139 / 160
忘れたくなかった
しおりを挟む
吸い寄せられるように思わず重ねた唇。
自身でもその行動に驚き、慌てて唇を離して、顔を背けた。
顔は火がついたように熱く、破裂しそうなほど忙しなく心臓が鼓動を刻み、情けなく動揺した。
ー な、な、何やってんだ。俺!?
自身から口付けた羞恥心に暫し震えながらも相手の反応が気になり、覚悟を決めてチラリと見やる。
ハラリっと一粒の雫が紫色の瞳から溢れる。
その涙にギョッとして自身が恥ずかしかったのも忘れてワタワタする。
「夢…みたいだ。」
ハラハラと涙を流しながら幸福にその表情が染まる。
優しい笑みを浮かべるその姿に見惚れて、頰に触れるとその手に手が重なり、息が掛かる程距離が近付く。
「もう一度…。もう一度貴方からください。」
「ふざけ…んな。」
「もう一度だけ…。」
耳元で囁かれただけでゾクゾクと身体が震える。
あれは無意識でやっただけなので、意識してなんてどんな苦行だ。
恥ずかし過ぎて居た堪れないのにあまりに嬉しそうな顔をして、懇願してくるからタチが悪い。
ー なんで…こんなに…。
コイツが喜ぶととても嬉しくて。こんなにも愛しいと思うのだろう。
お前にとって俺はなんだ?俺にとってお前はなんだったんだろう…。
ー ああ、くそッ!!
わしわしと頭を掻き、覚悟を決めてもう一度唇に触れた。
なんかここでひよったら負けな気がする。
「もう終わりだ。」と真っ赤に染まった顔を逸らせば、首筋に優しく口付けが降り。抗議に口を開けば何度も角度を変えて深く唇が重なる。
「んっ…。ふぁ…んんっ。ん…。」
口の中を掻き混ぜられ、気持ちよくて力が抜ける。
甘い魔力が全身を駆け巡り、探していた何かが満たされたような幸福感が胸に広がる。
「コタ。舌を絡めて。私と同じように。」
「はぁはぁ…。ん。んっ…。んっ。」
「んっ。上手ですよ。ふっ…。蕩けてしまいそうだ。」
口付けだけで身体中が熱くなり、俺という存在が蕩けて溶けてしまいそうで、少し怖い。それでも幸せで愛しくてしょうがなくて夢中で舌を絡めた。
時折、視界に映るソイツはとても幸せそうで、ずっと苦しそうな顔をしてたからそれがとても嬉しくて。久々に身体中に触れる傷だらけの手にもっと触れて欲しくて。
大切だったのに誰だか分からないのが悔しくて。
ー 名前が呼びたい…。
最初はただテキトーに付けた名前だった。
ただ名前が無いと呼び辛くて付けただけの名前。
それなのにこんなにもその名を呼びたくてしょうがない。
「……ッ。……ッ!!」
「コタ?何故、泣いてるんですか?…嫌でしたか?」
「…違う。俺は…、俺はッ。」
忘れたくなかった。
絶対に忘れたくなんてなかった。
悔しい。悔しいッ。
男が簡単に涙なんて見せたく無い。
なのに涙は止まらなくて、またその顔が悲しみに曇るのが嫌で、また自ら口付けをした。
「《離れろ》。」
頭に命令が響き、ずっと欲していた体温が遠ざかり、赫い刃が月明かりを受け怪しく光った。
自身でもその行動に驚き、慌てて唇を離して、顔を背けた。
顔は火がついたように熱く、破裂しそうなほど忙しなく心臓が鼓動を刻み、情けなく動揺した。
ー な、な、何やってんだ。俺!?
自身から口付けた羞恥心に暫し震えながらも相手の反応が気になり、覚悟を決めてチラリと見やる。
ハラリっと一粒の雫が紫色の瞳から溢れる。
その涙にギョッとして自身が恥ずかしかったのも忘れてワタワタする。
「夢…みたいだ。」
ハラハラと涙を流しながら幸福にその表情が染まる。
優しい笑みを浮かべるその姿に見惚れて、頰に触れるとその手に手が重なり、息が掛かる程距離が近付く。
「もう一度…。もう一度貴方からください。」
「ふざけ…んな。」
「もう一度だけ…。」
耳元で囁かれただけでゾクゾクと身体が震える。
あれは無意識でやっただけなので、意識してなんてどんな苦行だ。
恥ずかし過ぎて居た堪れないのにあまりに嬉しそうな顔をして、懇願してくるからタチが悪い。
ー なんで…こんなに…。
コイツが喜ぶととても嬉しくて。こんなにも愛しいと思うのだろう。
お前にとって俺はなんだ?俺にとってお前はなんだったんだろう…。
ー ああ、くそッ!!
