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6弟からの電話
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「今日は、いろいろありがとうございました」
「いえ、こちらこそ、真珠さんと過ごせてとても楽しかったです。ちなみに、この後の予定はありますか?」
「特にないですけど……。このまま家に帰る予定です」
「そうですか……。あの、今回で真珠さんと会うのは2回目ですけど、その、実は僕、真珠さんを一目見た時から、素敵な女性だなと思っていました。今日も、僕のわがままに付き合ってくれて、改めて真珠さんとこれからも会えたらなと思っています」
「はあ」
結局、私が苦手な明太子パスタは彼がすべて食べてくれた。そもそも、彼が私の意見を聞かなかったから起きたミスだ。彼は意外と食事の量が多いようで、明太子パスタをすべて、その他のピザとパスタも私が取り分けた分(半分より多め)をきれいに平らげていた。私は、明太子パスタを除いた半分弱でも満腹だった。
食事が終わり、店を出て駅まで到着したところで、彼からお誘いを受けた。駅の周辺にはホテルが多い。マッチングアプリはそもそも、大人のお付き合いを求めるものだ。夕食後の予定を聞かれたら、それはもう、そういう行為をするということだ。
ブー、ブー。
彼の言葉にあいまいな返事をしてしまい、どう断ろうかと考えていたところで、私のスマホがバイブ音で着信を告げる。慌ててカバンからスマホを出して、着信相手を確認する。
「弟からです。さっきの用件かもしれません。出ても構いませんか?」
「どうぞ」
夕食時にかけてきた弟から、二度目の電話だった。食事中だったので出なかったが、二度目ということは、何か急ぎの用事かもしれない。彼に断って電話に出ることにする。
「もしもし」
『ああ、やっと出てくれた。彼とのデートは終わった?』
「今、食事を終えて駅にいるけど」
『そうなんだ。ちなみに、今回の彼とはうまくいきそう?』
電話に出ると、弟の嬉しそうな声がスマホ越しに聞こえた。声の様子から、何か深刻な事態に陥っているという訳ではないようだ。それがわかっただけでほっとする。
「用件はなに?私が彼とデートなのは、ダイヤも知っているでしょう?急ぎの用件じゃないのなら、彼もいるから切」
『もしもし、真珠さんですか?ダイヤがすみません。お姉さんのデートがうまくいったか気になったみたいで、そんなのは次の日に連絡すればいいのにって、話したのに聞いてくれなくて』
弟と話していたら、途中で別の女性が電話に出た。どうやら、弟は恋人と一緒の場所にいるようだ。同棲しているので家に居るのだろう。可愛らしい女性の声に続いて、弟の声が再度、スマホから聞こえてくる。
『姉さんと釣り合う男性かどうか、僕が見極める必要があるだろ。だから、手始めにデート中に、弟からの電話に出ても許してくれる相手かどうか確認しただけだ』
『そんなことを毎回やっていたら、お姉さんにいつまでたっても恋人ができないでしょ。お姉さんが大好きなのはわかるけど、ほどほどにしないと、そのお姉さんから嫌われるよ』
『そ、それは嫌だ』
『だったら、今この場で謝らないと。デート中に電話してごめんなさいって』
「ご、ごめんな、姉ちゃん」
何やら、電話越しで2人が会話している。そして、電話越しでもわかるイチャイチャした雰囲気にげんなりする。いつもだったら、2人の甘い空気に癒されるのだが、今日に限っては私の神経を逆なでしてくる。私は彼の性格を知り、彼からの誘いを断ろうとしているのに、彼らは仲睦まじく電話でもイチャイチャしている。
「電話、終わりそう?」
彼が心配そうに私の顔を覗き込んできた。さて、いい加減、私もイライラがたまっている。一言、彼らに言ってやらなくては気が済まない。
「ええ、もう少しで終わります。ダイヤ、それにアリアさん」
用事がないのに、電話をかけてこないでください。迷惑です。
『ちょ、ちょっと、ま』
ツーツー。
勢いに任せて、こちらから電話を切ってしまう。私の言葉に2人は慌てていたが、知ったことではない。私の心配してくれるのは嬉しいが、今はそれが苦痛だ。
「葛谷さん」
「は、ハイ」
「お誘い、喜んでお受けいたします」
こうなったら、私も彼らよりもラブラブな恋人を早急に作らなくては。私は断ろうとしていた彼の誘いに乗ることにした。
