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抵抗者たちの焔【外伝】
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ユーリがロザリアとなる前のお話です。
◇
弱きを守り、強きを従える。
それこそがノブレス・オブリージュ。
高貴なる誠の神祖。
全ての品格は、彼女から発現したものである。
神祖伝承記 『千血の銀姫』より
著 ニコ――・テス――
◇
歴史とは、未来予測に繋がる珠玉の魔法である。
なぜかと問われれば、それは無論、ありとあらゆる生物の歩みがつぶさに記録されているからだ。端的に言えば、それは【生き死に】の流れである。
過去の出来事と歴史の流れを読み取り、そこへ現在の状況を重ね比べ――――
次にどのような事態が起こりうるのか予見する。
「……歴史を研究する者は、過去と現在と、そして未来を視るのだ」
口にする事で、自分の思考を再確認する。
人族に限らず、魔族、竜族、神族、真羅族、万象族と、多くの歴史を残している。その時その時にどのような出来事が起こり、起こし、そしていかように思考し対処してきたのか。それは種族によって異なる以前に、知性と意思ある者全てが各々違った行動を取り、様々な結果を導き出してきた。
例えば、大戦の勝敗を分かつ秘策を用いた大英雄のように。
自らの種族に備わる力の解放を発見した魔王のように。
巧みな戦術の行使方法で、絶望的な戦力差を跳ねのけた勇将のように。
戦わずにして恒久の和平を結んだ竜使官のように。
その手段は後の世に優れた解決策として語り継がれ、研究されては今に生きる。
戦争時はこれらの史実を元に、有効な戦略を練り、敵軍の動きを読み取って優位に立ち回るための欠かせない知識だ。
「あーあぁ、ついに魔法史の根底を覆しかねない実験が始まっちゃうわね」
れっ……不意に隣で上がった声にこの私が動揺し、思考が霧散されるはずもない。
れ、『歴史』の有用性は何も『戦争』という名の外交面だけでなく、文化的に発展を遂げる情報の収集にも大いに役立っている。これら全ては生きとし生ける者の生活基盤を上昇させ、活性化に伴い『進化』を促す要因へと結びつく。
そう、例えば――
死をも克服する、死霊術種の軌跡を辿り、その奇跡を用いて病魔に侵された患者の延命措置を計るといった事も可能なのだ。
また、植物の恵みを育む樹精霊と親交深い森の民エルフ族。彼らの成り立ちと生活を学び、エルフの歴史から窺える信仰と伝統、それらの活用研究から食糧生産技術へと応用する。そうして痩せ細った土地を緑に変え、飢餓に苦しむ民を救う食物の安定供給が約束された農業革命魔法などなど。
歴史の叡智から産出された、偉業の数々。
「めんどうね……」
そんな偉業の一つが新たなに生まれるかもしれないという、この重大な場面で……隣に立つ同僚は、『めんどうね』の一言で片づけてしまう。
彼女、フェニシア・ラミールは私と同じく、一つの歴史的研究の集大成、魔法実験の場に立つ事を任命された稀有な人材だ。
「ここ、無駄に高いし寒いし。早く帰りたいわ」
空に最も近い魔法実験場、『蒼穹の大空宮』。天にも届かんばかりに建造されたタワーの頂上が実験場となっており、全方位に青みの強い七色に輝くガラスが宙空へと展開されている。あれには魔法発動の安定と抑制効果があり、その透明な性質上、ここを訪れる学者や研究員は360度、空を見渡せる仕様になっていたりする。
「ほんっと、清々しい気分で空なんか眺められるのは最初だけなんだよねー。あーっ寒い寒い」
ここの高さは地上の都心部からおよそ1キルメルにも及び、それはつまり、都市を守る防護結界の外であるという事だ。ここで何らかの事故が起きても、都市部に被害が及ばないよう設計された実験施設の一つである。
そんな大層な場所であるがゆえに、ここに立ち入る事が許されているのは、『魔導制アストラ皇国』の中でもごく少数。それ程までに大規模かつ高レベルな魔法実験が行われるというのだ。今も20人前後の選び抜かれた研究員が、仲間たちが実験準備の最終確認に入っている。魔力のない私は無力にもその様子を眺めるだけにあるが、ここに立てる事を誇りに思っていた。
だと言うのに、この小娘ときたら。
「ほんっと、面倒だわ……準備も万端じゃないってのにね」
「フェニシア、この場でそういう発言は控えなさい」
「……はいはい、ユーリ」
彼女は退屈そうに紅玉色の瞳を一瞬だけこちらへと向け、その見目麗しい美顔をすぐに実験場へと戻した。
