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番外編【浮気系漫画の展開は許せません!】2ここは会社ですよ(大鷹視点)
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「大鷹さん、ここの部分がわからないのですが」
「大鷹さん、一緒にお昼を食べませんか?」
「大鷹さんは結婚していますか」
オレは今、会社の派遣社員の女性に言い寄られている。派遣の事務員が6月で契約満了になり、7月から新たな派遣社員がやってきたのだが、その派遣社員はかなりの肉食系女子だったらしい。
「先輩、随分と彼女に執着されていますね。あんなにかわいい子なら、ちょっとつまんでみたくならないんですか?」
会社の同僚は冗談で言っているのだろうが、オレはそんな不誠実なことをするつもりはない。そもそも、オレには紗々さんがいるのだ。彼女以外の女性に目移りするなどありえない。派遣社員からの口撃は仕事関係なら答えるが、プライベートについては適当にごまかしていた。
「お昼、ご一緒してもいいですか?」
昼休み、食堂で昼食をとっていたら例の派遣社員の女性がオレに絡んできた。基本的にオレが働く会社は、昼ご飯を一人で黙々と食べる社員が多い。オレもわいわい話すより一人で食べる方が気楽だった。彼らと同じようにひとりで食べていたのだが、最近は彼女に絡まれてうんざりしていた。
「スカート、お好きなんですね」
彼女は断っても席が空いているからという理由で目の前に座ってくる。無視するのが一番だとわかっていても、つい昨日した紗々さんとの会話が思い出し、話しかけてしまう。彼女は毎日のように違う服で会社に来ていたが、スカート以外、パンツルックでの姿を見たことがなかった。
「ああ、これですか。私服で通える会社っていいですよね。好きな服を着て仕事をすると、やる気がアップする気がします」
派遣社員の女性はにっこりと可愛らしい笑顔でオレに返答するが、特に魅力は感じない。後輩から聞いた情報だと、彼女は自分の容姿を活かして男を落としまくっているらしい。確かに、はたから見たら男性が好みそうな外見と服装をしていた。
小柄な身長に不釣り合いな大きな胸。それを強調するかのようなサイズの合っていないブラウス。スカートはひざ下ぎりぎりの長さだが、ふわりと揺れる感じが可愛らしいと思う人もいるだろう。カラコンを入れているのか、やけに大きな黒目にばっちりと添えられたまつげにぷっくりとした唇。髪は明るい茶髪で緩巻かれた髪を肩まで伸ばしていた。
「ほかの社員から聞いたんですけど、大鷹さんって結婚していらっしゃるんですよね。どうして指輪をしてないんですか?」
オレがスカートについて言及したことで、自分に興味があると勝手に勘違いした女性だが、すぐに辺りを気にして声を落とし面倒なことを言い始める。そうやって、気分の乱高下が激しい人は苦手だ。まあ、好きな人なら話は別である。紗々さんは見ていて面白いが、目の前の女性は生理的に受け付けない。
指輪をしていないから、独身だと思ってました。
オレが黙ったままでいると、女性は席を立って前かがみで話しかけてきた。胸の谷間が強調されて女性に免疫がない人は大変なことになりそうだ。とはいえ、そんなお色気攻撃などオレには通用しない。
それにしても、今のご時勢で指輪の有無で既婚者か判断するのは早計だ。人にはそれぞれ事情がある。それもわからず、無神経なことを言う人間がオレは大嫌いだ。
「どうして、そんなプライベートなことをあなたに教えなくてはいけないんですか?ここは会社で、仕事をする場所です。男を漁るための場所ではないでしょう?」
これだけ冷たくあしらえば、オレが彼女に興味がないとわかるだろう。そう思っていたが、この派遣社員はかなり自分に自信があるようだ。今度は深刻そうな顔でオレを見つめてくる。前かがみの姿勢のままで、どうしても視線は胸元に向いてしまう。それが狙いなのかもしれないが、はっきりいって迷惑でしかない。
「私、大鷹さんの奥さんについて聞いてしまったんです。大鷹さん、会社では強がっていますけど、実は奥さんに浮気されているんですよね。大鷹さんのような優しい人と結婚しておきながら、ひどい人ですね。私なら」
「はああああああ」
