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その役目をたった一人で背負うんだ。

やるせなかった。小さい女の子が目の前にいる女の子がって....

確かに同情だ。

だけど、自分のエゴと分かっていながらボクの賢者って言う力を与えてくれたことに初めて感謝したね。

それにね、ちゃんと了承はしていたから
勝手に、ではないよ?

目線を合わせたままのボクに向かって
こう言ったんだ

「このように力強く、凛々しくなるには
どうしたらいいのでしょう?」
そう言っていた時のキラキラした表情と言ったら、ホントに可愛かったよ

ナタリーちゃんが持っていた漫画が、たまたまソレだったのかあるいはって思ったけど
クスッと笑いながら

「そうだね、今からキミに力を授けていいかい?
ただ、この力はあくまでキミの滞在能力にちょっとだけ刺激を与えるだけだ
……もしかしたら幼いキミの体力が持たない可能性もあるし、命を失うかもしれない
それでも受け取るかい?」

「はい、私はこのユナイテッドトルネード大国の護り手を担っているのだそうです」

そうか、もう自分の役目を知っている
そしてその役目を全うしようとしている
姿に、お兄ちゃん泣きそうになったよ

「………そうか、分かった
ただ一つだけ約束を守ってくれるかい?」
「なんでしょう?」
「無理しない事だ」
「はい!約束致しますわ」

スッと小指を出したボクに、意味が分からないような顔をしたナタリーちゃんだったけど
「同じようにするんだよ」
ボクが笑ったら、ナタリーちゃんも
ニコッと笑ってスッと小指を出してくれたんだ。
指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます
指切った♪

ってね♪

…ボクには、滞在能力を見る能力もあったからね。
賢者サマサマってヤツかな☆


このユナイテッドトルネード大国にも、精霊は少しだけどいたから力を借りて
主にナタリーちゃんの周りに、だ

眠っていた力、ナタリーちゃんの身体から魔力を引っ張り上げた。
そして、今後得意になるだろうと予想した幻術を授けて身体能力も強化しておいた。

この力が毒にならない事を信じて

それに、いたくボクの漫画を気に入ってくれて
こちらの言葉の翻訳をして全部上げた。

ホントに賢者サマサマだよね

そこでボクのスマートフォンから音楽が流れてね。

その音楽も気に入ってくれたから
なんともまぁキラキラした目で
「何て言う音楽なの?不思議でわくわくする!」ってはしゃいだんだ。

ボクは身体能力と魔力の底上げをした事による反動
これから過酷な事になる女の子に向けて
小型の低重音の出るスピーカーと小型の音楽プレイヤーをプレゼントしたんだ

電力供給をしないで済むようにちょっとだけ改造して
こればかりは錬金の方法を学んでて良かったと思ったね
初めてだったけど上手くいってホントに良かった


お嬢様言葉が抜けてるのも気づかないで
可愛いかったなぁ....

はっ!違う違う今はセイラだけだからねっ!

あれ…セイラ?

すーすーと可愛らしい寝息と寝顔に思わず
ボクはオデコにキスをする


もう帰ろうか....
少し名残惜しいけど、ね⭐︎

そしてボクはセイラを抱き上げて自分の国に帰った。

だから、ナタリーちゃんの力になりたかったんだよ
ホントさ
遅くなったけどナタリーちゃんの伴侶となる人も覇気を使えたら
この世界では役に立つからね

聖女が産まれてくるまで、ナタリーちゃん
ひとりの負担にならないように
願いながら

次の日ボクはもう一人のほうへ向かおうと思う
もう一人は受け取ってくれるといいんだけど



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