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番外編【性癖という武器】1性癖と現実
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「紗々さん、熱心にスマホを見ていますが、何を見ているのですか?何か新たに売れたものでもありますか?」
10月も終わりに近づいてきた週末の午前中、私はリビングでスマホを見ていた。小説投稿サイトに投稿された過去の自作を読み返していたのだ。しがない底辺作家として、自作の商業化を狙い、暇さえあれば小説コンテストを探して応募している。当然、過去作を応募する前に手直しをすることがある。その前に自作を読み返す。それが大鷹さんに見られていたわけだ。
「フリマアプリはいったん、休止することにしました。実家から持ってきたものはあらかた売れましたので」
以前、フリマアプリに嵌まっている話はしたが、あれから売れ行きは伸び悩んでいた。やはりフリマアプリのプロではない素人では限界がある。ある程度の利益が出たので、ここらで休止することにした。
「じゃあ、お気に入りのBL漫画でも見つけましたか?」
「違います。私はただ……」
ここで、私は自作を読んでいたことを大鷹さんに話そうか迷ってしまった。大鷹さんに伝えたら、面白いのは当たり前だと返されそうだ。私の大ファンである大鷹さんではあるが、彼は当然、読者として私の作品を愛している。しかし、私は作品を書いた当事者であり、作品の愛し方が違うと感じたからだ。これは、創作者でないとわからない感覚かもしれない。
自分の子供を愛するのと、他人の子供を愛するのが違うという感覚に似ている気がする。とはいえ、実際に子供を持ったことがないので、これは憶測でしかない。
「ああ、先生の過去作を読み返していたんですね?わかります、わかります。先生の作品はどれも面白いですから」
しかし、自作を読んでいたことはすぐにばれてしまった。大鷹さんが私のスマホを覗きこんできたからだ。まったく、プライバシーの欠片もない行為である。私に見られたくないものがあったらどうするのか。いや、すでに大鷹さんに隠すべきものはほとんどない。BL好きなのもばれているし、エロ系もおそらく大鷹さんは容認しているだろう。だからこそ、遠慮なく、私のスマホを覗けるのかもしれない。
「まあ、そうですね。過去の私も面白いと思って書いていたのでしょうが、今の私が読んでも面白い、と思います」
今回も、某小説コンテストの応募条件を満たしていた過去作を読み返していた。文章に多少の粗はあって読みにくさはあるが、それでも当時の私の精一杯の頑張りがうかがえた。そして内容は、今読んでも面白い。
創作者には過去作をまったく読み返さない人もいるようだ。私も基本的にそのタイプだったが、最近は少しずつ過去作にも目を向けるようにしている。読み返さない人は、恥ずかしさや黒歴史を思い出すのが嫌らしい。確かに私も作品によっては恥ずかしさを感じたり、読んでいていたたまれなくなったりするものもある。
「でも、珍しいですよね?紗々さんが自作を読んでいるなんて」
「たまにはいいかと思いまして。それに」
気づいてしまったのだ。自分の作品の傾向に。つまり言い換えると。
「私の性癖を再確認するいい機会になるので」
「性癖……」
うっかり心の中の声が外に漏れてしまった。大鷹さんといると、こういうミスが多い。しかし、今回は失言ではない。誰しも、性癖の一つや二つ持っているし、それが他人と違う事なんて良くあることだ。
「そういえば、紗々さんって……」
大鷹さんが急に深刻そうな表情になり、声を潜めて私に問いかける。いったい何事かと顔を近づけると。
「ハーレム展開、好きですよね?もしかして」
「断じて違います!いえ、違わなくはないですけど」
どうやら、今回もまた私は大鷹さんの地雷を踏んでしまったらしい。まさか、そこに話が行き着くとは思わなかった。
「だとすると、僕との生活は不満、ですか?」
話が嫌な方向に進んでいる。このままでは確実にやばい。そう感じたので、慌てて弁明の言葉を口にする。
「別に大鷹さんとの生活に不満などありません。ただ、書きたいものがたまたまハーレム系になってしまっただけで……。それに!」
