ブラックな職場で働いていた聖女は超高待遇を提示してきた隣国に引き抜かれます

京月

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第一話

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 ここは聖堂

 多くの信者が今聖女と共にお祈りをしている

 ゴーンゴーン

 5時を告げる鐘がなる


「そろそろお祈りを終わりにしましょうか」


 聖女ことホーサは神父にお祈りを終わりにするよう提案する


「いえいえ、何を言っておられるのですか聖女様。まだまだお祈りを続けてもらいます」


「でももう5時ですから上がりたいのですが…」


「聖女様、貴方がやめてどうするのですか。最後の一人になるまでお祈りをするのがあなたの役目です」


「そんな…」


 その日お祈りが終わったのは11時過ぎだった




「ホーサ!」


 私を怒鳴りながら呼び止めるのは前聖女のバーバア


「なんでしょうかバーバア様」


「なんでしょうかじゃないでしょ!何なのこの記事は!!」


 バーバアは持っていた月刊神教の開いてあるページを指さす


「この尊敬する人はっている質問なんで私を挙げないのよ」

 
 尊敬してないからだよとは言えない


「すみません、私にとってバーバア様は尊敬の一言で済ませれるような存在ではないのです」


「そう、そうよね、当たり前だわ」


 バーバアは何故かドヤ顔をする


「じゃあこれから私は用事があるのでこれで失礼するわ。ホーサ、これからも私を見習い精進することね」


 死ぬほどウザイ




 今日は給料日

 私の楽しみと言ったら貰った給料で趣味のお酒を買うことだ

 最近お目当てのお酒が入荷したという事で気分が上がっている

 神官に給料を貰いに行く


「神官様、今月の給料を貰いに来ました」


「これは聖女様。どうぞこちらが今月の給料です」


 渡してきたのは何時もより薄い封筒だった

 中を覗いてみると前の給料の三分の一も入っていない


「神官様!なんでこんなに少ないのですか!?」


「落ち着いてください聖女様。今この国の教会は金銭的な面で危機的状況にあります。ここは皆で力を合わせてこの局面を乗り切りましょう」


 そうやって私を説得する神官の指には新しい高そうな指輪が光っていた



「もう限界…」


 私は行きつけの酒場で愚痴を垂れる

 本当なら今頃お目当てのお酒を片手に至福の時間に浸っているはずなのに手に持つ酒は安物

 これでは本当に体と心が持たない


「いっそのことやめようかな聖女…」


「それは本当ですか!?」


 私の独り言に異常なほどに反応したのはフードを被った人だった


「あの…あなたは誰ですか?」


「し、失礼しました。つい興奮してしまい…」


 その人は被っていたフードを脱ぐ


「私は隣国の教会に在籍するカナというものです」


 カナさんはとても美人な人で一瞬目を奪われる

 しかし隣国の教会って


「ええとカナさん、あなたが本当に教会の関係者なら知っていると思うけど国の違う教会は原則接触はさけるっていう暗黙のルールがあるよね」


「もちろん存じております。しかし暗黙のルールを破ってでも私にはなすべき使命があるのです」


「その使命って何?」


「あなたをこの国の教会から引き抜くことです」


「私を?」


 この出会いがホーサの運命を変える
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