拾われた後は

なか

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   昼間着せられていたのと同じ形のパジャマに着替えて寝室に戻る。足がスースーして心許ない。

   そこには着替えたらしいカイルさんがラフな格好でベッドに腰掛けていた。

「さっきはすみませんでした。」

   ぽんぽんとカイルさんが座ってる場所のすぐ横を軽く叩く。そっと隣に座った。

「こちらこそ、悪かった。慌ててしまって。」

「いえ、あの潜ってみたくなって。紛らわしいことをしてた僕が悪いんです。ご迷惑をおかけして。」

「溺れてたんじゃないんだな。」

「はい。すみませんでした。」

   しゅんと肩を落とすと、また頭を撫でられた。簡単に拭いただけの濡れた髪を優しく梳いてくれる。

「おいで。」

   ひょいっと足の間に座らされる。
小さい子供みたいに簡単に持ち上げられてしまう。ちょっと傷つくよ。
   タオルで髪を拭いて乾かしてくれる。

   うん、気持ちいい。
小さい頃、弟の髪を乾かしてあげたことを思い出す。

   心配してるよな。
無事だよと伝える手立てもない。帰れるかもわからない。

  そう考え出すと、急に怖くなった。

   僕の雰囲気の変化を感じ取ったのか、カイルさんが顔を覗き込む。
   僕はとっさに下を向いたけど、泣きそうな顔は見られてしまった。

   そのまま何も言わず、髪を乾かすとまた脇に手を入れられ立たされる。その後ろでカイルさんが立ちあがる。部屋に戻るのかなと思い、一歩右に動こうとした。

「うわっ。」

   軽々と抱き上げられてしまった。子供を抱き上げるように背中とお尻の下に腕が回っている。

「えっ、何っ?ちょっカイルさんっ。」

   高いとこは苦手だ。ぎゅっと首に抱きつく。

「寝るぞ。」

   それだけ言って、スタスタと移動し始める。
   怖いよー。目を瞑って耐える。
   寝るならさっきのベッドじゃないの。

   動きが止まって、すとんと降ろされたのは知らない部屋の大きなベッド。

「寝るぞ。」

  また同じ言葉を放ったカイルさんがベッドに入り、後ろから抱きしめてくる。
   一緒に寝るってこと?

   回された手がぽんぽんと軽くリズムをとる。これ完全子供を寝かしつけてる感じだよね。

「カイルさん。」

「いいから、寝ろ。話は明日だ。」

   強引な感じもするけど、泣きそうになってたから心配してくれたんだろう。
   今夜だけは甘えてもいいかと自然と思えたと同時に、張りつめていた糸が切れるように僕はすとんと眠りに落ちた。


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