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天を仰ぐ
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何処までも澄んだ青空。
緑は青々と生い茂り、鳥の囀りが耳を擽る。空気も森であるから勿論美味しく、心が洗われるよう。
田舎か都会かって言われたら田舎なんざ、鼻で笑っちまえるような未開の地。見渡すばかり木木木。店といえば変態が副業で経営する薬屋くらい(もう一つの方の店は除外)。長閑だな…。
……なんて、ちょっと現実逃避しながら白龍が消えた青空を睨んだ。
「ミドリといた頃は毎日飛んでた癖にっ…。」
苛立ちを小石にぶつけ、蹴り上げると小石は綺麗に宙を舞う。しかし小石は跳ど奴は飛んできすらしない。
結局、堂々巡りでまた白龍を誘き出す事になってしまってはや一年半。奴はこの一年間、尻尾すら出さない。それ所か一部の魔物の中では白龍死亡説が出ているらしい。
この森の頂点として魔物達に畏怖畏敬されていた白龍。奴はなにかと力試しとやって来ては容赦なく魔物達をいじめ、気に入った女を見つけた場合は連れて帰って(飽きたら返却)を繰り返してらしい。…あの龍は山賊か何かなのか?
……とりあえず。
奴は魔物達にすらちょっかいを出す事をやめ、この森から忽然と姿を消した。
しかし変態曰く、この森の中には居るらしい。
「あれだよ。女性問題で色々あって結界張って雲隠れ中なんじゃないかな? 六百年前くらいにも女性に刺され掛けて雲隠れしてるからねぇ、あのクソ龍。」
そうスッキリしたような笑みを溢して、上機嫌でブランデー入りの紅茶を気前よく飲みながら話していた変態。
そこまで分かってるなら居場所も知ってんじゃないか、そう問い詰めようとしたのだが、変態はとてつもなく酒に弱かった。
一杯飲んだ瞬間、顔を真っ赤にしてバタンッとその場に倒れ、目を回していた。
何故、飲もうと思ったと聞きたくなる程の酒の弱さ。
「くそっ。結界だか何だかしんねぇが、絶対引き摺り出してやるッ。」
パンッと手を拳で殴り、気合を入れ直す。
何だか上手くあの手この手で変態に何かをはぐらかされ、いいように扱われているような気がするが、それもこれも白龍ともう一度対峙してからでないと判断がつかない。
「今日は何処行きおると? 」
さて、今日もカチコミに行くかと気合を入れ直した所で、大きな桃色の手が顔の前でこっちを見てとゆらゆらと揺れる。
「獣人族領土近くに居座ってる山賊んトコ。」
「あの獣人の山賊とぞ? 獣人ば皆、身体能力ば高いから骨がありそうとね。」
「そりゃあ、楽しみだ。いくぞ、モモ。」
「あい。コタの旦那。」
山賊の住処に向けて歩き出すと桃色の巨体を揺らしてモモがついてくる。
つい、半年前に舎弟になったオーなんちゃらという豚と人間を合わせたような魔物モモ。
モモはオーなんちゃらの集落にカチコミに行ってから俺について回るようになった。そして、成り行きで名前で呼ぶようになり(名無しは呼びにくいのでテキトーに付けた)、それがきっかけでついには舎弟に昇格した。
チラリとモモを見やるとモモは嬉しそうにキメ顔で対抗してくる。表情が豊かで愛嬌とノリのいいモモだが、名前をつける前までは何時も無表情で言葉も片言だった。
ミドリの時といい、名前を付けてからの成長が異常に早くて魔物より人間寄りになって来ているように感じるのは俺の気の所為か?