わしわしと頭を掻き、覚悟を決めてもう一度唇に触れた。
なんかここでひよったら負けな気がする。
「もう終わりだ。」と真っ赤に染まった顔を逸らせば、首筋に優しく口付けが降り。抗議に口を開けば何度も角度を変えて深く唇が重なる。
「んっ…。ふぁ…んんっ。ん…。」
口の中を掻き混ぜられ、気持ちよくて力が抜ける。
甘い魔力が全身を駆け巡り、探していた何かが満たされたような幸福感が胸に広がる。
「コタ。舌を絡めて。私と同じように。」
「はぁはぁ…。ん。んっ…。んっ。」
「んっ。上手ですよ。ふっ…。蕩けてしまいそうだ。」
口付けだけで身体中が熱くなり、俺という存在が蕩けて溶けてしまいそうで、少し怖い。それでも幸せで愛しくてしょうがなくて夢中で舌を絡めた。
時折、視界に映るソイツはとても幸せそうで、ずっと苦しそうな顔をしてたからそれがとても嬉しくて。久々に身体中に触れる傷だらけの手にもっと触れて欲しくて。
大切だったのに誰だか分からないのが悔しくて。
ー 名前が呼びたい…。
最初はただテキトーに付けた名前だった。
ただ名前が無いと呼び辛くて付けただけの名前。
それなのにこんなにもその名を呼びたくてしょうがない。
「……ッ。……ッ!!」
「コタ?何故、泣いてるんですか?…嫌でしたか?」
「…違う。俺は…、俺はッ。」
忘れたくなかった。
絶対に忘れたくなんてなかった。
悔しい。悔しいッ。
男が簡単に涙なんて見せたく無い。
なのに涙は止まらなくて、またその顔が悲しみに曇るのが嫌で、また自ら口付けをした。
「《離れろ》。」
頭に命令が響き、ずっと欲していた体温が遠ざかり、赫い刃が月明かりを受け怪しく光った。
0
あなたにおすすめの小説
毒を喰らわば皿まで
十河
BL
竜の齎らす恩恵に満ちた国、パルセミス。
ここが前世でやり込んだゲーム、【竜と生贄の巫女】の世界だと思い出した【俺】だったが、俺は悪役令嬢の娘・ジュリエッタと共に破滅の未来が待っている宰相アンドリムに転生してしまっていた。
だけど記憶を取り戻したからには、そう簡単に破滅などしてやらないつもりだ。
前世の知識をフルに活かし、娘と共に、正義の味方面をした攻略対象達に逆転劇を披露してみせよう。
※※※
【第7回BL小説大賞】にエントリーさせて頂きました。
宜しくお願い致します(*´꒳`*)
※※※
小説家になろうサイト様※ムーンライトノベル※でも公開をしております。
また、主人公相手ではないですがNLカプも登場してきます。
腐男子♥異世界転生
よしの こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。
目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。
トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、Caitaさん、PIXIVさんでも掲載しています。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
逃げる銀狐に追う白竜~いいなずけ竜のアレがあんなに大きいなんて聞いてません!~
結城星乃
BL
【執着年下攻め🐲×逃げる年上受け🦊】
愚者の森に住む銀狐の一族には、ある掟がある。
──群れの長となる者は必ず真竜を娶って子を成し、真竜の加護を得ること──
長となる証である紋様を持って生まれてきた皓(こう)は、成竜となった番(つがい)の真竜と、婚儀の相談の為に顔合わせをすることになった。
番の真竜とは、幼竜の時に幾度か会っている。丸い目が綺羅綺羅していて、とても愛らしい白竜だった。この子が将来自分のお嫁さんになるんだと、胸が高鳴ったことを思い出す。
どんな美人になっているんだろう。
だが相談の場に現れたのは、冷たい灰銀の目した、自分よりも体格の良い雄竜で……。
──あ、これ、俺が……抱かれる方だ。
──あんな体格いいやつのあれ、挿入したら絶対壊れる!
──ごめんみんな、俺逃げる!
逃げる銀狐の行く末は……。
そして逃げる銀狐に竜は……。
白竜×銀狐の和風系異世界ファンタジー。
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる