26 / 27
26乾杯
しおりを挟む
「おかえり。あれ、姉さん、顔赤くない?」
「ああ、これは、店内のエアコンが効いていて、暑いくらいというか、その……」
「ルリ、真珠さん、脈ありだよ。頑張れ!」
「ちょ、ちょっとアリアさん、何を言って」
私たちがドリンクバーから戻ると、入れ替わりに弟とルリさんがドリンクバーに向かう。その際、弟は私の顔が赤いことに言及したが、何とかごまかした。いや、アリアさんのせいでそれは台無しとなった。
「そ、そうなんだ。とりあえず、先にドリンクを取ってくるよ」
ルリさんはアリアさんの言葉にちょっと戸惑っている様子だった。やはり、彼と別れた後も会いたいとは言ってくれたものの、私に恋愛感情を持つことはないのだろうか。
(それはそれで悲しい、かな)
今後も会ってくれるということに満足するしかない。
私たちはドリンクをテーブルに置いて席に着く。私の隣にアリアさんが座る。彼らが私たちから見えなくなったところを見計らって、アリアさんが私に近寄り耳元で囁く。
「今度はきっとうまくいくから、ルリを信じてあげて」
「何を根拠にそんなことを言うんですか?」
「ううん。私の直感かな。真珠さんとルリ、付き合ったら絶対にバカップルのお似合いカップルになると思うんですよ」
「バ、バカップル……」
「これは、け、けっして、し、真珠さんのことをバカにしているとかではなくて。いい意味ですよ。ルリは一途なやつで、好きな人に対して誠実で、浮気なんてしないです!真珠さん一筋で愛してくれると思いますよ」
「そ、そんなわけ」
「だって、ルリの顔見ました?真珠さんを見るときの目が恋する乙女みたいでしたよ。あれはもう、真珠さんにベタぼれ間違いな」
「声が大きいよ、アリア。そういう話はもう少し、声を抑えないと」
「ダイヤ!それと、ルリさんも」
「戻ってくるのが早すぎ。普通、気を遣ってもう少しゆっくりとドリンク選びするでしょ」
話していたら、ダイヤとルリさんが戻ってきた。弟の発言から、私たちの話は聞かれていたようだ。いったい、どこまで話を聞かれてしまったのか。ダイヤはにやにやしていたが、ルリさんは困ったような顔をしていたが、嫌がってはいなかった。
「ま、まあ、僕と真珠さんのことは、今はいったん、置いておこう。ほら、注文した料理が来たみたいだよ」
ルリさんが話題を変えようと、私たちのテーブルに近付いてきた配ぜんロボットを指差す。ルリさんと弟が席に着いていないため、ロボットの道をふさいでいた。二人が私たちの正面に座ると、配ぜんロボットが動き出し、私たちのテーブルに近付いてくる。
「リョウリヲトリオワリマシタラ、ボタンヲオシテクダサイ。ゴユックリドウゾ」
頼んだ料理をテーブルに移す。頼んだ料理をすべてテーブルに置いて、ダイヤがボタンを押す。配ぜんロボットは無機質な機会音を発して、そのまま私たちの席を離れていった。
「とりあえず、冷めないうちに食べましょう。真珠さんとルリの今後については、食事後、じっくりと聞かせてもらいます」
「アリア、目がガチすぎて怖いから。二人のことは陰からコッソリ見守るくらいがちょうどいいって、二人の時、話しただろ?」
「でも、それだと、いつまでも関係が進みそうにないかなって」
何やら、こそこそ弟とアリアさんは二人で話しているが、声が潜められていないので丸聞こえだ。
「アリア、そういうのを余計なお世話って言うんだよ。真珠さんが困っているのがわからない?僕はいいけど、真珠さんを困らせるなよ」
「真珠さんが脈アリだと知って、余裕なのね。まあいいわ」
アリアさんは弟の言葉にしぶしぶ引き下がる。
「じゃあ、先に今回の姉さんの別れを祝って、乾杯しよう!」
気分を盛り上げるようと、弟がドリンクの入ったグラスを持ち上げる。すると、アリアさんとルリさんも同じようにグラスを持ち上げる。
「い、祝いって、その、はずかし」
「こういうのはノリでいきましょう!本人が祝わなくてどうするんですか!」
アリアさんの圧に負けて、私も恐る恐るグラスを持ち上げる。真珠さんが音頭を取って一番高くグラスを持ちあげる。
『真珠さんの未来に乾杯!』
『乾杯!』
グラス同士が重なり、軽快な音を立てる。私たちはそれぞれ、他の三人とグラスを合わせた。
『いただきます』
私たちはいったん話を中断して、それぞれが注文した料理を取り分けて食べ始める。
