年を取らない子供たち~EC(エターナルチルドレン)~

折原さゆみ

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第2章 いじめの代償~日直~

2(2)不登校予備軍A①

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 ぼくは学校がきらいだ。きっとぼくのほかにも学校がきらいな人はいると思う。りゆうは二つある。
 
 一つ目は、べんきょうがにがてだからだ。ぼくはあたまがわるい。先生のじゅぎょうをきいているとねむたくなる。しっかりときいてもわからない。かんじテストも、社会のれきしも、おぼえるだけなのにおぼえることができない。じゅぎょうは、きいてもどうせわからないのでたいくつだ。

 二つ目はクラスメイトだ。クラスにはガキだいしょうみたいな女子が一人いる。その女子にさからうと、いじめられる。いままで何人のクラスメイトがいじめられたかわからない。ひどい人は学校にこれなくなった。そんなかのじょの名前は、しおんすみれ。みんなはかげでバイオレットとよんでいる。

 ぼくはあたまもわるいが、さらにようりょうもわるいらしい。やることがおそいということだ。たしかにクラスのしごとをしていて、よくクラスメイトをおこらせてしまう。ぼくはまじめに仕事をしているのに、それがおそいだの、まちがっているだのいろいろいわれる。
 
 しかし、今のところぼくはまだいじめられていない。こうして、5年生になった今も、いやでいやでしょうがない学校に、まいにちかようことができている。もし、いじめられたら、ぼくのばあい、すぐに学校にいかなくなるじしんがある。おややともだち、先生に何をいわれようが、学校にはいかないと思う。

 そんなことを思いながら、すごしていたら、てんこうせいがやってきた。すごくかわいい女の子だった。そしてとてもおとなしそうな子だった。うちの学校はてんこうせいがめずらしいので、休み時間には、クラスメイトがその子にしつもんしていた。

 
 その子はいっしょうけんめいしつもんに答えていた。しつもんが、前の学校はどうだったかというものになると、だまってしまった。どうしたのだろう。

「前いた学校のことはあんまり話したくないわ。ごめんなさい、前の学校で私は仲間はずれにされてしまっていて、よい思い出がないの。」

 ウルッとしてしまった。どうやら、前の学校でいじめられていたようなのだ。それで前の学校にはよい思い出がないから、話したくないとかなしそうに話していた。しかし、その後に、このクラスにてんこうしてきてよかった。このクラスなら楽しくすごせそうで、うれしい、といっていた。

 ぼくはしょうげきをうけた。いじめられていたのに、この学校なら楽しくすごせそうだと、うれしそうにわらったてんこうせいは、なんてけなげなのだろう。ぼくなんかは、たとえいじめられた学校からてんこうできたとしても、そんなことはいえない。

 てんこうせいがきたことにより、ぼくは学校に行くことが前よりいやではなくなった。もちろん学校にいくことは今でもいやだけれど、かのじょがいっしょうけんめい学校にかよっているのに、ぼくが休むわけにはいかない。

 だから、とつぜん、バイオレットのともだちから、日直をかわってといわれたときはどうしようかと思った。ぼくとみなづきさんが日直になっていたことは、きっとバイオレットのめいれいだと思った。そしていじめがはじまるのだとなんとなく思った。


 うすうすとこのクラスになってから、次にいじめられるのは、ぼくだと思っていた。とうとうきたかと思った。しかし、みなづきさんはどうだろう。前の学校でのいじめで、ふかくきずついているはずだ。それなのに、またこの学校でもいじめられてしまうのか。それではあまりにもかわいそうだ。

 ぼくはみなづきさんに話しかけた。少しでも楽しい学校生活がおくることができるようにしてあげようと思った。


「みなづきさん、何かあったらぼくに話してください。ぼくがみなづきさんの学校生活を楽しいものにして見せます。だからいじめられているとかんじたら、すぐにぼくに話してください。」

 かのじょがいじめられるのをぼくがそししたいとつよく思った。
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