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第二章 お師匠様がやってきた
お師匠様の一族こわい2
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「あら。じゃあ、カズンの幼馴染みだっていう鮭の人は、そうしてカズンを落としたってことなの?」
「いやあ……甥っ子は……また違う感じだ」
そもそも、落とせていないとのこと。
「甥っ子は同じ一族だから、当然私のこの顔とよく似ている。麗しすぎるのも問題で、子供の頃から人に外面しか見てもらえず常にフラストレーションを抱えて育つことになる」
「うんうん」
「だから、そんなところに『顔なんかどうでもいいから君が好き』と本気で言ってくれる者がいると、コロっと」
「「コロっと」」
「ああ……言いそう。あいつそういうこと平気で言いそう、カズンって」
「その通り。そんなわけで、うちの甥っ子は幼い頃からカズン様が大好きだ」
つまり落としたのではなく、自分が落とされる側だったということだ。
「幼い頃からふたりで、あちこち駆け回っては美味しいものを探して食しながら笑い合っていた。あれは……何とも愛らしかったものだ」
ルシウスを見つけると、満面の笑みでとてとてとてーっと手を繋ぎながら駆け寄ってきて、
「ルシウスさま!」
「おじさま!」
「「おいしいものが、たべたいです!」」
「と声を揃えておねだりなどされてみろ? 全力で応えたくなるではないか」
フフフ……と当時を思い出して嬉しそうに頬を染めて笑っている。
つまり、甥っ子とその幼馴染みだったカズンのために彼の調理スキルは磨かれたということらしい。
あと恐らくは最愛の兄のために。
「カズンが言うには、アケロニア王国では調理スキルは薬師スキルの派生と見られてるとのことでした。やっぱりそうなんですか?」
「ああ、そうだ。だから調理スキル持ちは対応するランクの薬師スキルの獲得も容易だ」
「貴族なのに料理するって、庶民育ちの俺には不思議な感じでしたよ」
少なくともカーナ王国の貴族たちではあり得ない話だ。
アイシャもトオンの言葉に頷いている。
「我らの故郷では、貴族の家はそれぞれ名産品を使った名物料理を持っているんだ。家の料理人が作るところも多いが、我が家は当主が自ら調理し、客人に饗する」
「サーモンパイですね!?」
「お、知っていたのか」
「「カズンが作ってくれました!」」
「ほう」
普通の鮭だけ入ったもの、クリームチーズとブロッコリーなど温野菜入りのもの、そしてパエリヤ入りのものと三種類作ってくれたことをアイシャとトオンは伝えた。
ものすごくものすごく美味しかった。
「何と。サーモンパイエタニティまで」
「ルシウスさんがいつ作ってくれるかなって期待してます」
「サーモンパイ、楽しみなの!」
「む」
期待されると応えたくなるのが、ルシウスという男の性だった。
彼は己が身内と認めた者には何かと甘い。
もちろん厳然として譲らないところも多いのだが、こと料理に関しては甘々だった。
「今、故郷から鮭を持ってくるのは難しいだろうな……。この国はどうなんだ? 鮭はいるのか?」
「確か、生息してる湖があったはずだよ」
「探しに行くか」
「じゃあその辺は俺が調べておきますね!」
古書店の店主の面目躍如だ。トオンが張り切っている。
--
カズン君と鮭の人のショタ時代には尊みしかない(`・ω・´)キリッ
実はトオン君のショタ時代も天使。
「いやあ……甥っ子は……また違う感じだ」
そもそも、落とせていないとのこと。
「甥っ子は同じ一族だから、当然私のこの顔とよく似ている。麗しすぎるのも問題で、子供の頃から人に外面しか見てもらえず常にフラストレーションを抱えて育つことになる」
「うんうん」
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「「コロっと」」
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「その通り。そんなわけで、うちの甥っ子は幼い頃からカズン様が大好きだ」
つまり落としたのではなく、自分が落とされる側だったということだ。
「幼い頃からふたりで、あちこち駆け回っては美味しいものを探して食しながら笑い合っていた。あれは……何とも愛らしかったものだ」
ルシウスを見つけると、満面の笑みでとてとてとてーっと手を繋ぎながら駆け寄ってきて、
「ルシウスさま!」
「おじさま!」
「「おいしいものが、たべたいです!」」
「と声を揃えておねだりなどされてみろ? 全力で応えたくなるではないか」
フフフ……と当時を思い出して嬉しそうに頬を染めて笑っている。
つまり、甥っ子とその幼馴染みだったカズンのために彼の調理スキルは磨かれたということらしい。
あと恐らくは最愛の兄のために。
「カズンが言うには、アケロニア王国では調理スキルは薬師スキルの派生と見られてるとのことでした。やっぱりそうなんですか?」
「ああ、そうだ。だから調理スキル持ちは対応するランクの薬師スキルの獲得も容易だ」
「貴族なのに料理するって、庶民育ちの俺には不思議な感じでしたよ」
少なくともカーナ王国の貴族たちではあり得ない話だ。
アイシャもトオンの言葉に頷いている。
「我らの故郷では、貴族の家はそれぞれ名産品を使った名物料理を持っているんだ。家の料理人が作るところも多いが、我が家は当主が自ら調理し、客人に饗する」
「サーモンパイですね!?」
「お、知っていたのか」
「「カズンが作ってくれました!」」
「ほう」
普通の鮭だけ入ったもの、クリームチーズとブロッコリーなど温野菜入りのもの、そしてパエリヤ入りのものと三種類作ってくれたことをアイシャとトオンは伝えた。
ものすごくものすごく美味しかった。
「何と。サーモンパイエタニティまで」
「ルシウスさんがいつ作ってくれるかなって期待してます」
「サーモンパイ、楽しみなの!」
「む」
期待されると応えたくなるのが、ルシウスという男の性だった。
彼は己が身内と認めた者には何かと甘い。
もちろん厳然として譲らないところも多いのだが、こと料理に関しては甘々だった。
「今、故郷から鮭を持ってくるのは難しいだろうな……。この国はどうなんだ? 鮭はいるのか?」
「確か、生息してる湖があったはずだよ」
「探しに行くか」
「じゃあその辺は俺が調べておきますね!」
古書店の店主の面目躍如だ。トオンが張り切っている。
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