「あの、追加で注文してもいいですか?」
そういえば、私の食べたいものを注文しようと思っていて忘れていた。すでに料理の取り分けに夢中になっていた三人は黙って頷く。私はタッチパネルから、パイナップルが乗ったハワイアンピザを注文した。
「ああ、これは、店内のエアコンが効いていて、暑いくらいというか、その……」
「ルリ、真珠さん、脈ありだよ。頑張れ!」
「ちょ、ちょっとアリアさん、何を言って」
私たちがドリンクバーから戻ると、入れ替わりに弟とルリさんがドリンクバーに向かう。その際、弟は私の顔が赤いことに言及したが、何とかごまかした。いや、アリアさんのせいでそれは台無しとなった。
「そ、そうなんだ。とりあえず、先にドリンクを取ってくるよ」
ルリさんはアリアさんの言葉にちょっと戸惑っている様子だった。やはり、彼と別れた後も会いたいとは言ってくれたものの、私に恋愛感情を持つことはないのだろうか。
(それはそれで悲しい、かな)
今後も会ってくれるということに満足するしかない。
私たちはドリンクをテーブルに置いて席に着く。私の隣にアリアさんが座る。彼らが私たちから見えなくなったところを見計らって、アリアさんが私に近寄り耳元で囁く。
「今度はきっとうまくいくから、ルリを信じてあげて」
「何を根拠にそんなことを言うんですか?」
「ううん。私の直感かな。真珠さんとルリ、付き合ったら絶対にバカップルのお似合いカップルになると思うんですよ」
「バ、バカップル……」
「これは、け、けっして、し、真珠さんのことをバカにしているとかではなくて。いい意味ですよ。ルリは一途なやつで、好きな人に対して誠実で、浮気なんてしないです!真珠さん一筋で愛してくれると思いますよ」
「そ、そんなわけ」
「だって、ルリの顔見ました?真珠さんを見るときの目が恋する乙女みたいでしたよ。あれはもう、真珠さんにベタぼれ間違いな」
「声が大きいよ、アリア。そういう話はもう少し、声を抑えないと」
「ダイヤ!それと、ルリさんも」
「戻ってくるのが早すぎ。普通、気を遣ってもう少しゆっくりとドリンク選びするでしょ」
話していたら、ダイヤとルリさんが戻ってきた。弟の発言から、私たちの話は聞かれていたようだ。いったい、どこまで話を聞かれてしまったのか。ダイヤはにやにやしていたが、ルリさんは困ったような顔をしていたが、嫌がってはいなかった。
「ま、まあ、僕と真珠さんのことは、今はいったん、置いておこう。ほら、注文した料理が来たみたいだよ」
ルリさんが話題を変えようと、私たちのテーブルに近付いてきた配ぜんロボットを指差す。ルリさんと弟が席に着いていないため、ロボットの道をふさいでいた。二人が私たちの正面に座ると、配ぜんロボットが動き出し、私たちのテーブルに近付いてくる。
「リョウリヲトリオワリマシタラ、ボタンヲオシテクダサイ。ゴユックリドウゾ」
頼んだ料理をテーブルに移す。頼んだ料理をすべてテーブルに置いて、ダイヤがボタンを押す。配ぜんロボットは無機質な機会音を発して、そのまま私たちの席を離れていった。
「とりあえず、冷めないうちに食べましょう。真珠さんとルリの今後については、食事後、じっくりと聞かせてもらいます」
「アリア、目がガチすぎて怖いから。二人のことは陰からコッソリ見守るくらいがちょうどいいって、二人の時、話しただろ?」
「でも、それだと、いつまでも関係が進みそうにないかなって」
何やら、こそこそ弟とアリアさんは二人で話しているが、声が潜められていないので丸聞こえだ。
「アリア、そういうのを余計なお世話って言うんだよ。真珠さんが困っているのがわからない?僕はいいけど、真珠さんを困らせるなよ」
「真珠さんが脈アリだと知って、余裕なのね。まあいいわ」
アリアさんは弟の言葉にしぶしぶ引き下がる。
「じゃあ、先に今回の姉さんの別れを祝って、乾杯しよう!」
気分を盛り上げるようと、弟がドリンクの入ったグラスを持ち上げる。すると、アリアさんとルリさんも同じようにグラスを持ち上げる。
「い、祝いって、その、はずかし」
「こういうのはノリでいきましょう!本人が祝わなくてどうするんですか!」
アリアさんの圧に負けて、私も恐る恐るグラスを持ち上げる。真珠さんが音頭を取って一番高くグラスを持ちあげる。
『真珠さんの未来に乾杯!』
『乾杯!』
