平凡な高校生活を送る予定だったのに

空里

文字の大きさ
3 / 94

聞いていた話と違った

しおりを挟む
「なんで、ここに?」
何故か家にいた立花凛花に唖然としながらもそう問う。
「今日からお手伝いをすることになりましたから」
は?いや、ちょっと待て。確かに学生だとは聞いていたが、高校からでは距離が遠すぎる。
「りょう。良い子なんだから手は出すんじゃないよ?」
見えないところからお母さんの声が聞こえてきた。
何かを焼いている音と美味しそうな匂いがしているため台所で料理をしているのだろう。
ちなみにお母さんは僕のことをりょうと呼ぶ。一文字しか省略できてないため有用なのかわからないが。
「そんな気無いって。それに僕には・・・・・・」
「僕には?」
凛花に問い詰められるが、
「なんでもない」
そう答えて荷物を自分の部屋に持っていく。



僚太が自分の部屋に行った後、凛花は手伝うため台所に来ていた。
「それにしても良いの?」
僚太の母親がそう問う。
「はい」
二人はこれだけで意味がわかっているようであった。



夕食の時間。今日はいつもと違い少しテーブルが狭い感覚におちいる。
それもそのはずでいつもよりも一人多いからだ。
聞いた話によればお手伝いをする対価として食事もあるため文句は一応なかったのだが、
「それにしても凛花ちゃん、なんで家の手伝いをする気になったの?」
お母さんがそんなことを聞いた。内心すごく驚いた。
お母さんはしっかりしており、そういう情報は先に聞いているものだと思っていた。
「実はお引っ越しの準備をしてて、早めに家を片付けたかったらしくてもう生活するのも難しい感じになっちゃってそれで・・・」
「誠郎さんは大丈夫なの?」
「はい。仕事場で寝泊まりしているみたいで」
話の流れからして誠郎さんというのは凛花の父親だろう。
にしてもなんか知り合いっぽいな。
「まあ、元々物置の部屋だったから少し狭いけど我慢してね」
「はい。お気遣いありがとうございます」
うん?
「ちょっと待って」
「急にどうしたんだ?箸も置いて」
「聞いてない」
「ああ、りょうは頼んでも物置の整頓してくれなかったものね」
僕が言いたいのはそういうことではない。
確かに家の物置は散乱しておりとても人が住める部屋ではなかったが、
「なんで泊まることになってんの?」
「なんでってそういう条件でお手伝いしてもらってるんだもの」
「は?」
そんなこと聞いてないぞ。そう思いお父さんを見るが、
「うん?言ってなかったか?」
「はあ、もう良いや」
今さら知ったところでどうすることも出来ないため諦めることにした。
その後、僕はあまり会話に入らず黙々と夕食を食べ進め、一番に食べ終わると自分が使った食器を台所に持っていき自分の部屋に直行した。
何より今日告白してきた女性と夕食を食べるなど、どうしようとも意識してしまう。
宿題は昼休みの内に終わらせていたため読書をし、冷静になるように心がけた。



「本当にあのままで良いの?」
僚太の母親は再度凛花に問う。
「良いんです。私も少しフライングしすぎてしまったみたいで・・・・・・」
「全く、りょうったら・・・・・・」
ここでもまた二人にしかわからない会話が行われていた。



翌朝。昨日はよく物語でありがちなお風呂で裸を・・・なんてことはなく、必要時以外は全て自室にいたためほとんど関わってすらいない。

「おはよう、僚太くん」
この挨拶によってもしかしたら夢だったんじゃないかという希望は潰えた。
「おはよう」
そういえばいつの間にか呼び方が変わっている。
自然すぎて気づかなかった。

いつもと同じ時間に家を出るが凛花も一緒というのがいつもと違っていた。
車は動き出してすぐに止まり、
ウィーンという扉が開く音と共に
「すみません、今日もお願い・・・・・・」
貴史が乗り込んで来るが凛花に目が止まり不思議そうな表情をしている。
「あ、広川さんでしたよね?お邪魔してます」
「はあ」
未だ疑問は残っているのだろうがとりあえず座りシートベルトをつける貴史。
車が再び進みだしたのをかわきりに二人の小声の会話が始まった。
「どういうこと?」
「僕にもわかんない。でも、少しの間続くのは確かかな。はっきりしてるのは昨日の店の手伝いをしてくれる人ってのが・・・・・・」
「なるほどね。でもなんで嫌そうなんだ?」
「いや、それは・・・・・・」
その反応と昨日の自分の顔をどう思うかという発言から貴史はある程度察した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...