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chapter,3 Hawaii
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しおりを挟む最後まで抱かせろというカナトの言葉に衝撃を受けながらも、マツリカは彼とともに事故当時の関係者が勤めているというカイマナ・カミオオオカ・インペリアルホテルのエントランスへ足を踏み入れた。
カイマナ・ビーチに面した場所に位置している全体的に白で統一されたこのホテルは日系企業ということもあり、多くの日本人観光客が利用している。ワイキキよりも静かなロケーションがサーファーや海水浴客にも人気だという。
「これはこれは鳥海さま、ようこそお越しいただきました」
「堅苦しい挨拶はいいよイッセー」
「でも鳥海先輩、珍しいですね何も連絡しないでハワイに来られるなんて……さてはプライベート?」
「よけいな詮索は不要だ。仰木はいるか」
「僕じゃなくてオオキさんに用なの? じゃあやっぱり仕事か、なあんだ」
彼なら支配人室にいるよと朗らかに説明されたカナトはやれやれとため息をつきながら言い返す。
マツリカはふたりのやりとりをきょとんとしながら観察している。先輩、というからこのイッセーという青年はカナトと同じ海洋商船高専の卒業生なのだろう。
「なんだとはなんだ。お前も俺に油売ってる暇があるのなら仕事しろ、仕事」
「わかってますよ。ただ、ひとつだけきかせてくださいよ。さっきからずっと手を握っている美しい女性は」
「よけいな詮索はするなと言っている」
「ひどいなあ。でも、まだ婚約前なら仕方ないですね。ハネムーンはぜこちらでどうぞ」
「気が早い……行くぞ、マツリカ」
「あ、はい」
まんざらでもない表情を浮かべてカナトはマツリカの手を引いていく。
ふたりを背後で見守っていたイッセーは「マツリカ」という名前に思わず瞳をまたたかせる。
――向こうは僕のこと気づいてないだろうけど、あれ、マイルん家の姉さんじゃ……? どういうことだ?
「どうかなさいましたか、イッセイ?」
「……プライベートかビジネスか、そこが問題だな。久々にマイルに連絡とってみるか」
ホテル王の三男坊の独り言は、姿を消したカナトとマツリカには届かない。
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