで「おかえり! 葵晴!」と目を輝かせてくる。
「飯出来てんだ。食おう? それとも先に風呂入る?」
「ご飯食べる……」
ソファにスーツの上着とネクタイを乱雑に放り、シャツのボタンを開ける。暖人がじっと、その様子を見つめていたかと思えば、途端に僕に近づいてきて。
「葵晴、それ誘ってる?」
言いながら僕の首筋に噛みついてくる。
絶対的な性感帯であるそこに再び噛みつかれて、僕は「ゃ……」と声を出しながら、たちまち足が膝を折りそうに震えてしまう。
「誘うわけないだろっ! やめて……っ、暖人っ……」
暖人の胸を思い切り押しやる。
すぐに僕からパッと身を離した暖人が、ニヤニヤ笑ってくる。
「冗談。なんもしねぇよ。それとも、また抜いて欲しかった?」
「ふざけんな! 二度と僕に触るな! そんなことするならもう出てけ!」
暖人がケタケタ笑いながら「はいはい」と両手を上げた。
なんなんだ、こいつ……今更、僕の目の前に現れて僕の心を掻き乱すようなことばかりして。
「いいから、飯食おうぜ。冷めちまう」
僕は渋々ダイニングチェアに着地する。
テーブルの上にはタンポポオムライスとコンソメスープが並んでいた。
「いただきます」
手を合わせて、頭を下げる。
チキンライスの上に乗ったオムレツにナイフで切り込みを入れると、ふわふわと半熟な内側がトロッと広がったオムライスを一口、口に含む。
悔しいけれど、美味しい。
暖人が料理が得意なことは六年の付き合いの中でわかっていることだから。そして何だか懐かしいような暖人の料理に涙が出そうになる僕はなんだ。
結局、三ヶ月じゃまだこいつを忘れ切れてなくて、来栖先輩が好きなはずなのに、僕の心の中にはまだ暖人との思い出がたくさんたくさん詰まっていて。
「美味い? 葵晴」
キラキラ瞳を輝かせながら尋ねてくる暖人に涙目を向ける。
「美味しい……お前が料理が上手なことは知ってる」
「葵晴の胃袋は俺が掴んでっからな。また戻って来たくなっただろ?」
なんで、僕が戻るんだよ──。
離れて行ったのは暖人でしょ? 僕は、暖人から離れて行ってなんかない。
そう考えたら、瞳から涙がこぼれた。
玄関で革靴を脱いでリビングをくぐると、暖人がキッチンにいた。
僕を振り返って満面の笑みで「おかえり! 葵晴!」と目を輝かせてくる。
「飯出来てんだ。食おう? それとも先に風呂入る?」
「ご飯食べる……」
ソファにスーツの上着とネクタイを乱雑に放り、シャツのボタンを開ける。暖人がじっと、その様子を見つめていたかと思えば、途端に僕に近づいてきて。
「葵晴、それ誘ってる?」
言いながら僕の首筋に噛みついてくる。
絶対的な性感帯であるそこに再び噛みつかれて、僕は「ゃ……」と声を出しながら、たちまち足が膝を折りそうに震えてしまう。
「誘うわけないだろっ! やめて……っ、暖人っ……」
暖人の胸を思い切り押しやる。
すぐに僕からパッと身を離した暖人が、ニヤニヤ笑ってくる。
「冗談。なんもしねぇよ。それとも、また抜いて欲しかった?」
「ふざけんな! 二度と僕に触るな! そんなことするならもう出てけ!」
暖人がケタケタ笑いながら「はいはい」と両手を上げた。
なんなんだ、こいつ……今更、僕の目の前に現れて僕の心を掻き乱すようなことばかりして。
「いいから、飯食おうぜ。冷めちまう」
僕は渋々ダイニングチェアに着地する。
テーブルの上にはタンポポオムライスとコンソメスープが並んでいた。
「いただきます」
手を合わせて、頭を下げる。
チキンライスの上に乗ったオムレツにナイフで切り込みを入れると、ふわふわと半熟な内側がトロッと広がったオムライスを一口、口に含む。
悔しいけれど、美味しい。
暖人が料理が得意なことは六年の付き合いの中でわかっていることだから。そして何だか懐かしいような暖人の料理に涙が出そうになる僕はなんだ。
結局、三ヶ月じゃまだこいつを忘れ切れてなくて、来栖先輩が好きなはずなのに、僕の心の中にはまだ暖人との思い出がたくさんたくさん詰まっていて。
「美味い? 葵晴」
キラキラ瞳を輝かせながら尋ねてくる暖人に涙目を向ける。
「美味しい……お前が料理が上手なことは知ってる」
「葵晴の胃袋は俺が掴んでっからな。また戻って来たくなっただろ?」
なんで、僕が戻るんだよ──。
離れて行ったのは暖人でしょ? 僕は、暖人から離れて行ってなんかない。
そう考えたら、瞳から涙がこぼれた。
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