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第二章 強制労働 -女子高にて-
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夕方になり、倉庫の扉がいきなり開けられた。リーダーだった。
「いつまで寝てるんだ。ついてこい。」
襟をつかまれ廊下にひきづりだされた。茫然としていると、尻を蹴りあげられ再び股間の切断面に激痛が走った。
無言で足早に歩くリーダーを追いかけるのは大変だった。足裏に石が食い込み再び血だらけになったが、立ち止まるわけにはいかなかった。
学校を後にすると、繁華街とは反対側に向かった。家並みは徐々に薄汚くなり薄暮の中で町は原色を失っていった。町外れの外階段が錆びついた木造アパートが立ち並ぶドヤ街風の場所が目的地だった。
工事現場の飯場のようなプレハブ造りの大きな建物に入っていった。
リーダーは、建付けの悪い引き戸を無理やり開けると入口脇の小さな部屋にいた皺だらけの老婆に声をかけた。
「空いてるベッドがあったはずだろ。今日から寝かしてやってくれ。」
老婆は80歳もとうに超えているような見てくれだったが、私と同じように白のブラウスと濃紺のプリーツスカートを身に着けていた。しかし、プリーツはほとんど取れフレアスカート状態、ブラウスも黄ばみを通り越して茶色に近づいているようだった。唯一私よりましなのは、素足ではあったが底が半分取れかけたサンダルを履いていたことだった。
「また田舎の家出娘かい?」
「まあ、そんなもんだ、頼んだよ。」
リーダーは一言いうと出ていった。
管理人の老婆は、何度も殴られ痣だらけになった私の顔を見て、数本しかない茶色に変色した歯をむき出しにして笑った。
「おやまあ、よく殴られたもんだね。あの人は若いのに気が短いからね。ほらついといで。」
激しく軋む廊下の両側は大部屋が並んでいた。老婆の後について1階の一番奥まった所にある部屋に入った。2段ベッドが4つ並んだ大部屋だった。入り口左側の上段ベッドを指さし
「これがあんたの場所だよ。この部屋にいるのは、あんたと同じように家や職場を追い出されたり、逃げ出したりした連中だよ。ここの決まりごとはこの女たちに聞いとくれ。ひっひっひっ」
管理人のばあさんは不気味な笑い声を出して、廊下を軋ませながら戻っていった。
私のベッドの下段にいたのは髪はボサボサのくせに顔は血色の悪さを誤魔化すように丹念に厚化粧をした中年女だった。色あせたピンクのタンクトップにショートパンツを履き、指元を見るとタバコの脂で黄色くなっているわりには、淡いピンク色のマニュキュアが丁寧に塗ってあった。足の爪はうって変ってペディキュアはほとんど剥げかけていた。
隣のベッドには、げっそりやせ細って浅黒い娘がブラジャーとショーツのまま毛布も掛けずに横たわっていた。寝ているわけではないようで、荒い溜息を繰り返し時折咳き込んでは寝返りをうっていた。どう見てもまともな健康状態には見えなかった。
向いのベッドには、紫色に染めているようだったが半分までは地の白髪交じりの長い髪の女が、独り言をつぶやいては髪を振り乱しながらベッドに腰掛けていた。初老に見えるが年齢はよくわからない。その女も下着のまま、それも染みだらけのスリップでその下には何も身に着けていないようだった。私のほうを見ているようだが、何の関心もなさそうだ。
その隣には、着物だかガウンだか毛布だか区別のつかないような布を身に纏った老婆が、すっかり歯の抜け落ちた口で奇声を発していた。受付の婆さんよりも老けていて、何を喋っているのかほとんど理解できなかった。
ベッドの様子を見ると、この部屋にはあと2人いるようだったが部屋には見当たらない。いずれも全うな生活をしているとはいえないような、見るのも不気味な女たちだった。
「いつまで寝てるんだ。ついてこい。」
襟をつかまれ廊下にひきづりだされた。茫然としていると、尻を蹴りあげられ再び股間の切断面に激痛が走った。
無言で足早に歩くリーダーを追いかけるのは大変だった。足裏に石が食い込み再び血だらけになったが、立ち止まるわけにはいかなかった。
学校を後にすると、繁華街とは反対側に向かった。家並みは徐々に薄汚くなり薄暮の中で町は原色を失っていった。町外れの外階段が錆びついた木造アパートが立ち並ぶドヤ街風の場所が目的地だった。
工事現場の飯場のようなプレハブ造りの大きな建物に入っていった。
リーダーは、建付けの悪い引き戸を無理やり開けると入口脇の小さな部屋にいた皺だらけの老婆に声をかけた。
「空いてるベッドがあったはずだろ。今日から寝かしてやってくれ。」
老婆は80歳もとうに超えているような見てくれだったが、私と同じように白のブラウスと濃紺のプリーツスカートを身に着けていた。しかし、プリーツはほとんど取れフレアスカート状態、ブラウスも黄ばみを通り越して茶色に近づいているようだった。唯一私よりましなのは、素足ではあったが底が半分取れかけたサンダルを履いていたことだった。
「また田舎の家出娘かい?」
「まあ、そんなもんだ、頼んだよ。」
リーダーは一言いうと出ていった。
管理人の老婆は、何度も殴られ痣だらけになった私の顔を見て、数本しかない茶色に変色した歯をむき出しにして笑った。
「おやまあ、よく殴られたもんだね。あの人は若いのに気が短いからね。ほらついといで。」
激しく軋む廊下の両側は大部屋が並んでいた。老婆の後について1階の一番奥まった所にある部屋に入った。2段ベッドが4つ並んだ大部屋だった。入り口左側の上段ベッドを指さし
「これがあんたの場所だよ。この部屋にいるのは、あんたと同じように家や職場を追い出されたり、逃げ出したりした連中だよ。ここの決まりごとはこの女たちに聞いとくれ。ひっひっひっ」
管理人のばあさんは不気味な笑い声を出して、廊下を軋ませながら戻っていった。
私のベッドの下段にいたのは髪はボサボサのくせに顔は血色の悪さを誤魔化すように丹念に厚化粧をした中年女だった。色あせたピンクのタンクトップにショートパンツを履き、指元を見るとタバコの脂で黄色くなっているわりには、淡いピンク色のマニュキュアが丁寧に塗ってあった。足の爪はうって変ってペディキュアはほとんど剥げかけていた。
隣のベッドには、げっそりやせ細って浅黒い娘がブラジャーとショーツのまま毛布も掛けずに横たわっていた。寝ているわけではないようで、荒い溜息を繰り返し時折咳き込んでは寝返りをうっていた。どう見てもまともな健康状態には見えなかった。
向いのベッドには、紫色に染めているようだったが半分までは地の白髪交じりの長い髪の女が、独り言をつぶやいては髪を振り乱しながらベッドに腰掛けていた。初老に見えるが年齢はよくわからない。その女も下着のまま、それも染みだらけのスリップでその下には何も身に着けていないようだった。私のほうを見ているようだが、何の関心もなさそうだ。
その隣には、着物だかガウンだか毛布だか区別のつかないような布を身に纏った老婆が、すっかり歯の抜け落ちた口で奇声を発していた。受付の婆さんよりも老けていて、何を喋っているのかほとんど理解できなかった。
ベッドの様子を見ると、この部屋にはあと2人いるようだったが部屋には見当たらない。いずれも全うな生活をしているとはいえないような、見るのも不気味な女たちだった。
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