「いえ、こちらこそ、真珠さんと過ごせてとても楽しかったです。ちなみに、この後の予定はありますか?」
「特にないですけど……。このまま家に帰る予定です」
「そうですか……。あの、今回で真珠さんと会うのは2回目ですけど、その、実は僕、真珠さんを一目見た時から、素敵な女性だなと思っていました。今日も、僕のわがままに付き合ってくれて、改めて真珠さんとこれからも会えたらなと思っています」
「はあ」
結局、私が苦手な明太子パスタは彼がすべて食べてくれた。そもそも、彼が私の意見を聞かなかったから起きたミスだ。彼は意外と食事の量が多いようで、明太子パスタをすべて、その他のピザとパスタも私が取り分けた分(半分より多め)をきれいに平らげていた。私は、明太子パスタを除いた半分弱でも満腹だった。
食事が終わり、店を出て駅まで到着したところで、彼からお誘いを受けた。駅の周辺にはホテルが多い。マッチングアプリはそもそも、大人のお付き合いを求めるものだ。夕食後の予定を聞かれたら、それはもう、そういう行為をするということだ。
ブー、ブー。
彼の言葉にあいまいな返事をしてしまい、どう断ろうかと考えていたところで、私のスマホがバイブ音で着信を告げる。慌ててカバンからスマホを出して、着信相手を確認する。
「弟からです。さっきの用件かもしれません。出ても構いませんか?」
「どうぞ」
夕食時にかけてきた弟から、二度目の電話だった。食事中だったので出なかったが、二度目ということは、何か急ぎの用事かもしれない。彼に断って電話に出ることにする。
「もしもし」
『ああ、やっと出てくれた。彼とのデートは終わった?』
「今、食事を終えて駅にいるけど」
『そうなんだ。ちなみに、今回の彼とはうまくいきそう?』
電話に出ると、弟の嬉しそうな声がスマホ越しに聞こえた。声の様子から、何か深刻な事態に陥っているという訳ではないようだ。それがわかっただけでほっとする。
「用件はなに?私が彼とデートなのは、ダイヤも知っているでしょう?急ぎの用件じゃないのなら、彼もいるから切」
『もしもし、真珠さんですか?ダイヤがすみません。お姉さんのデートがうまくいったか気になったみたいで、そんなのは次の日に連絡すればいいのにって、話したのに聞いてくれなくて』
弟と話していたら、途中で別の女性が電話に出た。どうやら、弟は恋人と一緒の場所にいるようだ。同棲しているので家に居るのだろう。可愛らしい女性の声に続いて、弟の声が再度、スマホから聞こえてくる。
『姉さんと釣り合う男性かどうか、僕が見極める必要があるだろ。だから、手始めにデート中に、弟からの電話に出ても許してくれる相手かどうか確認しただけだ』
『そんなことを毎回やっていたら、お姉さんにいつまでたっても恋人ができないでしょ。お姉さんが大好きなのはわかるけど、ほどほどにしないと、そのお姉さんから嫌われるよ』
『そ、それは嫌だ』
『だったら、今この場で謝らないと。デート中に電話してごめんなさいって』
「ご、ごめんな、姉ちゃん」
何やら、電話越しで2人が会話している。そして、電話越しでもわかるイチャイチャした雰囲気にげんなりする。いつもだったら、2人の甘い空気に癒されるのだが、今日に限っては私の神経を逆なでしてくる。私は彼の性格を知り、彼からの誘いを断ろうとしているのに、彼らは仲睦まじく電話でもイチャイチャしている。
「電話、終わりそう?」
彼が心配そうに私の顔を覗き込んできた。さて、いい加減、私もイライラがたまっている。一言、彼らに言ってやらなくては気が済まない。
「ええ、もう少しで終わります。ダイヤ、それにアリアさん」
用事がないのに、電話をかけてこないでください。迷惑です。
『ちょ、ちょっと、ま』
ツーツー。
勢いに任せて、こちらから電話を切ってしまう。私の言葉に2人は慌てていたが、知ったことではない。私の心配してくれるのは嬉しいが、今はそれが苦痛だ。
「葛谷さん」
「は、ハイ」
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こうなったら、私も彼らよりもラブラブな恋人を早急に作らなくては。私は断ろうとしていた彼の誘いに乗ることにした。
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