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第二章 お師匠様がやってきた

落ちこぼれの鮭の人

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 ルシウスが別に借りていた家には、彼が故郷から持ち込んだ衣服や小物、そしてアイシャとトオンへの指導に使うための魔導具などを保管してあるという。

 貸家はトオンの古書店のある南地区ではなく、北東地区にある。

 家とはいっても平家の若い夫婦が住むような小さな可愛らしい家で、むしろ庭にある倉庫目的で借りたものらしい。



 馬車5台分の荷物を、なぜリンク内のアイテムボックスに入れて来なかったのかとアイシャとトオンは不思議だった。

リンクのアイテムボックスは無限収納ではないのだ。私はそこそこ容量が大きいのだが、……甥っ子に、カズン様のための支援物資を詰め込まれていてな……」

 アイテムボックス自体は、新世代魔力使いのリンク使いなら、同じスキル持ちから習えば誰でも獲得できる。
 魔術師フリーダヤと聖女ロータス一家ファミリーの者は、リンクに覚醒した時点で近くにいた術者が本人のリンクの中に組み込んでくれる。

 ルシウスのアイテムボックスも、そのようにして師匠のひとり、魔術師フリーダヤに使えるようにしてもらったものだ。

 半年前、リンクに目覚めたアイシャとトオンは、これまたフリーダヤとロータス系列の魔術師であるカズンからアイテムボックスをリンク内に設置してもらっている。



 そのカズンだが、故郷を出奔した5年前の時点ではまだ完全にリンクを使いこなしておらず、リンク内のアイテムボックス容量は、一抱えの木箱二箱分だった。

 そして、同じ系列の魔力使いならリンクを通して物品や情報のやり取りが可能なのである。
 ルシウスとカズンは同じ師匠を持つため、系列も同じ。

 当時、ルシウスの甥っ子の鮭の人は、自分の幼馴染みであるカズンのために、ルシウスのアイテムボックスを利用させてくれと頼んできたらしいのだ。

 本当なら自分こそがリンクを使えるようになってカズンを支援したかっただろうに、とルシウスが嘆息している。

「大量回復用ポーションに魔力ポーション。食料品の数々。飲料水、嗜好用のドリンク。衣服。応急処置用の医薬品。それらで、私の倉庫三棟分のアイテムボックスは一杯になってしまった」

 一気に渡すことはカズン側の容量不足の問題でできないから、少しずつ使用した分を今もルシウスが補充してやっているとのこと。

 ルシウス本人の私物スペースは、奇しくもカズンと同じ木箱二箱分くらいしか確保できなかったそうだ。
 ちなみにその空き容量分には、亡き兄との思い出の品を収納してあるという。



「鮭の人、全然リンク使えてないままなのかー」
「使えるようになったとき、カズン様に再会できるのは間違いない。だが、そのカズン様へのこだわりがネックだ。リンクを使うときだけで良いのだと何度説明しても理解せぬ」

 既に、フリーダヤとロータス系列のリンク使いたちは、ルシウスの甥っ子を身内認定している。

 だが、優れた資質を持ちながら、5年以上経過してまだリンクが使えない“落ちこぼれ”をどうするか、ファミリーの者たちは頭を悩ませている。



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鮭の人は聖女投稿こちらには来るんですかねえ。
来るなら鮭持ってきてもらわんとw
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