これは声を大きくして言うところだ。続く言葉に熱が入る。
「大鷹さんと生活しているうちに、純愛もまた良いものだと思うようになりました。なので、ハーレム系ももちろん好きですが、純愛物も大好物です!」
神に誓って、現実世界で自分自身がハーレム展開を望んでいるわけではない。そもそも、私みたいなコミュ障ボッチの引きこもり体質がモテる展開なぞ、それこそ二次元でしかお目にかかれない。そういう意味も込めての発言だったが、どうやらうまく大鷹さんには伝わらなかったらしい。あごに手を当てて考え込みだした。
「純愛系も、大好物、ですか。でもやっぱりいまだにハーレム展開が好きだと」
「だから!」
「いえ、紗々さんを疑っているわけではありません。しかし、紗々さんは見る人から見たら、かなりモテる人間です。現に僕の親戚連中からはかなり高評価ですし。なので、僕が心配するのはわかっていただけると思いますが」
私の反論を遮って持論を展開しだす大鷹さん。そこで私はあることに気付いてしまう。二次元でもよくある展開だが、それが今、私の目の前で展開しているのではないか。
「周りと違う陰キャはモテる現象」
「陰キャって……。紗々さんはそこまで陰キャじゃな」
「否定しなくて結構です。ですが大鷹さん」
ここでビシッと言ってやらなくてはならない。創作者として、これだけは言っておくべきことがある。
「現実と二次元を一緒にしないでください」
その一言に尽きる。
世の中にはたくさんの作品で満ち溢れている。暗殺者、ヤクザ、つまるところ俗にいう犯罪者たちが主人公の話はたくさんある。そうは言っても、その作者が実際に犯罪を行っているわけではない。私が言いたいのはそういうことだ。
「それに、そんなことを言ったら、私が同性愛者ということになりますよ。いや、生別すら男になってしまう」
「紗々さんが男なわけありません!」
「つまり、そういう事なんです。私がハーレム展開を好きだとしても、それはあくまで二次元の話。現実では大鷹さん一筋だという話です」
「なるほど……」
ようやく私の考えが伝わったらしい。自分で言っていて恥ずかしいが仕方ない。わかってくれたならそれでよい。首を縦に振って頷いている大鷹さんだが、次の言葉は私の予想を超えていた。
「そういう事なら、現実世界でもっと僕だけを見てもらうために努力して、最終的に小説でも純愛物しか書けないくらいの性癖にすればいいってことですね」
最近の大鷹さんは、危険な発言をすることが多い。元々やばかったのが、表面に出てきてしまったのか、私が大鷹さんを狂わせてしまったのか。どちらにせよ、今の大鷹さんの暴走を止められるのは私しかいない。止めるついでに持論を伝えておく。
「私はすでに大鷹さん一筋だって言いましたよね。だから、これ以上努力してもらわなくても今のままで充分満足しています。私が純愛物しか書けなくなって困るのは大鷹さんではないですか?」
「僕、ですか?」
「だって、大鷹さんは私の『ファン』なんでしょう?ファンなら、私のいろいろな作品を読みたいはずです。その作者が、ひとつのジャンルしか書けなくなっては、つまらなくないですか?」
私なら、同じような作品ばかり書いている作者も好きだが、別のジャンルに取り組む作者も応援したいと思っている。作品の幅も広がるし、飽きがこなくていいではないか。当然、作者独自の性癖を消してしまっては凡夫な作品に成り下がってしまう。独自性を生かしつつ、新たなジャンルにチャレンジして欲しいという考えだ。
「一理ありますね。いろいろ言ってすみませんでした」
「わかればよろしい」
「紗々さんが僕一筋なのも確認できたので良かったです。そういえば、現実でもハーレム展開ってあるのでしょうか?いえ、ハッピーエンドのハーレム展開って意味です。僕は基本的に複数同時に付き合うというのが嫌なので、同時に付き合う、つまり浮気なんてしたことないし、周りでも複数同時に付き合ってよい結果になっている人は見たことないですけど」
うん、これもまた大鷹さんあるあるだが、ところどころでモテ発言はやめて欲しい。モテる男はつらいよ自慢にしか聞こえない。陰キャには縁のない話だ。
「自分の部屋で小説を執筆してきます」