「はぁ……ユーリは何がそんなに楽しいのか」
私に対し、呆れるような溜息をもらすフェニシア。その肩をすくめる仕草に伴い、燃え盛る炎のような赤髪が流れる。彼女のそんな動作一つでこの場の男性陣がチラッと視線を集中させた。同僚たちもそうなのだが、みながフェニシアには甘い態度を取る……しかしながら、私は逆に腹立つ事が多い。それも当然で、彼女はこちらの隙を見つけては小馬鹿にしてくるケースが多いのだ。
「で、ユーリ」
17歳という異例の若さで、この場にいる事実が彼女の優秀さを示す何よりの証左なのだが……いくら学術院時代に『神童』と称賛された経歴を持つとはいえ、フェニシアには人格的な問題があると思う。
一応は同僚であるものの、こんな娘が私よりも才覚に富んでいるのは明らかで、素直に言えば悔しい。
「ユーリ? ユーリ・イストリア、聞いてるの?」
しかも、フェニシア・ラミールというこの娘。滅多に周囲の者と口を利かない。端的に言うなれば、彼女は話しかけてくる同僚をことごとく無視するのだ。そんな彼女が、どうしてか私にだけは執拗に絡んでくる。その理由は『アストラ歴史学者』の中で私が一番彼女と歳が近い、からかもしれないが。
煩わしく思う反面、先刻態度を改めよと指摘した立場からして、同じ分野を研究する者としても返事をしないわけにもいかないか……。
「あ、あぁ。なに、フェニシア・ラミール」
「はぁ……どうせあなたはこの重要な実験を前に、違う事でも考えてぽけっとしてたんでしょう。まだ御高齢って歳でもないでしょ? 更年期障害なの? あたしはね、実験の成否はあなた的にどうなのよって聞いてるの」
「…………」
誰のせいだと思っているんだ? 私の気を散らせたのは君でしょ!
いや……冷静になるんだ、ユーリ・イストリア。相手は自分より10歳も年下の小娘なのだ。ここで態度を硬化させては面目が立たない。
「ぷっ。ユーリって無表情、無反応なくせに、内心じゃ騒がしい気持ちを抑えるので精一杯なのよね」
この娘は私の心を読んでるとでもいうのか?
どうしてこうも彼女は癪に障るのだろう。
「涼しい顔してもダメよ、あー笑えるっ。あなたを見てると、つくづく昔のバカな友達を思い出すわ」
無言でいては彼女のペースになると判断し、手早く先程の質問に答えた方が良いと判断する。
「フェニシア。この実験についてなのだが、私は成功すると確信している」
アストラ歴3024年、あらゆる種族の垣根を超え、様々な種族が協力しながら調和を保つ超大国『魔導制アストラ合衆国』における認識は、私とそれほどの相違はないと信じている。だからこそ、私のような魔力なしの人族といえど、世界的に『魔導の集結頂点』と謳われる、主都にて『第二等級アストラ歴史学者』としての役職を承っているのだ。
隣にいる小娘や、この場に集った複数人の『第一等級アストラ歴史学者』の方々からすれば、劣った存在かもしれない。だけれど、偉大なる歴史を研究する身としてそんな違いは些末な事。
現に私はこうして、国の魔導研究を代表する準聖級至高魔法実験の場に召集され、その知識と考察を述べる立場にあるのだ。
「次元を超え、時を操る『大極の時空巡る熾天魔法』の発動ねー」
「そうだ。異空間を用いて転移する上位悪魔族の研鑚の末に辿り着いた境地、『亜空間転移魔法』を用いれば実現できない話ではないだろう」
上位悪魔族は固有結界と称される断絶された空間『異界』と、私たちが存在する『現界』を自由に繋げて行き来するという魔法を古来より使用してきた。この魔法は厳密に言うと、異界へと一旦移動して現界のとある地点に出現する、といった類の効果を持つ。
私たち人族からしたら、一種の瞬間移動に見える魔法でかなり強力なものだ。
「そっちはまぁ、使用された歴史が長いからね。心配はしてないわ」
「と言うと……」
彼女は再び溜息をつき、わたしにうろんな瞳を向ける。
本当にわかってないの? と侮蔑を込めた眼差しをぶつけてくる彼女が腹立たしい、が面には出さないよう顔に力を入れる。
どうでもいいが、なぜこうも彼女は普段と違って表情豊かなのだろうか。
彼女こそ常ならば不機嫌そうにムスっとしているか、やる気が微塵も感じられないボケっとした顔をしているのに……。あぁ、先程の私を小馬鹿にした件について言い返してやりたい……キミこそ普段からだらしのない表情を垂れ流しているではないか、と。
「問題は『戦聖乙女《ワルキュリア》』達の新魔法よ」
「……『逆転回復魔法』か」
今回の実験に参加するのは上位悪魔族だけではない。
