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第五章
Chapter.17 真実の告白
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真実の告白
3日間、二人はアーグラ城など、アーグラの見どころを巡り、楽しい時間を過ごした。
「周人、まだ日数あるからさ、私、ジャイプールに行きたい。そこも世界遺産あるんだよ」
「ジャイプール? 名前は聞いたことあるな。いいね、行こうよ」
翌朝、ジャイプールまでバスで5時間かけて移動、ゲストハウスを確保すると、部屋に荷物を置いて外出した。街歩きをすると、空はすっかり薄暗くなり、夕食を食べにレストランに入った。
二人はすでに恋人同士であり、十分に距離も縮めたと思っていた周人は、食後、幸来紗に本題を切り出そうと考えていた。
「あのさ、幸来紗。ちょっと、真面目な話なんだけどさ」周人の声色は変わる。
「どうしたの、あらたまって」
「幸来紗が大事で隠し事はしたくないから、みんな正直に話したい。気を悪くさせちゃったらごめん」
「何?」幸来紗の脈は高まる。
「あのさ、俺と日坂がインドに来て、幸来紗と会ったのは、すべて念入りな計画があってのことだったんだよ」
「どうゆうこと?」幸来紗は周人の目を見ながら、首をかしげる。
「美智さんがさ、未来のこと話したでしょ。あの信じられないような話、俺らも全部知ってたんだよ」
「えっ……?」
「幸来紗も、あの話を信じたとは聞いている。美智さんからお父さんを説得して、国防力を強化するとかして欲しい、みたいなこと言われたでしょ?」
「言われたけど、……周人もあの話に関係してるの?」
幸来紗は真剣な表情に変わる。
「未来人の話、聞いたでしょ?」
「うん」
「その未来人ってさ、華怜さんのことなんだよ。日坂の姉だって偽って一緒に行動してる。本名は松田友杏さんていって、彼女が2065年からタイムマシンで来た未来人」周人は息を深く吸う。
「そうなんだ…… 美智がその話のこと、急にしなくなったから、なんか変だなとは思ってた」
「友杏さんはさ、美智さんだけじゃなくて、俺と日坂にも協力を仰いで、東京へ核ミサイルが落とされるのを防ごうとしてるんだ。美智さんだけが、先にインドに来ていたみたいにしていたけど、実は最初から四人で来てた。みんなで騙していて本当にごめん」
周人は、その他にも友杏と出会ってからの経緯をすべて話した。
幸来紗は真剣に話を聞いている。
「美智が話していたことは、その後も気になってた。でも、美智はその後、その話題を出さなくなった。私もあんまり触れたくない話題だったから、あえて口に出さなかったけど」
「そのことなんだけど、俺からも幸来紗にお願いしたいと思ってる」
「周人も、核肯定派?」
「もちろん、核なんて、大量の人間を殺す兵器はない方がいいに決まってる。もともと存在しなければいいと思うよ。でも、現在の国際情勢を見ている限り、核保有してもいいと思ってる。核抑止力で、核を保有することで攻撃を防いでるのは、すでに歴史も実証しているよ。核保有している国は大きな戦争には発展してないし、核保有している国に対して、戦争を仕掛ける国もない」
「そうなんだね。それで周人も、私にお父さんを説得して欲しいわけなんだね?」
幸来紗の声のトーンは下がる。
「うん。そうだね。首都東京を守るためにもね。それに九州事変だって回避できるかもしれないし」
「分からないな。私は、お父さんにそのような考え方は間違いだって刷り込まれてる。国防力を高めることで敵対心を煽るんだって」
「それは逆だよ。国防力を高めることが抑止力になると思うよ。国によってイデオロギーは異なり、また、相手の歴史なども考慮して対応するべきだよ。そうなると、日本も核を持っていいと思う。未来の歴史書を読んでみても、その方がいいって分かると思う」
「ねえ周人、そのために私に近づこうとした? 本当に私のことが好きなの? なんかスパイみたい。ごめん、だんだん、周人が分からなくなってきてる」
幸来紗は悲しげな表情を見せる。
「何言ってるんだよ。本当に好きだよ。信じて欲しい」周人は焦って言う。
「信じたい。……でも少し一人にして」
幸来紗は周人に対して、疑惑の念が膨らみ始めた。