大鷹さんとの何気ない会話の中には、小説のネタに出来そうなものが多い。小説家とはつらいものだ。ネタになりそうなものが会話に含まれると、どうしても文章にしてしまいたくなる。大鷹さんはどうぞと一言言うだけで、私を止めることはなかった。
10月も終わりに近づいてきた週末の午前中、私はリビングでスマホを見ていた。小説投稿サイトに投稿された過去の自作を読み返していたのだ。しがない底辺作家として、自作の商業化を狙い、暇さえあれば小説コンテストを探して応募している。当然、過去作を応募する前に手直しをすることがある。その前に自作を読み返す。それが大鷹さんに見られていたわけだ。
「フリマアプリはいったん、休止することにしました。実家から持ってきたものはあらかた売れましたので」
以前、フリマアプリに嵌まっている話はしたが、あれから売れ行きは伸び悩んでいた。やはりフリマアプリのプロではない素人では限界がある。ある程度の利益が出たので、ここらで休止することにした。
「じゃあ、お気に入りのBL漫画でも見つけましたか?」
「違います。私はただ……」
ここで、私は自作を読んでいたことを大鷹さんに話そうか迷ってしまった。大鷹さんに伝えたら、面白いのは当たり前だと返されそうだ。私の大ファンである大鷹さんではあるが、彼は当然、読者として私の作品を愛している。しかし、私は作品を書いた当事者であり、作品の愛し方が違うと感じたからだ。これは、創作者でないとわからない感覚かもしれない。
自分の子供を愛するのと、他人の子供を愛するのが違うという感覚に似ている気がする。とはいえ、実際に子供を持ったことがないので、これは憶測でしかない。
「ああ、先生の過去作を読み返していたんですね?わかります、わかります。先生の作品はどれも面白いですから」
しかし、自作を読んでいたことはすぐにばれてしまった。大鷹さんが私のスマホを覗きこんできたからだ。まったく、プライバシーの欠片もない行為である。私に見られたくないものがあったらどうするのか。いや、すでに大鷹さんに隠すべきものはほとんどない。BL好きなのもばれているし、エロ系もおそらく大鷹さんは容認しているだろう。だからこそ、遠慮なく、私のスマホを覗けるのかもしれない。
「まあ、そうですね。過去の私も面白いと思って書いていたのでしょうが、今の私が読んでも面白い、と思います」
今回も、某小説コンテストの応募条件を満たしていた過去作を読み返していた。文章に多少の粗はあって読みにくさはあるが、それでも当時の私の精一杯の頑張りがうかがえた。そして内容は、今読んでも面白い。
創作者には過去作をまったく読み返さない人もいるようだ。私も基本的にそのタイプだったが、最近は少しずつ過去作にも目を向けるようにしている。読み返さない人は、恥ずかしさや黒歴史を思い出すのが嫌らしい。確かに私も作品によっては恥ずかしさを感じたり、読んでいていたたまれなくなったりするものもある。
「でも、珍しいですよね?紗々さんが自作を読んでいるなんて」
「たまにはいいかと思いまして。それに」
気づいてしまったのだ。自分の作品の傾向に。つまり言い換えると。
「私の性癖を再確認するいい機会になるので」
「性癖……」
うっかり心の中の声が外に漏れてしまった。大鷹さんといると、こういうミスが多い。しかし、今回は失言ではない。誰しも、性癖の一つや二つ持っているし、それが他人と違う事なんて良くあることだ。
「そういえば、紗々さんって……」
大鷹さんが急に深刻そうな表情になり、声を潜めて私に問いかける。いったい何事かと顔を近づけると。
「ハーレム展開、好きですよね?もしかして」
「断じて違います!いえ、違わなくはないですけど」
どうやら、今回もまた私は大鷹さんの地雷を踏んでしまったらしい。まさか、そこに話が行き着くとは思わなかった。
「だとすると、僕との生活は不満、ですか?」
話が嫌な方向に進んでいる。このままでは確実にやばい。そう感じたので、慌てて弁明の言葉を口にする。
「別に大鷹さんとの生活に不満などありません。ただ、書きたいものがたまたまハーレム系になってしまっただけで……。それに!」
これは声を大きくして言うところだ。続く言葉に熱が入る。
「大鷹さんと生活しているうちに、純愛もまた良いものだと思うようになりました。なので、ハーレム系ももちろん好きですが、純愛物も大好物です!」