古くから傷を癒す妙薬として扱われてきた、ユニコーンの角という物がある。その『一角獣ユニコーン』の角に宿る治癒力は、実のところ癒しではなく状態の巻き戻しだと明言したのが、戦聖乙女達だ。彼女たちは、長きにわたり聖神族に仕え、天空を舞う『幻獣ペガサス』を自在に乗りこなす乙女なのだ。
ユニコーンの起源たるは『幻獣ペガサス』であると、つい最近の生物史の研究で判明し、彼の幻獣は時を逆転させ闇を祓うという能力を持っているそうだ。ペガサスに騎乗し、大空を飛び回る戦聖乙女がペガサスの特性を丹念に調べ上げ、固有開発したのが『逆転回復魔法』なのだ。
この治癒力は凄まじいモノで、欠損した部位ですら文字通り、損傷した肉体の時間を巻き戻して回復する。
これにより不慮の事故で片腕を失くした者などは、完全復元された自身の腕を目にして、泣いて喜んでいた所を見た事がある。こちらとしては、にょきりと欠損部分が生えてくるのは、少し不気味な絵図だったけど……。
ともあれ――
「上位悪魔族の空間転移と地点調整に秀でた『亜空間転移魔法』、戦聖乙女たちが練りだした、時の巻き戻しを担う『逆転回復魔法』、この二つを魔法融合すれば理論上、『大極の時空巡る熾天魔法』が完成するわね」
二つの異なる魔法を合体させて、新たなる魔法を生みだす。
それが【魔法融合】であり、今から私達が取り組む実験だ。
「……フェニシア、神祖伝承の文献に記された内容を読めば安易に推測できるだろう?」
「あたしが指摘したいのは安定性よ」
「しかし、一角獣ユニコーンの治癒に関する歴史も深い。それこそ古代より膨大な活用方法が記されているではないか」
「ユニコーンはそうでも、ペガサスは未知数が大きいでしょうに。あの幻獣は聖戦乙女よりも上級種……天使より高次元の存在、聖神族が生み出したという説もあるのよ。そんなペガサスの特性魔法を、本当に制御できるの?」
「…………」
悔しい事ながら、彼女の専門は魔法史。対する私の専門は戦文史。だから魔法的見識は彼女より数歩は劣ると自覚している。
「それに、上位悪魔族と戦聖乙女よ。相性が合判する属性じゃない」
「……」
「邪神に仕えていた種族と、聖神に仕えていた種族なのよ?」
「それは……双方の歪みに備え、闇と聖の特性を中和して安定性を確保するために『第一等級アストラ歴史学者』の方々が設置した防護結界があるではないか……」
「それでもまだ、実験に至る段階じゃないでしょう。私たちは今、禁忌に触れ、神の領域への一歩を踏み出そうとしているのよ。もっと慎重に行うべきではないかしら」
「しかし、この魔法が成功すれば……地球からの転生者や転移者が引き起こした大戦争も、事前に防げる可能性が……亡くならずに済んだ命があるかもしれない……」
言わなくてもいい願望を、彼女にやり込められそうになった私は焦って口に出してしまう。
「……時を操る、魔法ね」
フェニシアから先程までの漂々とした声色が失せる。
神祖伝承の文献に残された内容から推察するに、『大極の時空巡る熾天魔法』は、現存する物質、生命体、精神のどちらかを過去へと転移させる効力を持つ。つまり、これは過去に起こった事件や現象に伴った被害を、発生するとわかっている我々が未然に防げる最大のチャンス。その後、過去の改変が現在にどのような影響を及ぼすかまでは未知数であるが……とにかく、過去へと送られた者はある意味、神に最も近い存在である強大な熾天種にも劣らぬ力を手に入れると同義なのだ。
今回の実験では無論、ただの石ころを過去のとある時点に転送するというものなのだけど……。
「時魔法関連が記された神祖伝承記……もう少し詳しく読み解ければね。せめて著者が誰かって特定して、その人物から辿っていけば、何か違った手掛かりも見えたでしょうに」
「それには同感だ。神々の偉業をも軽々と凌駕する内容が記された神祖伝承記。それらを書いた著者は一体何者なのか……全ての文献において名前が削り取られているのが口惜しい……」
おそらく、神祖と謳われた人物は圧倒的な存在だったのだろう。そして、そんな神祖と行動を共にした著者自身も卓越した技能と才能を持った人物だった事は疑いようもない。
「本当はあなたも理解してるんでしょ?」
「…………」
そうだ。この実験はまだ実行するための不安要素を完全に取り除けた状態ではない。
しかし、奴らはすぐそこまで迫って来ている。奴らの侵略スピードの方が早く、こちらが対抗策を生みだす時間が残されていない。
でも、もし時間を遡る事ができたなら?