二人は、重苦しいムードでゲストハウスに戻り、ダブルベッドの隅と隅で、距離を置き眠りについた。
3日間、二人はアーグラ城など、アーグラの見どころを巡り、楽しい時間を過ごした。
「周人、まだ日数あるからさ、私、ジャイプールに行きたい。そこも世界遺産あるんだよ」
「ジャイプール? 名前は聞いたことあるな。いいね、行こうよ」
翌朝、ジャイプールまでバスで5時間かけて移動、ゲストハウスを確保すると、部屋に荷物を置いて外出した。街歩きをすると、空はすっかり薄暗くなり、夕食を食べにレストランに入った。
二人はすでに恋人同士であり、十分に距離も縮めたと思っていた周人は、食後、幸来紗に本題を切り出そうと考えていた。
「あのさ、幸来紗。ちょっと、真面目な話なんだけどさ」周人の声色は変わる。
「どうしたの、あらたまって」
「幸来紗が大事で隠し事はしたくないから、みんな正直に話したい。気を悪くさせちゃったらごめん」
「何?」幸来紗の脈は高まる。
「あのさ、俺と日坂がインドに来て、幸来紗と会ったのは、すべて念入りな計画があってのことだったんだよ」
「どうゆうこと?」幸来紗は周人の目を見ながら、首をかしげる。
「美智さんがさ、未来のこと話したでしょ。あの信じられないような話、俺らも全部知ってたんだよ」
「えっ……?」
「幸来紗も、あの話を信じたとは聞いている。美智さんからお父さんを説得して、国防力を強化するとかして欲しい、みたいなこと言われたでしょ?」
「言われたけど、……周人もあの話に関係してるの?」
幸来紗は真剣な表情に変わる。
「未来人の話、聞いたでしょ?」
「うん」
「その未来人ってさ、華怜さんのことなんだよ。日坂の姉だって偽って一緒に行動してる。本名は松田友杏さんていって、彼女が2065年からタイムマシンで来た未来人」周人は息を深く吸う。
「そうなんだ…… 美智がその話のこと、急にしなくなったから、なんか変だなとは思ってた」
「友杏さんはさ、美智さんだけじゃなくて、俺と日坂にも協力を仰いで、東京へ核ミサイルが落とされるのを防ごうとしてるんだ。美智さんだけが、先にインドに来ていたみたいにしていたけど、実は最初から四人で来てた。みんなで騙していて本当にごめん」
周人は、その他にも友杏と出会ってからの経緯をすべて話した。
幸来紗は真剣に話を聞いている。
「美智が話していたことは、その後も気になってた。でも、美智はその後、その話題を出さなくなった。私もあんまり触れたくない話題だったから、あえて口に出さなかったけど」
「そのことなんだけど、俺からも幸来紗にお願いしたいと思ってる」
「周人も、核肯定派?」
「もちろん、核なんて、大量の人間を殺す兵器はない方がいいに決まってる。もともと存在しなければいいと思うよ。でも、現在の国際情勢を見ている限り、核保有してもいいと思ってる。核抑止力で、核を保有することで攻撃を防いでるのは、すでに歴史も実証しているよ。核保有している国は大きな戦争には発展してないし、核保有している国に対して、戦争を仕掛ける国もない」
「そうなんだね。それで周人も、私にお父さんを説得して欲しいわけなんだね?」
幸来紗の声のトーンは下がる。
「うん。そうだね。首都東京を守るためにもね。それに九州事変だって回避できるかもしれないし」
「分からないな。私は、お父さんにそのような考え方は間違いだって刷り込まれてる。国防力を高めることで敵対心を煽るんだって」
「それは逆だよ。国防力を高めることが抑止力になると思うよ。国によってイデオロギーは異なり、また、相手の歴史なども考慮して対応するべきだよ。そうなると、日本も核を持っていいと思う。未来の歴史書を読んでみても、その方がいいって分かると思う」
「ねえ周人、そのために私に近づこうとした? 本当に私のことが好きなの? なんかスパイみたい。ごめん、だんだん、周人が分からなくなってきてる」
幸来紗は悲しげな表情を見せる。
「何言ってるんだよ。本当に好きだよ。信じて欲しい」周人は焦って言う。
「信じたい。……でも少し一人にして」
幸来紗は周人に対して、疑惑の念が膨らみ始めた。
二人は、重苦しいムードでゲストハウスに戻り、ダブルベッドの隅と隅で、距離を置き眠りについた。
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