「……気の所為だな。きっとコイツらが短期間で男を上げただけだ。そうに違いない。」
「コタの旦那、どうしたと? 歩くの疲れたなら自分が背負うとよ。たーんと任して!! 」
「……気持ちだけもらっておく。」
「あい。気持ちだけ渡しとっと。」
気持ちを渡す仕草をすると、楽しそうにふんふんと鼻歌を歌いながら三歩後ろをついてくる。そこは舎弟になる前からも変わらない。なんで三歩後ろなのか、鼻歌歌う程何が楽しいのかは俺には謎だが…。
「コタの旦那!! あの丘の天辺ば、山賊の住処と!! 」
急に三歩先を歩き始めたと思えば、キラキラと期待に満ちた目で山賊の根城である丘の上にある古城跡を指差した。
「ホントにお前、カチコミ好きだな。」
「あい。コタの旦那と一緒ば、喧嘩して、何時か腕っ節が強くてユニコーンに乗って巨根を備えた理想の王子様ば見つけると!! 」
「あ、あぁ…。まぁ…、頑張れよ。」
「あい。頑張ると。」
ブンブンとやる気満々で腕を回すモモ。
そのやる気の方向性が斜め上を突っ切っているような気がとてもするが、…まぁ、本人がやる気なんだからそこに水を刺すのは野暮ってもんだ。
「根城を見回っているのば四人。何時も通り、正面突破と? 」
「おう。正々堂々正面から行くぞ。」
喧嘩するなら正面から堂々と。
閉じた城門の前に立つと鷹見高にカチコミを入れる前に感じたあの高揚感が湧き上がってくる。
俺がいなくなった後、あのカチコミはどうなったんだろう。テツ達は俺無しでもやり遂げたのだろうか?
ー 悪い事しちまったな…。
例え、不可抗力だとしても言い出しっぺが先頭切らねぇのは無しだ。言葉は口にするから意味があるが、行動の伴わない言葉はただの無責任。
もし元の世界に戻る事が出来たら誠心誠意謝んなきゃいけねぇな…と、懐かしさと申し訳なさを感じながら門に触れようとした瞬間…。
「あい。じゃあ、門ば開けると。」
そう元気な声が後ろから聞こえて来たかと思うとメキメキと何かが引きちぎられる音が耳に入り、振り向いた。するとモモがモモの大きな腕が回りきらない程の大木を地面から引っこ抜いていた。
緑は青々と生い茂り、鳥の囀りが耳を擽る。空気も森であるから勿論美味しく、心が洗われるよう。
田舎か都会かって言われたら田舎なんざ、鼻で笑っちまえるような未開の地。見渡すばかり木木木。店といえば変態が副業で経営する薬屋くらい(もう一つの方の店は除外)。長閑だな…。
……なんて、ちょっと現実逃避しながら白龍が消えた青空を睨んだ。
「ミドリといた頃は毎日飛んでた癖にっ…。」
苛立ちを小石にぶつけ、蹴り上げると小石は綺麗に宙を舞う。しかし小石は跳ど奴は飛んできすらしない。
結局、堂々巡りでまた白龍を誘き出す事になってしまってはや一年半。奴はこの一年間、尻尾すら出さない。それ所か一部の魔物の中では白龍死亡説が出ているらしい。
この森の頂点として魔物達に畏怖畏敬されていた白龍。奴はなにかと力試しとやって来ては容赦なく魔物達をいじめ、気に入った女を見つけた場合は連れて帰って(飽きたら返却)を繰り返してらしい。…あの龍は山賊か何かなのか?