グラス同士が重なり、軽快な音を立てる。私たちはそれぞれ、他の三人とグラスを合わせた。
『いただきます』
私たちはいったん話を中断して、それぞれが注文した料理を取り分けて食べ始める。
「あの、追加で注文してもいいですか?」
そういえば、私の食べたいものを注文しようと思っていて忘れていた。すでに料理の取り分けに夢中になっていた三人は黙って頷く。私はタッチパネルから、パイナップルが乗ったハワイアンピザを注文した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される
めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」
ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!
テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。
『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。
新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。
アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団の異色男子
ジャスティン・レスターの意外なお話
矢代木の実(23歳)
借金地獄の元カレから身をひそめるため
友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ
今はネットカフェを放浪中
「もしかして、君って、家出少女??」
ある日、ビルの駐車場をうろついてたら
金髪のイケメンの外人さんに
声をかけられました
「寝るとこないないなら、俺ん家に来る?
あ、俺は、ここの27階で働いてる
ジャスティンって言うんだ」
「………あ、でも」
「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は…
女の子には興味はないから」
地味な私を捨てた元婚約者にざまぁ返し!私の才能に惚れたハイスペ社長にスカウトされ溺愛されてます
久遠翠
恋愛
「君は、可愛げがない。いつも数字しか見ていないじゃないか」
大手商社に勤める地味なOL・相沢美月は、エリートの婚約者・高遠彰から突然婚約破棄を告げられる。
彼の心変わりと社内での孤立に傷つき、退職を選んだ美月。
しかし、彼らは知らなかった。彼女には、IT業界で“K”という名で知られる伝説的なデータアナリストという、もう一つの顔があったことを。
失意の中、足を運んだ交流会で美月が出会ったのは、急成長中のIT企業「ホライゾン・テクノロジーズ」の若き社長・一条蓮。
彼女が何気なく口にした市場分析の鋭さに衝撃を受けた蓮は、すぐさま彼女を破格の条件でスカウトする。
「君のその目で、俺と未来を見てほしい」──。
蓮の情熱に心を動かされ、新たな一歩を踏み出した美月は、その才能を遺憾なく発揮していく。
地味なOLから、誰もが注目するキャリアウーマンへ。
そして、仕事のパートナーである蓮の、真っ直ぐで誠実な愛情に、凍てついていた心は次第に溶かされていく。
これは、才能というガラスの靴を見出された、一人の女性のシンデレラストーリー。
数字の奥に隠された真実を見抜く彼女が、本当の愛と幸せを掴むまでの、最高にドラマチックな逆転ラブストーリー。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
私を嫌っていた冷徹魔導士が魅了の魔法にかかった結果、なぜか私にだけ愛を囁く
魚谷
恋愛
「好きだ、愛している」
帝国の英雄である将軍ジュリアは、幼馴染で、眉目秀麗な冷血魔導ギルフォードに抱きしめられ、愛を囁かれる。
混乱しながらも、ジュリアは長らく疎遠だった美形魔導師に胸をときめかせてしまう。
ギルフォードにもジュリアと長らく疎遠だったのには理由があって……。
これは不器用な魔導師と、そんな彼との関係を修復したいと願う主人公が、お互いに失ったものを取り戻し、恋する物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる