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7偶然の遭遇か、それとも……➁
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「七尾君だよね。もしよかったら、私たちが学食の使い方教えようか?」
「私たち、七尾君のことかっこいいなと思っていたんだ。私たちと一緒にご飯を食べようよ。席も取ってあるから」
七尾の容姿はとても目立っていた。ふわふわとした金髪にきれいな宝石のような碧眼。どこの外国人モデルかと思うほどの美形だった。背もスラリと高く、女子からは黄色い声が上がっていた。そして、七尾にお近づきになりたい女子が声をかけてきた。
「どうしようかな。僕、蒼紗先輩に用事があるんだ。ごめんね。また誘ってよ」
「蒼紗先輩……」
「蒼紗、騙されてはダメよ。どうせ、こいつもあれと同じ存在でしょ」
「先輩と呼ばれる蒼紗さんも素敵です。先輩と後輩から始まる恋も……。はッ。ダメダメ、蒼紗さんと結ばれるのは私なのよ」
私の机の周りはカオス状態となっていた。ジャスミンは七尾に敵意むき出しで睨みつけているし、綾崎さんは自分の世界に入り込んでしまっている。七尾は私の反応を面白そうに眺めていた。
「朔夜さん!」
この状況を救ってくれたのは、意外な人物だった。声の主を確認した私は、とっさに大声を出していた。
「ごめんなさい。ちょっとお手洗いに行ってきます!」
私は、七尾の腕をつかみ、強引にその場を離れることにした。
「蒼紗先輩は、僕のことが好きなんですね。僕に言い寄ってくる女性にやきもちを妬いているんですね!僕、とっても嬉しいです!」
「黙って、くだ、さい!」
食堂を離れ、講義室が並ぶ棟まで移動して、ようやく人混みが少なくなってきたのでその場で立ち止まる。駆け足でここまで来たので、息が切れてしまった。七尾の言葉を無視して、私はこれからどうしようかと思考を巡らせる。なんとなく、七尾と鬼崎さんを合わせたらいけないと思ってしまい、七尾を学食から連れてきてしまった。
七尾は私と違い、汗一つかかず、息も切れていなかった。
「鬼崎さんは、私に用があって声をかけてきたんでしょうか。もしそうなら、無視して七尾と一緒に逃げてきてしまいましたので、悪いことをしま」
「その人が朔夜さんの家に居候している人ですか。ずいぶん親しいみたいですが」
「うわ!」
「なんだ、ついてきていたのか。しつこい女だね。そんなに僕のことが魅力的だからって、ストーカーは良くないよ。僕はしつこい女は嫌いだし、女だったら、蒼紗さんみたいな面白い人が好きだよ」
まさか、鬼崎さんがここまで自分たちを追ってくるとは思ってもいなかったので、驚きで変な声が出てしまった。そんな私に構うことなく、七尾は好き勝手に話し出し、それに対して、鬼崎さんも容赦ない言葉を返す。
「私もあなたのようなチャラチャラした男と仲良くするのはごめんです。なぜ、朔夜先輩と親しいのですか?もしかして、あなたは」
「なぜ親しいかって、それは蒼紗さんがとても面白いから。一緒に居ると退屈しなさそうだからかな。本当は、家に居候したいくらいだけど、それは九尾やその眷属が許してくれないし」
「九尾?眷属?何を言っているのですか。あなたが居候しているのでは」
「アレ、知らなかったの?九尾はもちろん、死神にも目をつけられているし、さらには、この大学の変人教授も興味深々だよ!」
「七尾!」
七尾が私の個人情報をぺらぺらと話し出す。鬼崎さんは最近知り合ったばかりの、綾崎さんのサークルの後輩だ。私とは赤の他人と言ってもいいほどの関係だ。そんな彼女に話すような内容ではない。慌てて止めようと割って入るが、鬼崎さんも私に何かしらの思いがあるようだ。
「駒沢先生の言った通りですね。朔夜先輩の近くに居れば、私の長年の願いが」
鬼崎さんは七尾の言葉にぼそりとつぶやいた。駒沢という言葉に嫌な予感がした。
「鬼崎さん、今の話は、七尾の冗談だから。確かに七尾は私の家に居候していなくて、九尾が居候はしているけど、彼らは怪しいものではないから!」
私は必死に七尾の言葉を弁解した。九尾が人外の存在だと駒沢にばれるのは避けたかった。相手はすでに察しているのかもしれないが、それでも私から情報を与えたくはなかった。
「ふむ、その様子だと、お前は無能力者ということか。それで僕たちに興味を持ったのか。哀れだな」
「あおささあああああ!ここに居た。探したのよ。もう、どこに行ったのかと探しまくったんだから」
七尾が鬼崎さんの言葉に納得したように頷いている。彼のつぶやきは、私を心配する大声で掻き消された。ジャスミンが廊下をものすごい勢いで、私たちに向かって走ってきた。
「ま、まってくださ、い。わたしも。い、ま、すよ」
その後ろから、息が切れ切れになりながらも、必死にジャスミンの後をついてきたであろう、綾崎さんもやってきた。
「うるさい人たちがきたので、私は食堂に戻ります」
「ああ、美瑠、こんなとこ、ろで、何を、してる、の?まさか、美瑠も、蒼紗さんの、こ」
『違います!』
綾崎さんは、私の他に鬼崎さんが居ることに気付き、盛大なる勘違いを思想だったので、慌てて訂正した。その際に、鬼崎さんも否定の声を上げており、見事なハモりを見せた。
「はははははは!久しぶりに人間と交流してみたけど、いいねえ、九尾が気に入るわけだ」
「あおさあああ!何で突然、食堂から逃げ出したのか説明してもらおうかしら?」
「そうでした。理由を聞くまで、返しませんからね」
鬼崎さんは、足早にその場を去り、心配で追いかけてきたジャスミンと綾崎さんによって、私は強制的に二人から説教をくらうことになってしまった。その様子を眺めていた七尾は、お腹を抱えて笑い出し、そのまま姿を消してしまった。しかし、ジャスミンと綾崎さんは、私の説教に夢中で、七尾が消えてしまったことに気づきはしなかった。
「私たち、七尾君のことかっこいいなと思っていたんだ。私たちと一緒にご飯を食べようよ。席も取ってあるから」
七尾の容姿はとても目立っていた。ふわふわとした金髪にきれいな宝石のような碧眼。どこの外国人モデルかと思うほどの美形だった。背もスラリと高く、女子からは黄色い声が上がっていた。そして、七尾にお近づきになりたい女子が声をかけてきた。
「どうしようかな。僕、蒼紗先輩に用事があるんだ。ごめんね。また誘ってよ」
「蒼紗先輩……」
「蒼紗、騙されてはダメよ。どうせ、こいつもあれと同じ存在でしょ」
「先輩と呼ばれる蒼紗さんも素敵です。先輩と後輩から始まる恋も……。はッ。ダメダメ、蒼紗さんと結ばれるのは私なのよ」
私の机の周りはカオス状態となっていた。ジャスミンは七尾に敵意むき出しで睨みつけているし、綾崎さんは自分の世界に入り込んでしまっている。七尾は私の反応を面白そうに眺めていた。
「朔夜さん!」
この状況を救ってくれたのは、意外な人物だった。声の主を確認した私は、とっさに大声を出していた。
「ごめんなさい。ちょっとお手洗いに行ってきます!」
私は、七尾の腕をつかみ、強引にその場を離れることにした。
「蒼紗先輩は、僕のことが好きなんですね。僕に言い寄ってくる女性にやきもちを妬いているんですね!僕、とっても嬉しいです!」
「黙って、くだ、さい!」
食堂を離れ、講義室が並ぶ棟まで移動して、ようやく人混みが少なくなってきたのでその場で立ち止まる。駆け足でここまで来たので、息が切れてしまった。七尾の言葉を無視して、私はこれからどうしようかと思考を巡らせる。なんとなく、七尾と鬼崎さんを合わせたらいけないと思ってしまい、七尾を学食から連れてきてしまった。
七尾は私と違い、汗一つかかず、息も切れていなかった。
