アラサー女の新たな生活

折原さゆみ

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6脱線、スカート談義

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 結局、働き始めたのはその次の週の金曜日からだった。先方の締め日が20日だったため、4月21日から働くことが決まった。

 新しい職場では前職と同様に営業事務をすることになった。将来的には経理や総務的なこともやってほしいとのことだったが、とりあえずは営業事務として商品の受発注業務をする予定だ。

 前職は制服がなくて私服で働いていたが今回の職場は制服があるらしい。スカートなど高校生の時の制服以来、久しぶりの着用になるが、会社の規則なら仕方ない。しかし、制服の発注が間に合わなかったので出勤日初日はスーツで働いた。

 スカートとベストが決まっていて、ベストの中に着る服は自由らしいので無地の黒いTシャツなどを中に来ている社員がいた。靴もオフィス用のサンダルやパンプスを履いていたので土日でそろえなければならない。あとは、スカート用にスパッツやハイソックスなども用意する必要がある。

 あとは前職ではお弁当が支給されていたが、それがないので弁当箱も必要だった。

 仕事をするにあたってそろえるものが結構あったが、文句を言っても仕方ない。出費がかさむがそろえることにした。


 この文章を書いているのはGW明けであり、既に派遣社員として働き始めて一週間以上が経過している。初日の勤務など時系列に沿って書いていこうと思ったが、どうしても書きたいことが出来た。

 私の小説やエッセイ等を読んでいる人はお気づきかと思うが、私はスカートがかなり苦手だ。中学、高校のころは制服でスカートを着用していたが、そのころから私服にスカートは持ち合わせていなかった。卒業してからも私の私服にスカートは存在しない。

 スカートがなくなれば良いという、極端な考えは持っていないが、選択する自由はあっても良いと思っている。最近では学生の制服がスカートとズボンを選択できる学校も増えてきた。とても喜ばしいことだ。

 学生に選択肢が増えてきた一方で、大人の女性が働くための制服に選択肢がないのはどういうことか。

 話は派遣社員などから脱線してしまうが、就活の苦い思い出がある。大学時代、企業への面接にはスーツを着用して臨んだ。私は基本的にパンツスーツを着用していたが、女性はなるべくパンツではなくスカートを履いた方が良い、と聞いたことがある。

 女性にとってスカートで臨むことに何のメリットがあるだろう。冬だと足元は冷えるし、動きづらい。メリットは一つもないように思えた。男性の面接官をスカートから見える足で釣るためだろうかと勘繰ってしまう。

 そんな昔の話を思い出しながら、現在の大人の制服に目をむける。事務仕事をするうえで制服を導入するのは、外部の人間と分けるために仕方ないことかもしれない。しかし、今は多様性の時代。オフィスで着用する制服もスカートだけでなく、パンツも採用するべきではないか。

 久々にスカートを履いてみたが、脚は冷えるし、動きにくいしでやはりメリットが一つも見つからない。さらには生足だとスカートが太ももに擦れて気持ちが悪い。今はハイソックスにスパッツに履いているが、気持ち悪さを軽減するためにふとももまでの長いスパッツにするか、いっそのことタイツにするか悩んでいる。

 仕事の効率化を図りたいなら、女性の制服にもパンツを積極的に取り入れるべきだ。もしくは制服を廃止するかの二択だと強く感じた。

 こんなことを言ってはいるが、スカートを履きたい女性がいても構わないと思っているし、スカートがかわいいなと思うこともある。あくまで私みたいな女性がいるので選択肢を増やして欲しいというだけだ。
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