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番外編 初対面2
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焼き菓子とお茶が僕たちの前に出されると、微妙な雰囲気の中いただくことになった。
将軍さんはお母様には逆らえないのか、あれから無言だ。お母様はにこにこして話しかけてくれる。カイルさんも将軍さんに話しかけないし、このまま帰るわけにはいかない。
「あのっ。」
僕は勇気を振り絞り、将軍さんに声をかけた。無表情のまま、僕の方をちらりと見られる。さすがに軍の偉い人だけあってか、威厳があり怯みそうになる。怖くてちょっと泣きそう。
「あのっ、カイルさんを怒らないでください。僕みたいな人間が伴侶だなんて許せないかもしれません。カイルさんのそばにいることが、よくないことかもしれません。けど、僕はカイルさんと一緒に生きたいんです。
将軍さんにもどうか許して欲しいんです。我儘なのは分かってます。どうかお願いします。」
どうかどうか伝わりますように。願いを込めて言い切ると、頭を下げた。
「ハルカ……。」
カイルさんも少し驚いた声が聞こえた。これは僕のエゴかもしれないけど、カイルさんの家族に認めてほしいし、僕のせいで2人の仲が悪くなるのも嫌だ。
「父さん、俺も自分の行動には反省すべきところはある。父さんの言うことも分かる。ただ、ハルカ以外の伴侶は考えられないんだ。ハルカにはこの世界に家族がいない。父さんと母さんには、家族としてハルカの力になっあげてほしい。お願いします。」
そんな僕の気持ちがカイルさんには伝わったのか、真剣な声でそう言うと、頭を下げたままの僕の隣で、一緒に頭を下げてくれた。
「…なんで、ララーナはお母様で、私には将軍さんなんだ。」
ボソッと将軍さんの声が聞こえる。
「えっ?」
思わず顔を上げると、不満げな将軍さんと目が合った。それはまだ認めてもらえてないからだけで、他意はないんだけど。
「うふふ。拗ねてるだけなのよ、この人。カイルは仕事ばっかりで、家にも全然帰ってこないし、何の報告もなかったから。
カイルも悪いのよ。いくら大人だからってあなたを心配してるお父様に、ずっと何にも言わないできたから。狼が子煩悩なの分かってるでしょ。」
「ララーナ!」
お母様がなんだか1番強い気がする。カイルさんも隣で苦笑している。
「お二人にはご心配をおかけしてすみません。」
カイルさんが素直に謝ると、将軍さんは小さく息を吐いた。
「お前の王宮での態度を見た時から予感はしてたんだ。我が息子ながら驚いたよ。ただの保護の対象としては違和感があったからな……。」
将軍さんは初めて僕に笑顔を見せてくれた。
「ハルカくん、怖がらせて悪かったね。」
笑った顔はカイルさんにとても似ていて、僕はホッとするのと同時に嬉しくてぽろりと涙が流れた。
「泣かすなよ。」
カイルさんがそっと指で涙を拭ってくれた。
「うっ、すまん。」
「いえ、あの、嬉しかっただけですから。すみません、泣いたりして。」
あんなこと言った割に、すぐ泣くなんて恥ずかしい。泣き笑いみたいな顔になったけど、将軍さんに大丈夫だと笑顔を向けた。
そしたら将軍さんは、また小さく、うっと言って固まってしまった。耳も尻尾がピンと立ってる。そんなに変な顔だったのかな。申し訳ない。
「ハルカくん、…お父様と呼んでみてくれ。」
復活した将軍さんは何故か真剣な顔だ。それって認めてくれたってことだよね。
「はい。お父様。」
嬉しくて僕に尻尾があったらぶんぶん振りたい気分だ。何故か、3回ほどもう1回、とか繰り返させられたところで、苦笑したカイルさんに止められた。お母様は楽しそうに声をあげて笑っていた。
ほっとしたところで、ノックの音が響き、ドアから顔を出したのは、身なりのいい少年だった。
黒髪に青い瞳、すらりとした身体にあどけなさは残るけれど、カイルさんにそっくり。
「父様、母様、カイル兄さんが帰ってきてるって聞いて。ご一緒してもいいですか?」
声もよく似てるけど、少し高い。少年の頃のカイルさんに会ったみたい。
「カミュ、久しぶりだな。また少し大きくなったな。こっちへ。」
カイルさんはその少年に親しげに声をかけた。
「ハルカ、1番下の弟のカミュだ。今年12才だ。」
弟さん!