あまりにもくだらない。くだらなすぎて笑えてくる。彼女の話に思わず大声を出してしまう。何事かと食堂にいた社員の視線がオレたちに集まった。
「大鷹さん、一緒にお昼を食べませんか?」
「大鷹さんは結婚していますか」
オレは今、会社の派遣社員の女性に言い寄られている。派遣の事務員が6月で契約満了になり、7月から新たな派遣社員がやってきたのだが、その派遣社員はかなりの肉食系女子だったらしい。
「先輩、随分と彼女に執着されていますね。あんなにかわいい子なら、ちょっとつまんでみたくならないんですか?」
会社の同僚は冗談で言っているのだろうが、オレはそんな不誠実なことをするつもりはない。そもそも、オレには紗々さんがいるのだ。彼女以外の女性に目移りするなどありえない。派遣社員からの口撃は仕事関係なら答えるが、プライベートについては適当にごまかしていた。
「お昼、ご一緒してもいいですか?」
昼休み、食堂で昼食をとっていたら例の派遣社員の女性がオレに絡んできた。基本的にオレが働く会社は、昼ご飯を一人で黙々と食べる社員が多い。オレもわいわい話すより一人で食べる方が気楽だった。彼らと同じようにひとりで食べていたのだが、最近は彼女に絡まれてうんざりしていた。
「スカート、お好きなんですね」
彼女は断っても席が空いているからという理由で目の前に座ってくる。無視するのが一番だとわかっていても、つい昨日した紗々さんとの会話が思い出し、話しかけてしまう。彼女は毎日のように違う服で会社に来ていたが、スカート以外、パンツルックでの姿を見たことがなかった。
「ああ、これですか。私服で通える会社っていいですよね。好きな服を着て仕事をすると、やる気がアップする気がします」
派遣社員の女性はにっこりと可愛らしい笑顔でオレに返答するが、特に魅力は感じない。後輩から聞いた情報だと、彼女は自分の容姿を活かして男を落としまくっているらしい。確かに、はたから見たら男性が好みそうな外見と服装をしていた。
小柄な身長に不釣り合いな大きな胸。それを強調するかのようなサイズの合っていないブラウス。スカートはひざ下ぎりぎりの長さだが、ふわりと揺れる感じが可愛らしいと思う人もいるだろう。カラコンを入れているのか、やけに大きな黒目にばっちりと添えられたまつげにぷっくりとした唇。髪は明るい茶髪で緩巻かれた髪を肩まで伸ばしていた。
「ほかの社員から聞いたんですけど、大鷹さんって結婚していらっしゃるんですよね。どうして指輪をしてないんですか?」
オレがスカートについて言及したことで、自分に興味があると勝手に勘違いした女性だが、すぐに辺りを気にして声を落とし面倒なことを言い始める。そうやって、気分の乱高下が激しい人は苦手だ。まあ、好きな人なら話は別である。紗々さんは見ていて面白いが、目の前の女性は生理的に受け付けない。
指輪をしていないから、独身だと思ってました。
オレが黙ったままでいると、女性は席を立って前かがみで話しかけてきた。胸の谷間が強調されて女性に免疫がない人は大変なことになりそうだ。とはいえ、そんなお色気攻撃などオレには通用しない。
それにしても、今のご時勢で指輪の有無で既婚者か判断するのは早計だ。人にはそれぞれ事情がある。それもわからず、無神経なことを言う人間がオレは大嫌いだ。
「どうして、そんなプライベートなことをあなたに教えなくてはいけないんですか?ここは会社で、仕事をする場所です。男を漁るための場所ではないでしょう?」
これだけ冷たくあしらえば、オレが彼女に興味がないとわかるだろう。そう思っていたが、この派遣社員はかなり自分に自信があるようだ。今度は深刻そうな顔でオレを見つめてくる。前かがみの姿勢のままで、どうしても視線は胸元に向いてしまう。それが狙いなのかもしれないが、はっきりいって迷惑でしかない。
「私、大鷹さんの奥さんについて聞いてしまったんです。大鷹さん、会社では強がっていますけど、実は奥さんに浮気されているんですよね。大鷹さんのような優しい人と結婚しておきながら、ひどい人ですね。私なら」
「はああああああ」
あまりにもくだらない。くだらなすぎて笑えてくる。彼女の話に思わず大声を出してしまう。何事かと食堂にいた社員の視線がオレたちに集まった。
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