神に誓って、現実世界で自分自身がハーレム展開を望んでいるわけではない。そもそも、私みたいなコミュ障ボッチの引きこもり体質がモテる展開なぞ、それこそ二次元でしかお目にかかれない。そういう意味も込めての発言だったが、どうやらうまく大鷹さんには伝わらなかったらしい。あごに手を当てて考え込みだした。
「純愛系も、大好物、ですか。でもやっぱりいまだにハーレム展開が好きだと」
「だから!」
「いえ、紗々さんを疑っているわけではありません。しかし、紗々さんは見る人から見たら、かなりモテる人間です。現に僕の親戚連中からはかなり高評価ですし。なので、僕が心配するのはわかっていただけると思いますが」
私の反論を遮って持論を展開しだす大鷹さん。そこで私はあることに気付いてしまう。二次元でもよくある展開だが、それが今、私の目の前で展開しているのではないか。
「周りと違う陰キャはモテる現象」
「陰キャって……。紗々さんはそこまで陰キャじゃな」
「否定しなくて結構です。ですが大鷹さん」
ここでビシッと言ってやらなくてはならない。創作者として、これだけは言っておくべきことがある。
「現実と二次元を一緒にしないでください」
その一言に尽きる。
世の中にはたくさんの作品で満ち溢れている。暗殺者、ヤクザ、つまるところ俗にいう犯罪者たちが主人公の話はたくさんある。そうは言っても、その作者が実際に犯罪を行っているわけではない。私が言いたいのはそういうことだ。
「それに、そんなことを言ったら、私が同性愛者ということになりますよ。いや、生別すら男になってしまう」
「紗々さんが男なわけありません!」
「つまり、そういう事なんです。私がハーレム展開を好きだとしても、それはあくまで二次元の話。現実では大鷹さん一筋だという話です」
「なるほど……」
ようやく私の考えが伝わったらしい。自分で言っていて恥ずかしいが仕方ない。わかってくれたならそれでよい。首を縦に振って頷いている大鷹さんだが、次の言葉は私の予想を超えていた。
「そういう事なら、現実世界でもっと僕だけを見てもらうために努力して、最終的に小説でも純愛物しか書けないくらいの性癖にすればいいってことですね」
最近の大鷹さんは、危険な発言をすることが多い。元々やばかったのが、表面に出てきてしまったのか、私が大鷹さんを狂わせてしまったのか。どちらにせよ、今の大鷹さんの暴走を止められるのは私しかいない。止めるついでに持論を伝えておく。
「私はすでに大鷹さん一筋だって言いましたよね。だから、これ以上努力してもらわなくても今のままで充分満足しています。私が純愛物しか書けなくなって困るのは大鷹さんではないですか?」
「僕、ですか?」
「だって、大鷹さんは私の『ファン』なんでしょう?ファンなら、私のいろいろな作品を読みたいはずです。その作者が、ひとつのジャンルしか書けなくなっては、つまらなくないですか?」
私なら、同じような作品ばかり書いている作者も好きだが、別のジャンルに取り組む作者も応援したいと思っている。作品の幅も広がるし、飽きがこなくていいではないか。当然、作者独自の性癖を消してしまっては凡夫な作品に成り下がってしまう。独自性を生かしつつ、新たなジャンルにチャレンジして欲しいという考えだ。
「一理ありますね。いろいろ言ってすみませんでした」
「わかればよろしい」
「紗々さんが僕一筋なのも確認できたので良かったです。そういえば、現実でもハーレム展開ってあるのでしょうか?いえ、ハッピーエンドのハーレム展開って意味です。僕は基本的に複数同時に付き合うというのが嫌なので、同時に付き合う、つまり浮気なんてしたことないし、周りでも複数同時に付き合ってよい結果になっている人は見たことないですけど」
うん、これもまた大鷹さんあるあるだが、ところどころでモテ発言はやめて欲しい。モテる男はつらいよ自慢にしか聞こえない。陰キャには縁のない話だ。
「自分の部屋で小説を執筆してきます」
大鷹さんとの何気ない会話の中には、小説のネタに出来そうなものが多い。小説家とはつらいものだ。ネタになりそうなものが会話に含まれると、どうしても文章にしてしまいたくなる。大鷹さんはどうぞと一言言うだけで、私を止めることはなかった。
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