「鬼崎さんは、私に用があって声をかけてきたんでしょうか。もしそうなら、無視して七尾と一緒に逃げてきてしまいましたので、悪いことをしま」
「その人が朔夜さんの家に居候している人ですか。ずいぶん親しいみたいですが」
「うわ!」
「なんだ、ついてきていたのか。しつこい女だね。そんなに僕のことが魅力的だからって、ストーカーは良くないよ。僕はしつこい女は嫌いだし、女だったら、蒼紗さんみたいな面白い人が好きだよ」
まさか、鬼崎さんがここまで自分たちを追ってくるとは思ってもいなかったので、驚きで変な声が出てしまった。そんな私に構うことなく、七尾は好き勝手に話し出し、それに対して、鬼崎さんも容赦ない言葉を返す。
「私もあなたのようなチャラチャラした男と仲良くするのはごめんです。なぜ、朔夜先輩と親しいのですか?もしかして、あなたは」
「なぜ親しいかって、それは蒼紗さんがとても面白いから。一緒に居ると退屈しなさそうだからかな。本当は、家に居候したいくらいだけど、それは九尾やその眷属が許してくれないし」
「九尾?眷属?何を言っているのですか。あなたが居候しているのでは」
「アレ、知らなかったの?九尾はもちろん、死神にも目をつけられているし、さらには、この大学の変人教授も興味深々だよ!」
「七尾!」
七尾が私の個人情報をぺらぺらと話し出す。鬼崎さんは最近知り合ったばかりの、綾崎さんのサークルの後輩だ。私とは赤の他人と言ってもいいほどの関係だ。そんな彼女に話すような内容ではない。慌てて止めようと割って入るが、鬼崎さんも私に何かしらの思いがあるようだ。
「駒沢先生の言った通りですね。朔夜先輩の近くに居れば、私の長年の願いが」
鬼崎さんは七尾の言葉にぼそりとつぶやいた。駒沢という言葉に嫌な予感がした。
「鬼崎さん、今の話は、七尾の冗談だから。確かに七尾は私の家に居候していなくて、九尾が居候はしているけど、彼らは怪しいものではないから!」
私は必死に七尾の言葉を弁解した。九尾が人外の存在だと駒沢にばれるのは避けたかった。相手はすでに察しているのかもしれないが、それでも私から情報を与えたくはなかった。
「ふむ、その様子だと、お前は無能力者ということか。それで僕たちに興味を持ったのか。哀れだな」
「あおささあああああ!ここに居た。探したのよ。もう、どこに行ったのかと探しまくったんだから」
七尾が鬼崎さんの言葉に納得したように頷いている。彼のつぶやきは、私を心配する大声で掻き消された。ジャスミンが廊下をものすごい勢いで、私たちに向かって走ってきた。
「ま、まってくださ、い。わたしも。い、ま、すよ」
その後ろから、息が切れ切れになりながらも、必死にジャスミンの後をついてきたであろう、綾崎さんもやってきた。
「うるさい人たちがきたので、私は食堂に戻ります」
「ああ、美瑠、こんなとこ、ろで、何を、してる、の?まさか、美瑠も、蒼紗さんの、こ」
『違います!』
綾崎さんは、私の他に鬼崎さんが居ることに気付き、盛大なる勘違いを思想だったので、慌てて訂正した。その際に、鬼崎さんも否定の声を上げており、見事なハモりを見せた。
「はははははは!久しぶりに人間と交流してみたけど、いいねえ、九尾が気に入るわけだ」
「あおさあああ!何で突然、食堂から逃げ出したのか説明してもらおうかしら?」
「そうでした。理由を聞くまで、返しませんからね」
鬼崎さんは、足早にその場を去り、心配で追いかけてきたジャスミンと綾崎さんによって、私は強制的に二人から説教をくらうことになってしまった。その様子を眺めていた七尾は、お腹を抱えて笑い出し、そのまま姿を消してしまった。しかし、ジャスミンと綾崎さんは、私の説教に夢中で、七尾が消えてしまったことに気づきはしなかった。
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