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本編
友兄の告白
しおりを挟む「理玖と初めて会ったのは理玖が三歳のときだったよね」
「えっと……確か、そうだったと思うけど」
ソファに座った友兄の膝の上に、友兄と向き合うように座ってる俺。どうせ座るなら、隣でいいじゃん…っていう抗議はあっさりと却下されていた。
友兄は話しながら俺の髪を弄ったり頬にキスをしたり、鼻を甘噛みしたりと忙しい。
「俺は六歳だったけど」
「うん。…優しいお兄ちゃんができて、すごく嬉しかったのは覚えてる」
「理玖はあの頃も可愛かったよ。何をするにも俺の後をくっついてきて。凄く大切な弟だった」
懐かしそうな表情。
目を細めて、俺の顔に幼いころの俺の面影を探しているよな、重ねているような。
「夏休みが終わって登校するときに、あんなに泣かれるとは思ってなかったけど」
くすくす笑う友兄。
あーう。やっぱり言われるんだ、そのときの話。
「……俺、ほとんど覚えてない……」
「まあそうだよね。でも、そのときにね、理玖は俺が守らなきゃ駄目だ、って思ったんだよ」
「……そうなんだ」
「とにかく可愛くて、瞳をキラキラさせながら俺の後ろをついて回って、もう本当に一途で。それは中学に上がってからも変わらなくて、でも」
友兄の指が俺の頬をなでた。
「理玖が中学生になって、制服姿を見たら、ああ、違うな、って思ったんだ」
「違う?」
「うん。家族として弟して可愛がってたつもりだったけど、俺は理玖のことを家族としてじゃなくて、一人の男の子として見てるんだな、って」
……また、唇が頬に触れてくる。
「いつから、とかはわからないけれど、理玖が中学生になったときに自覚して。でも理玖は俺の気持ちなんて全然気づかなくて、兵器で裸も見せてくるし、ベッドに潜り込んでくるし」
「そ……それは……」
「可愛いし、嬉しいけど、俺だって普通に男だからね?好きだって思った子のそういうところを見せられたら、普通に反応だってするし、処理だってする」
苦笑いの友兄だけど、俺は多分真っ赤だ。
処理……って、処理…って。
俺は自分でシたことなんてなくて。でも、こんな爽やかそうな青年風の友兄が、そういうことシてるなんて……、駄目だよ。それは駄目。ぽわんって浮かんでくる俺の妄想、どっかいって…!
「じゃ……、なんで突然一人暮らしなんか……」
こっそり深呼吸して、絞り出した言葉。
友兄はまた苦笑いすると、今度は俺の目元を撫でてくる。
「理玖の傍に居続けることが、苦しくなったから」
「え?」
「家族のスキンシップに託けて、理玖を抱きしめたり、キスをしたりしたけど、理玖は普通に受け入れてくれていて」
というか、それが普通だと思っていたよ、俺。
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