ブラックな職場で働いていた聖女は超高待遇を提示してきた隣国に引き抜かれます

京月

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第二話

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「引き抜くなんて簡単に言われても実際そんなに簡単な事じゃないわよ」


「もちろん存じております。聖女様を私たちの国に来てもらうためには聖女様自身が辞職届を出し私たちの国に来てもらうしかないのですよね」


「その通り。で、あなたの国に移籍するメリットは何?」


「正直なところ聖女様に満足していただけるものかわかりませんんがどうかお聞きください。私たちは聖女様の労働環境を整えさせていただきたい思っております」


 聞く耳を持っていなかった私の耳が労働環境という言葉に反応する


「どういうことか説明してくれる?」


「はい、まず私たちの国ではあまり労働時間を超えた仕事を良しとしません。時間内に仕事が出来ない者は無能とみなされるのです。ですので5時になり次第お祈りは終了し時間を超えたお祈りは禁止とさせて頂きます」


「えっ!じゃあ残業しなくていいの?」


「はい」


 私の心が揺れ動く


「次に教会の人間に関してです。ご存じかは分かりませんが我が国は信仰こそすれどそこまで宗教に依存はしておりません。ですので教会で働く者自体が少なく聖女の修行に耐えれるものもおらず前任の聖女などいないのです」


「嘘!じゃあそっちの国では私に上司はいないってこと?」


「そうです、神官や神父は一応いますが聖女様に命令できる人はいないかと」


 それが本当ならあのバーバア様みたいな人と関わらずに仕事ができるってことだよね


「最後に給料の話でございます。我が国では教会自体が一つしかないので国民からの献金は一か所に集まってきます。なのでこれくらいは出せるかと」


 そう言って紙に書いてある額を見た私は目が点になった

 今の給料の軽く五倍はある


「これが我が国が聖女様に出来る最大限で御座います。どうかご検討を」


 検討だとそんなの必要ない


「分かりました、私はそちらの教会に移籍します」


「本当ですか!それはありがたい」


 即決してやった

 そうと決まったら私の行動は迅速だった

 すぐに辞表を書き神父に提出する


「聖女様これは一体どういうことですか?」


「見たままです」


「何かの冗談ですか?」


「私は冗談をあまり好みません」


 神父を威圧して無理やり辞表を許諾させる

 そのままその足で神官のところに向かう


「退職金を要求します」


「聖女様、前にも申した通り今教会は危機的な状況でしてそんなお金は…」


 退職金を渡すのを拒む神官の目の前に書類の束を叩きつける


「これは一体?」


「全部あなたの横領の証拠です。これが上の手に渡ればあなたはお終いですね」


「そんな!わかりました。すぐに退職金を用意しますからそれだけはご勘弁を!!」


「早く持ってきなさい」


「分かりました!!」


 神官が持ってきた退職金を受け取ると証拠をもってその場を後にしようとする


「待って下さい聖女様!話が違います、その証拠を私に渡してくれる約束では」


「よく思い出しなさい、私は早く持ってきなさいしか言っていません。これは私から上のものに渡しておきます。では永遠にさようなら」


「そんな…」


 神官が膝から崩れ劣るのを確認した後横領の証拠を提出して隣国に旅立つ準備の為家に帰ろうとする

 するとバーバア様が目の前に現れた


「どういうことなのホーサ!!聖女をやめるって」


「いろいろ思うところがありまして」


「そんな簡単にやめられるものじゃないでしょ!!それにあなたがやめたら教会に悪い噂が流れるし信者だって献金しなくなる。それだけじゃないわ、聖女が祈ることで得られている五穀豊穣だってなくなるし、なにより私の評判がだだ下がりになるわ!!これは命令よ!辞めるのをやめなさい!!」


「うるさいババアですね」


「うるさいって何よ!それに私の名前はバーバアよ」


「別に間違えていませんよ」


「なんですって!!」


「おいババア、よく聞け。私はお前の事なんて一ミリも尊敬してないし嫌悪感しか感じていない。口も臭い。あとさっきの会話をこの録音魔法道具で録音しておいたから月刊神教の記者にリークする。これであんたは教会内でも信用を無くし社会的にも死んだも同然になる事だろう。せいぜい頑張って余生を生きろ」


 頭に血が上って赤くなるほど怒っていたバーバア様を無視して週刊神教の記者に録音魔法道具を渡し旅の支度を済ませる

 荷物を持って馬車の用意してある場所に向かうとカナさんが待っていた


「お待ちしておりました聖女様。この度はこの判断嬉しく思います」


「そんなに仰々しくしないで、私が決めたことだから。じゃあ行こうか隣国に」


「かしこまりました」


 私は超高待遇な職場に向けて出発した
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