その夢想が現実にできるとしたら?
あいつらを、転生者どもを幼きうちにくびり殺す事ができれば……。
むくむくと、自分の中で抑え続けきた願いが這い上がって来る。
「…………」
皇立学会から魔力なしだと蔑まされ、私の可能性を否定された時も。
『アストラ歴史学者』の資格を得るために、死に物狂いで学問に勤しんだ日々も。
魔力がない以上、高難度の実験や研究は困難だと判断され、いくら結果を出したとて昇級は『第二等級アストラ歴史学者』止まりだと、正式に決定が下された日も。
戦場学士として多くの戦友と共に、転生者率いる軍と衝突し、蹴散らされた時も。
死にゆく仲間を泣きながら見送った地獄の時も。
願わずにはいられなかったのだ。
諦めきれなかった。
だから私はこうしてこの場に立っている。
「生き返らせる事が、できるかもしれないだろ……」
転生者ルーズベルトによって引き起こされた激しい戦争。その戦いのさなか命を摘まれてしまった、私の最愛の妹、そして両親を……仲間たちを、救う事ができるかもしれない、と。
「フェニシア……時を遡るなんて荒唐無稽、到底不可能だと思うのならば横で嗤っていればいい。だけど、私がこの魔法を諦めるなどと、それこそ到底不可能な事だ」
「別に、そんなつもりじゃ……ただ、ちょっと心配で」
私だってもっと時間をかけて研究し、確実な成果が出せると判断してから実験に参加したかった。
しかし、転生者の侵略が止められない現状、もはや残された対抗手段はこれしかない。
この計画には、生き残った最後の『第一等級アストラ歴史学者』たちが心血を注いでいる。私達も同様で、自分の知識が1%でもこの実験の成功に役に立てるよう全力で挑んできた。
ここに集まっているのは、全員がいわば同志なのだ。
「おう、ユーリ! 準備ができたぞ!」
「いよいよだな! ユーリ! 俺達の悲願が、叶う時がきたぞ!」
「ユーリ! と……フィニシアさんか。とにかくユーリよ、我が友よ! 貴殿の魔導演算と熾天系譜の研究がなければこの実験を実行に移せなかったぞ! この場の全員が感謝している!」
アストラ歴史学者の学友たち、先輩たちが笑顔と興奮、そして緊張を伴って私達に近付いてくる。
友たちは、私が魔法を使えないからと言って決して見下す事はなかった。同じ対等な学者として扱ってくれ、共に研鑚し合う仲なのだ。
彼らと歴史を語らう一時は……真夜中の道しるべを照らしてくれる月明かりのように輝き、春の心地よい風が吹き付ける、晴れた日の陽だまりのような暖かさがあった。
家族の次に愛する彼らの笑顔を見て、私は頷く。
「みんなのおかげで、ここまでこれました。あと一息です! がんばりましょう!」
歴史を学ぶ、研究することは一種の幸福を生みだす未来予測に他ならない。現在に起こりうる問題と可能性を察知し、どう対処するべきか。どのような準備をしておけば最良の成果を出せるのか……類似性の高い過去の出来事をモデルとして、現在の状況とすり合わせ参考にすれば、起こりうる事象を予測し、対処法を準備する事が可能なのだ。
あくまでも受動的な活用だけにとどまらず、歴史を能動的に扱える者こそが未来永劫、歴史にその名を残し――
自ら歴史を創り出していける。
あらゆる情報は、あらゆる事象に対して有効なのだ。
それを示すのが歴史であり、そして歴史は命を守れる。
「前に進まねば、失ったモノは取り戻せない……やらなければ、新たな一歩は踏み出せない」
いつもなら、からかってくるであろうフェニシアが珍しく私の言に反論しなかった。
それどころか、彼女はどこか沈痛な面持ちで私を見つめるのだった。
「ほんと、昔いたバカな友達に似てるわ」
彼女が誰を思い浮かべているのかは些末な事。
私は――我々は前に進むしかないのだ。
「さぁ、歴史を創る側になるぞ」
◇
弱きを守り、強きを従える。
それこそがノブレス・オブリージュ。
高貴なる誠の神祖。
全ての品格は、彼女から発現したものである。
神祖伝承記 『千血の銀姫』より
著 ニコ――・テス――
◇
歴史とは、未来予測に繋がる珠玉の魔法である。
なぜかと問われれば、それは無論、ありとあらゆる生物の歩みがつぶさに記録されているからだ。端的に言えば、それは【生き死に】の流れである。
