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三船祐樹③
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三船祐樹は、ふとバックミラーに目を向ける。するとそこに蠢く影があった。
最初は何があったのかわからなかった。夜の闇に消えかけた空気の中で、全身真っ黒の恰好をしたライダーが走っている。ご丁寧にバイクそのものも真っ黒にペイントされ、ぱっと見ただけではその姿がわからないほどだ。
「何だ、気持ち悪い」
思わず毒づいた三船祐樹は、減速しわずかに右の方へ車を寄せる。
さっさと追い抜いてしまえ、と考えながらバイクの様子を伺う三船祐樹だったが――そのバイクは追い抜くことなく、三船祐樹の車にぴったりと並走する形を取ってきた。
次の瞬間、「バリン!」と乾いた音が響く。
ぎょっとした三船祐樹が左に目をやれば、こちらに向かって鉄パイプらしきものを振り上げているのが見えた。それを何度も何度も、ガラスに打ち付ける姿を見て三船祐樹は「ひっ」と小さな悲鳴を上げる。
咄嗟に車を右へ動かし、距離をとろうとするがブラックライダーの攻撃の方が早かった。何度目かの殴打の末にガラスが割れると、そこから何かが投げ込まれる。それがどうやら、ペットボトルのようだと気づいた三船祐樹だったが――その「ペットボトルのように見えるもの」は次の瞬間、破裂した。
「っ痛ああああああああああああっっっっっっっっ!」
三船祐樹は絶叫し、そのままアクセルを無茶苦茶に振り込むとそのうち電柱に激突する。車内に飛び散ったのは三船祐樹の真っ赤な血と、たくさんの釘に甘い匂い。
炭酸水に釘を入れ、それを意図的に破裂させれば簡易的な手榴弾もしくはクラスター爆弾になる……そんなことを知る由もなく、ただ呻くことしかできない三船祐樹に全身真っ黒なライダーがバイクを降りて、ゆっくりと歩いてきた。
最初は何があったのかわからなかった。夜の闇に消えかけた空気の中で、全身真っ黒の恰好をしたライダーが走っている。ご丁寧にバイクそのものも真っ黒にペイントされ、ぱっと見ただけではその姿がわからないほどだ。
「何だ、気持ち悪い」
思わず毒づいた三船祐樹は、減速しわずかに右の方へ車を寄せる。
さっさと追い抜いてしまえ、と考えながらバイクの様子を伺う三船祐樹だったが――そのバイクは追い抜くことなく、三船祐樹の車にぴったりと並走する形を取ってきた。
次の瞬間、「バリン!」と乾いた音が響く。
ぎょっとした三船祐樹が左に目をやれば、こちらに向かって鉄パイプらしきものを振り上げているのが見えた。それを何度も何度も、ガラスに打ち付ける姿を見て三船祐樹は「ひっ」と小さな悲鳴を上げる。
咄嗟に車を右へ動かし、距離をとろうとするがブラックライダーの攻撃の方が早かった。何度目かの殴打の末にガラスが割れると、そこから何かが投げ込まれる。それがどうやら、ペットボトルのようだと気づいた三船祐樹だったが――その「ペットボトルのように見えるもの」は次の瞬間、破裂した。
「っ痛ああああああああああああっっっっっっっっ!」
三船祐樹は絶叫し、そのままアクセルを無茶苦茶に振り込むとそのうち電柱に激突する。車内に飛び散ったのは三船祐樹の真っ赤な血と、たくさんの釘に甘い匂い。
炭酸水に釘を入れ、それを意図的に破裂させれば簡易的な手榴弾もしくはクラスター爆弾になる……そんなことを知る由もなく、ただ呻くことしかできない三船祐樹に全身真っ黒なライダーがバイクを降りて、ゆっくりと歩いてきた。
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