……とりあえず。
奴は魔物達にすらちょっかいを出す事をやめ、この森から忽然と姿を消した。
しかし変態曰く、この森の中には居るらしい。
「あれだよ。女性問題で色々あって結界張って雲隠れ中なんじゃないかな? 六百年前くらいにも女性に刺され掛けて雲隠れしてるからねぇ、あのクソ龍。」
そうスッキリしたような笑みを溢して、上機嫌でブランデー入りの紅茶を気前よく飲みながら話していた変態。
そこまで分かってるなら居場所も知ってんじゃないか、そう問い詰めようとしたのだが、変態はとてつもなく酒に弱かった。
一杯飲んだ瞬間、顔を真っ赤にしてバタンッとその場に倒れ、目を回していた。
何故、飲もうと思ったと聞きたくなる程の酒の弱さ。
「くそっ。結界だか何だかしんねぇが、絶対引き摺り出してやるッ。」
パンッと手を拳で殴り、気合を入れ直す。
何だか上手くあの手この手で変態に何かをはぐらかされ、いいように扱われているような気がするが、それもこれも白龍ともう一度対峙してからでないと判断がつかない。
「今日は何処行きおると? 」
さて、今日もカチコミに行くかと気合を入れ直した所で、大きな桃色の手が顔の前でこっちを見てとゆらゆらと揺れる。
「獣人族領土近くに居座ってる山賊んトコ。」
「あの獣人の山賊とぞ? 獣人ば皆、身体能力ば高いから骨がありそうとね。」
「そりゃあ、楽しみだ。いくぞ、モモ。」
「あい。コタの旦那。」
山賊の住処に向けて歩き出すと桃色の巨体を揺らしてモモがついてくる。
つい、半年前に舎弟になったオーなんちゃらという豚と人間を合わせたような魔物モモ。
モモはオーなんちゃらの集落にカチコミに行ってから俺について回るようになった。そして、成り行きで名前で呼ぶようになり(名無しは呼びにくいのでテキトーに付けた)、それがきっかけでついには舎弟に昇格した。
チラリとモモを見やるとモモは嬉しそうにキメ顔で対抗してくる。表情が豊かで愛嬌とノリのいいモモだが、名前をつける前までは何時も無表情で言葉も片言だった。
ミドリの時といい、名前を付けてからの成長が異常に早くて魔物より人間寄りになって来ているように感じるのは俺の気の所為か?
「……気の所為だな。きっとコイツらが短期間で男を上げただけだ。そうに違いない。」
「コタの旦那、どうしたと? 歩くの疲れたなら自分が背負うとよ。たーんと任して!! 」
「……気持ちだけもらっておく。」
「あい。気持ちだけ渡しとっと。」
気持ちを渡す仕草をすると、楽しそうにふんふんと鼻歌を歌いながら三歩後ろをついてくる。そこは舎弟になる前からも変わらない。なんで三歩後ろなのか、鼻歌歌う程何が楽しいのかは俺には謎だが…。
「コタの旦那!! あの丘の天辺ば、山賊の住処と!! 」
急に三歩先を歩き始めたと思えば、キラキラと期待に満ちた目で山賊の根城である丘の上にある古城跡を指差した。
「ホントにお前、カチコミ好きだな。」
「あい。コタの旦那と一緒ば、喧嘩して、何時か腕っ節が強くてユニコーンに乗って巨根を備えた理想の王子様ば見つけると!! 」
「あ、あぁ…。まぁ…、頑張れよ。」
「あい。頑張ると。」
ブンブンとやる気満々で腕を回すモモ。
そのやる気の方向性が斜め上を突っ切っているような気がとてもするが、…まぁ、本人がやる気なんだからそこに水を刺すのは野暮ってもんだ。
「根城を見回っているのば四人。何時も通り、正面突破と? 」
「おう。正々堂々正面から行くぞ。」
喧嘩するなら正面から堂々と。
閉じた城門の前に立つと鷹見高にカチコミを入れる前に感じたあの高揚感が湧き上がってくる。
俺がいなくなった後、あのカチコミはどうなったんだろう。テツ達は俺無しでもやり遂げたのだろうか?
ー 悪い事しちまったな…。
例え、不可抗力だとしても言い出しっぺが先頭切らねぇのは無しだ。言葉は口にするから意味があるが、行動の伴わない言葉はただの無責任。
もし元の世界に戻る事が出来たら誠心誠意謝んなきゃいけねぇな…と、懐かしさと申し訳なさを感じながら門に触れようとした瞬間…。
「あい。じゃあ、門ば開けると。」
そう元気な声が後ろから聞こえて来たかと思うとメキメキと何かが引きちぎられる音が耳に入り、振り向いた。するとモモがモモの大きな腕が回りきらない程の大木を地面から引っこ抜いていた。
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