過去の出来事と歴史の流れを読み取り、そこへ現在の状況を重ね比べ――――
次にどのような事態が起こりうるのか予見する。
「……歴史を研究する者は、過去と現在と、そして未来を視るのだ」
口にする事で、自分の思考を再確認する。
人族に限らず、魔族、竜族、神族、真羅族、万象族と、多くの歴史を残している。その時その時にどのような出来事が起こり、起こし、そしていかように思考し対処してきたのか。それは種族によって異なる以前に、知性と意思ある者全てが各々違った行動を取り、様々な結果を導き出してきた。
例えば、大戦の勝敗を分かつ秘策を用いた大英雄のように。
自らの種族に備わる力の解放を発見した魔王のように。
巧みな戦術の行使方法で、絶望的な戦力差を跳ねのけた勇将のように。
戦わずにして恒久の和平を結んだ竜使官のように。
その手段は後の世に優れた解決策として語り継がれ、研究されては今に生きる。
戦争時はこれらの史実を元に、有効な戦略を練り、敵軍の動きを読み取って優位に立ち回るための欠かせない知識だ。
「あーあぁ、ついに魔法史の根底を覆しかねない実験が始まっちゃうわね」
れっ……不意に隣で上がった声にこの私が動揺し、思考が霧散されるはずもない。
れ、『歴史』の有用性は何も『戦争』という名の外交面だけでなく、文化的に発展を遂げる情報の収集にも大いに役立っている。これら全ては生きとし生ける者の生活基盤を上昇させ、活性化に伴い『進化』を促す要因へと結びつく。
そう、例えば――
死をも克服する、死霊術種の軌跡を辿り、その奇跡を用いて病魔に侵された患者の延命措置を計るといった事も可能なのだ。
また、植物の恵みを育む樹精霊と親交深い森の民エルフ族。彼らの成り立ちと生活を学び、エルフの歴史から窺える信仰と伝統、それらの活用研究から食糧生産技術へと応用する。そうして痩せ細った土地を緑に変え、飢餓に苦しむ民を救う食物の安定供給が約束された農業革命魔法などなど。
歴史の叡智から産出された、偉業の数々。
「めんどうね……」
そんな偉業の一つが新たなに生まれるかもしれないという、この重大な場面で……隣に立つ同僚は、『めんどうね』の一言で片づけてしまう。
彼女、フェニシア・ラミールは私と同じく、一つの歴史的研究の集大成、魔法実験の場に立つ事を任命された稀有な人材だ。
「ここ、無駄に高いし寒いし。早く帰りたいわ」
空に最も近い魔法実験場、『蒼穹の大空宮』。天にも届かんばかりに建造されたタワーの頂上が実験場となっており、全方位に青みの強い七色に輝くガラスが宙空へと展開されている。あれには魔法発動の安定と抑制効果があり、その透明な性質上、ここを訪れる学者や研究員は360度、空を見渡せる仕様になっていたりする。
「ほんっと、清々しい気分で空なんか眺められるのは最初だけなんだよねー。あーっ寒い寒い」
ここの高さは地上の都心部からおよそ1キルメルにも及び、それはつまり、都市を守る防護結界の外であるという事だ。ここで何らかの事故が起きても、都市部に被害が及ばないよう設計された実験施設の一つである。
そんな大層な場所であるがゆえに、ここに立ち入る事が許されているのは、『魔導制アストラ皇国』の中でもごく少数。それ程までに大規模かつ高レベルな魔法実験が行われるというのだ。今も20人前後の選び抜かれた研究員が、仲間たちが実験準備の最終確認に入っている。魔力のない私は無力にもその様子を眺めるだけにあるが、ここに立てる事を誇りに思っていた。
だと言うのに、この小娘ときたら。
「ほんっと、面倒だわ……準備も万端じゃないってのにね」
「フェニシア、この場でそういう発言は控えなさい」
「……はいはい、ユーリ」
彼女は退屈そうに紅玉色の瞳を一瞬だけこちらへと向け、その見目麗しい美顔をすぐに実験場へと戻した。
「はぁ……ユーリは何がそんなに楽しいのか」
私に対し、呆れるような溜息をもらすフェニシア。その肩をすくめる仕草に伴い、燃え盛る炎のような赤髪が流れる。彼女のそんな動作一つでこの場の男性陣がチラッと視線を集中させた。同僚たちもそうなのだが、みながフェニシアには甘い態度を取る……しかしながら、私は逆に腹立つ事が多い。それも当然で、彼女はこちらの隙を見つけては小馬鹿にしてくるケースが多いのだ。
「で、ユーリ」