「はじめまして。ハルカです。」
僕は立ち上がり、ぺこりと挨拶する。お兄さんとお付き合いしてますなんていきなり言えないから、名前だけ。
カミュくんはぼーと僕を見てるけど、12歳には見えないし、僕よりも少し背が高い。やはりこちらの人たちは生育がいいんだ。耳と尻尾がないから、気になるのかな。
「カミュ、どうした?ハルカは狼でも犬でもないが、俺の大切な伴侶だ。よろしくな。」
「ええっ。兄さんの?この小さいかわいい子が?年離れすぎでしょ。俺の方が釣り合ってるよ。」
なんだか問題発言が聞こえた気がした。どうせここでは小さい子扱いなのはもう慣れたよ。
「やらんぞ。」
何故かカイルさんが威嚇した。
将軍さんはお母様には逆らえないのか、あれから無言だ。お母様はにこにこして話しかけてくれる。カイルさんも将軍さんに話しかけないし、このまま帰るわけにはいかない。
「あのっ。」
僕は勇気を振り絞り、将軍さんに声をかけた。無表情のまま、僕の方をちらりと見られる。さすがに軍の偉い人だけあってか、威厳があり怯みそうになる。怖くてちょっと泣きそう。
「あのっ、カイルさんを怒らないでください。僕みたいな人間が伴侶だなんて許せないかもしれません。カイルさんのそばにいることが、よくないことかもしれません。けど、僕はカイルさんと一緒に生きたいんです。
将軍さんにもどうか許して欲しいんです。我儘なのは分かってます。どうかお願いします。」
どうかどうか伝わりますように。願いを込めて言い切ると、頭を下げた。
「ハルカ……。」
カイルさんも少し驚いた声が聞こえた。これは僕のエゴかもしれないけど、カイルさんの家族に認めてほしいし、僕のせいで2人の仲が悪くなるのも嫌だ。
「父さん、俺も自分の行動には反省すべきところはある。父さんの言うことも分かる。ただ、ハルカ以外の伴侶は考えられないんだ。ハルカにはこの世界に家族がいない。父さんと母さんには、家族としてハルカの力になっあげてほしい。お願いします。」
そんな僕の気持ちがカイルさんには伝わったのか、真剣な声でそう言うと、頭を下げたままの僕の隣で、一緒に頭を下げてくれた。
「…なんで、ララーナはお母様で、私には将軍さんなんだ。」
ボソッと将軍さんの声が聞こえる。
「えっ?」
思わず顔を上げると、不満げな将軍さんと目が合った。それはまだ認めてもらえてないからだけで、他意はないんだけど。
「うふふ。拗ねてるだけなのよ、この人。カイルは仕事ばっかりで、家にも全然帰ってこないし、何の報告もなかったから。
カイルも悪いのよ。いくら大人だからってあなたを心配してるお父様に、ずっと何にも言わないできたから。狼が子煩悩なの分かってるでしょ。」
「ララーナ!」
お母様がなんだか1番強い気がする。カイルさんも隣で苦笑している。
「お二人にはご心配をおかけしてすみません。」
カイルさんが素直に謝ると、将軍さんは小さく息を吐いた。
「お前の王宮での態度を見た時から予感はしてたんだ。我が息子ながら驚いたよ。ただの保護の対象としては違和感があったからな……。」
将軍さんは初めて僕に笑顔を見せてくれた。
「ハルカくん、怖がらせて悪かったね。」
笑った顔はカイルさんにとても似ていて、僕はホッとするのと同時に嬉しくてぽろりと涙が流れた。
「泣かすなよ。」
カイルさんがそっと指で涙を拭ってくれた。
「うっ、すまん。」
「いえ、あの、嬉しかっただけですから。すみません、泣いたりして。」
あんなこと言った割に、すぐ泣くなんて恥ずかしい。泣き笑いみたいな顔になったけど、将軍さんに大丈夫だと笑顔を向けた。
そしたら将軍さんは、また小さく、うっと言って固まってしまった。耳も尻尾がピンと立ってる。そんなに変な顔だったのかな。申し訳ない。
「ハルカくん、…お父様と呼んでみてくれ。」
復活した将軍さんは何故か真剣な顔だ。それって認めてくれたってことだよね。
「はい。お父様。」
嬉しくて僕に尻尾があったらぶんぶん振りたい気分だ。何故か、3回ほどもう1回、とか繰り返させられたところで、苦笑したカイルさんに止められた。お母様は楽しそうに声をあげて笑っていた。
ほっとしたところで、ノックの音が響き、ドアから顔を出したのは、身なりのいい少年だった。
黒髪に青い瞳、すらりとした身体にあどけなさは残るけれど、カイルさんにそっくり。
「父様、母様、カイル兄さんが帰ってきてるって聞いて。ご一緒してもいいですか?」
声もよく似てるけど、少し高い。少年の頃のカイルさんに会ったみたい。
「カミュ、久しぶりだな。また少し大きくなったな。こっちへ。」
カイルさんはその少年に親しげに声をかけた。
「ハルカ、1番下の弟のカミュだ。今年12才だ。」
弟さん!
「はじめまして。ハルカです。」
僕は立ち上がり、ぺこりと挨拶する。お兄さんとお付き合いしてますなんていきなり言えないから、名前だけ。
カミュくんはぼーと僕を見てるけど、12歳には見えないし、僕よりも少し背が高い。やはりこちらの人たちは生育がいいんだ。耳と尻尾がないから、気になるのかな。
「カミュ、どうした?ハルカは狼でも犬でもないが、俺の大切な伴侶だ。よろしくな。」
「ええっ。兄さんの?この小さいかわいい子が?年離れすぎでしょ。俺の方が釣り合ってるよ。」
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何故かカイルさんが威嚇した。
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