17歳という異例の若さで、この場にいる事実が彼女の優秀さを示す何よりの証左なのだが……いくら学術院時代に『神童』と称賛された経歴を持つとはいえ、フェニシアには人格的な問題があると思う。
一応は同僚であるものの、こんな娘が私よりも才覚に富んでいるのは明らかで、素直に言えば悔しい。
「ユーリ? ユーリ・イストリア、聞いてるの?」
しかも、フェニシア・ラミールというこの娘。滅多に周囲の者と口を利かない。端的に言うなれば、彼女は話しかけてくる同僚をことごとく無視するのだ。そんな彼女が、どうしてか私にだけは執拗に絡んでくる。その理由は『アストラ歴史学者』の中で私が一番彼女と歳が近い、からかもしれないが。
煩わしく思う反面、先刻態度を改めよと指摘した立場からして、同じ分野を研究する者としても返事をしないわけにもいかないか……。
「あ、あぁ。なに、フェニシア・ラミール」
「はぁ……どうせあなたはこの重要な実験を前に、違う事でも考えてぽけっとしてたんでしょう。まだ御高齢って歳でもないでしょ? 更年期障害なの? あたしはね、実験の成否はあなた的にどうなのよって聞いてるの」
「…………」
誰のせいだと思っているんだ? 私の気を散らせたのは君でしょ!
いや……冷静になるんだ、ユーリ・イストリア。相手は自分より10歳も年下の小娘なのだ。ここで態度を硬化させては面目が立たない。
「ぷっ。ユーリって無表情、無反応なくせに、内心じゃ騒がしい気持ちを抑えるので精一杯なのよね」
この娘は私の心を読んでるとでもいうのか?
どうしてこうも彼女は癪に障るのだろう。
「涼しい顔してもダメよ、あー笑えるっ。あなたを見てると、つくづく昔のバカな友達を思い出すわ」
無言でいては彼女のペースになると判断し、手早く先程の質問に答えた方が良いと判断する。
「フェニシア。この実験についてなのだが、私は成功すると確信している」
アストラ歴3024年、あらゆる種族の垣根を超え、様々な種族が協力しながら調和を保つ超大国『魔導制アストラ合衆国』における認識は、私とそれほどの相違はないと信じている。だからこそ、私のような魔力なしの人族といえど、世界的に『魔導の集結頂点』と謳われる、主都にて『第二等級アストラ歴史学者』としての役職を承っているのだ。
隣にいる小娘や、この場に集った複数人の『第一等級アストラ歴史学者』の方々からすれば、劣った存在かもしれない。だけれど、偉大なる歴史を研究する身としてそんな違いは些末な事。
現に私はこうして、国の魔導研究を代表する準聖級至高魔法実験の場に召集され、その知識と考察を述べる立場にあるのだ。
「次元を超え、時を操る『大極の時空巡る熾天魔法』の発動ねー」
「そうだ。異空間を用いて転移する上位悪魔族の研鑚の末に辿り着いた境地、『亜空間転移魔法』を用いれば実現できない話ではないだろう」
上位悪魔族は固有結界と称される断絶された空間『異界』と、私たちが存在する『現界』を自由に繋げて行き来するという魔法を古来より使用してきた。この魔法は厳密に言うと、異界へと一旦移動して現界のとある地点に出現する、といった類の効果を持つ。
私たち人族からしたら、一種の瞬間移動に見える魔法でかなり強力なものだ。
「そっちはまぁ、使用された歴史が長いからね。心配はしてないわ」
「と言うと……」
彼女は再び溜息をつき、わたしにうろんな瞳を向ける。
本当にわかってないの? と侮蔑を込めた眼差しをぶつけてくる彼女が腹立たしい、が面には出さないよう顔に力を入れる。
どうでもいいが、なぜこうも彼女は普段と違って表情豊かなのだろうか。
彼女こそ常ならば不機嫌そうにムスっとしているか、やる気が微塵も感じられないボケっとした顔をしているのに……。あぁ、先程の私を小馬鹿にした件について言い返してやりたい……キミこそ普段からだらしのない表情を垂れ流しているではないか、と。
「問題は『戦聖乙女《ワルキュリア》』達の新魔法よ」
「……『逆転回復魔法』か」
今回の実験に参加するのは上位悪魔族だけではない。
古くから傷を癒す妙薬として扱われてきた、ユニコーンの角という物がある。その『一角獣ユニコーン』の角に宿る治癒力は、実のところ癒しではなく状態の巻き戻しだと明言したのが、戦聖乙女達だ。彼女たちは、長きにわたり聖神族に仕え、天空を舞う『幻獣ペガサス』を自在に乗りこなす乙女なのだ。
ユニコーンの起源たるは『幻獣ペガサス』であると、つい最近の生物史の研究で判明し、彼の幻獣は時を逆転させ闇を祓うという能力を持っているそうだ。ペガサスに騎乗し、大空を飛び回る戦聖乙女がペガサスの特性を丹念に調べ上げ、固有開発したのが『逆転回復魔法』なのだ。
この治癒力は凄まじいモノで、欠損した部位ですら文字通り、損傷した肉体の時間を巻き戻して回復する。
これにより不慮の事故で片腕を失くした者などは、完全復元された自身の腕を目にして、泣いて喜んでいた所を見た事がある。こちらとしては、にょきりと欠損部分が生えてくるのは、少し不気味な絵図だったけど……。
ともあれ――
「上位悪魔族の空間転移と地点調整に秀でた『亜空間転移魔法』、戦聖乙女たちが練りだした、時の巻き戻しを担う『逆転回復魔法』、この二つを魔法融合すれば理論上、『大極の時空巡る熾天魔法』が完成するわね」
二つの異なる魔法を合体させて、新たなる魔法を生みだす。
それが【魔法融合】であり、今から私達が取り組む実験だ。
「……フェニシア、神祖伝承の文献に記された内容を読めば安易に推測できるだろう?」
「あたしが指摘したいのは安定性よ」
「しかし、一角獣ユニコーンの治癒に関する歴史も深い。それこそ古代より膨大な活用方法が記されているではないか」
「ユニコーンはそうでも、ペガサスは未知数が大きいでしょうに。あの幻獣は聖戦乙女よりも上級種……天使より高次元の存在、聖神族が生み出したという説もあるのよ。そんなペガサスの特性魔法を、本当に制御できるの?」
「…………」
悔しい事ながら、彼女の専門は魔法史。対する私の専門は戦文史。だから魔法的見識は彼女より数歩は劣ると自覚している。
「それに、上位悪魔族と戦聖乙女よ。相性が合判する属性じゃない」
「……」
「邪神に仕えていた種族と、聖神に仕えていた種族なのよ?」
「それは……双方の歪みに備え、闇と聖の特性を中和して安定性を確保するために『第一等級アストラ歴史学者』の方々が設置した防護結界があるではないか……」
「それでもまだ、実験に至る段階じゃないでしょう。私たちは今、禁忌に触れ、神の領域への一歩を踏み出そうとしているのよ。もっと慎重に行うべきではないかしら」
「しかし、この魔法が成功すれば……地球からの転生者や転移者が引き起こした大戦争も、事前に防げる可能性が……亡くならずに済んだ命があるかもしれない……」
言わなくてもいい願望を、彼女にやり込められそうになった私は焦って口に出してしまう。
「……時を操る、魔法ね」
フェニシアから先程までの漂々とした声色が失せる。
神祖伝承の文献に残された内容から推察するに、『大極の時空巡る熾天魔法』は、現存する物質、生命体、精神のどちらかを過去へと転移させる効力を持つ。つまり、これは過去に起こった事件や現象に伴った被害を、発生するとわかっている我々が未然に防げる最大のチャンス。その後、過去の改変が現在にどのような影響を及ぼすかまでは未知数であるが……とにかく、過去へと送られた者はある意味、神に最も近い存在である強大な熾天種にも劣らぬ力を手に入れると同義なのだ。
今回の実験では無論、ただの石ころを過去のとある時点に転送するというものなのだけど……。
「時魔法関連が記された神祖伝承記……もう少し詳しく読み解ければね。せめて著者が誰かって特定して、その人物から辿っていけば、何か違った手掛かりも見えたでしょうに」
「それには同感だ。神々の偉業をも軽々と凌駕する内容が記された神祖伝承記。それらを書いた著者は一体何者なのか……全ての文献において名前が削り取られているのが口惜しい……」
おそらく、神祖と謳われた人物は圧倒的な存在だったのだろう。そして、そんな神祖と行動を共にした著者自身も卓越した技能と才能を持った人物だった事は疑いようもない。
「本当はあなたも理解してるんでしょ?」
「…………」
そうだ。この実験はまだ実行するための不安要素を完全に取り除けた状態ではない。
しかし、奴らはすぐそこまで迫って来ている。奴らの侵略スピードの方が早く、こちらが対抗策を生みだす時間が残されていない。
でも、もし時間を遡る事ができたなら?
その夢想が現実にできるとしたら?
あいつらを、転生者どもを幼きうちにくびり殺す事ができれば……。
むくむくと、自分の中で抑え続けきた願いが這い上がって来る。
「…………」
皇立学会から魔力なしだと蔑まされ、私の可能性を否定された時も。
『アストラ歴史学者』の資格を得るために、死に物狂いで学問に勤しんだ日々も。
魔力がない以上、高難度の実験や研究は困難だと判断され、いくら結果を出したとて昇級は『第二等級アストラ歴史学者』止まりだと、正式に決定が下された日も。
戦場学士として多くの戦友と共に、転生者率いる軍と衝突し、蹴散らされた時も。
死にゆく仲間を泣きながら見送った地獄の時も。
願わずにはいられなかったのだ。
諦めきれなかった。
だから私はこうしてこの場に立っている。
「生き返らせる事が、できるかもしれないだろ……」
転生者ルーズベルトによって引き起こされた激しい戦争。その戦いのさなか命を摘まれてしまった、私の最愛の妹、そして両親を……仲間たちを、救う事ができるかもしれない、と。
「フェニシア……時を遡るなんて荒唐無稽、到底不可能だと思うのならば横で嗤っていればいい。だけど、私がこの魔法を諦めるなどと、それこそ到底不可能な事だ」
「別に、そんなつもりじゃ……ただ、ちょっと心配で」
私だってもっと時間をかけて研究し、確実な成果が出せると判断してから実験に参加したかった。
しかし、転生者の侵略が止められない現状、もはや残された対抗手段はこれしかない。
この計画には、生き残った最後の『第一等級アストラ歴史学者』たちが心血を注いでいる。私達も同様で、自分の知識が1%でもこの実験の成功に役に立てるよう全力で挑んできた。
ここに集まっているのは、全員がいわば同志なのだ。
「おう、ユーリ! 準備ができたぞ!」
「いよいよだな! ユーリ! 俺達の悲願が、叶う時がきたぞ!」
「ユーリ! と……フィニシアさんか。とにかくユーリよ、我が友よ! 貴殿の魔導演算と熾天系譜の研究がなければこの実験を実行に移せなかったぞ! この場の全員が感謝している!」
アストラ歴史学者の学友たち、先輩たちが笑顔と興奮、そして緊張を伴って私達に近付いてくる。
友たちは、私が魔法を使えないからと言って決して見下す事はなかった。同じ対等な学者として扱ってくれ、共に研鑚し合う仲なのだ。
彼らと歴史を語らう一時は……真夜中の道しるべを照らしてくれる月明かりのように輝き、春の心地よい風が吹き付ける、晴れた日の陽だまりのような暖かさがあった。
家族の次に愛する彼らの笑顔を見て、私は頷く。
「みんなのおかげで、ここまでこれました。あと一息です! がんばりましょう!」
歴史を学ぶ、研究することは一種の幸福を生みだす未来予測に他ならない。現在に起こりうる問題と可能性を察知し、どう対処するべきか。どのような準備をしておけば最良の成果を出せるのか……類似性の高い過去の出来事をモデルとして、現在の状況とすり合わせ参考にすれば、起こりうる事象を予測し、対処法を準備する事が可能なのだ。
あくまでも受動的な活用だけにとどまらず、歴史を能動的に扱える者こそが未来永劫、歴史にその名を残し――
自ら歴史を創り出していける。
あらゆる情報は、あらゆる事象に対して有効なのだ。
それを示すのが歴史であり、そして歴史は命を守れる。
「前に進まねば、失ったモノは取り戻せない……やらなければ、新たな一歩は踏み出せない」
いつもなら、からかってくるであろうフェニシアが珍しく私の言に反論しなかった。
それどころか、彼女はどこか沈痛な面持ちで私を見つめるのだった。
「ほんと、昔いたバカな友達に似てるわ」
彼女が誰を思い浮かべているのかは些末な事。
私は――我々は前に進むしかないのだ。
「さぁ、歴史を創る側になるぞ」
10
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