101 / 234
番外編【GWの過ごし方】6大鷹さんと一緒に居た女性は……
しおりを挟む
「それで、河合さんが見た、大鷹さんと一緒に居た女性というのはどんな女性だったのですか?」
食事がひと段落して、私は河合さんに質問する。とりあえず、河合さんが見たという女性の話を聞くことにした。絶対に大鷹さんは浮気をしないという信頼があるが、聞いておくだけ聞いておこう。
「なんだかずいぶんとご自分に自信がおありのようですね。でもまあ、おおたかっちは容姿で先輩と結婚したわけではないので、どんなに美女が言い寄ろうとなびかないと思いますけど」
失礼なことを言う後輩である。しかし、そんなことをいちいち指摘していたら、この後輩とはうまくやっていけない。無言でジトリと見つめると、さすがに空気を読んで後輩は大鷹さんが女性について話し出した。
「実は私、大鷹さんと二人で会っていた女性がどこかで見たことがあるような気がするんですよねえ。あんなに美人な人だったら、絶対に一度見たら忘れないと思うんですけど」
人をランチに誘ってまで話したい内容だったにも関わらず、河合さんの話はあいまいで要領を得ない。河合さんが見たことのある、一度見たら忘れられないほどの美人。もし、私が知っている人物ならば、選択肢はいくつかある。
① 大鷹さんの叔母「千沙さん」
② 大鷹さんの従弟「きらりさん」
③ 大鷹さんの弟の奥さん「李江さん」
④ 女装した大鷹さんの従弟「守君」
➃については、もしそうだとしたら面白いなと思った程度のことだ。選択肢には入らない。
それにしても、大鷹さんの周りは美人ぞろいで眼福である。イケメンの周りには自然と美人が集まる習性でもあるのだろうか。そうだとしても、大鷹さんは私を結婚相手に選んでくれた。美人が周りにいる環境で私が選ばれたことに、少しは自信を持ってもいいのかもしれない。
「まあ、この話はこの辺にしておきましょう。あいまいにしておいた方が、妄想が膨らみますから」
「はあ」
「それに、もし私が女性のことを思い出したら、さすがに先輩も心穏やかにこんなところでランチなんてできないはずでしょう?きっと、先輩とランチを終えるころには思い出せる気がしますから安心して妄想してください」
河合さんはうさん臭い笑顔で私を見つめる。河合さんの言うことも一理あるが、だとしたら今日のランチの目的とは。何か隠している気はするが、私がなにを言っても話すことは無いだろう。基本的に私は引きこもり体質でコミュニケーション能力が欠如している。他人から話しを引き出すのは苦手だ。
私はあきらめて妄想の世界に浸ることにした。さて、大鷹さんが二人きりで出会ったのはいったいどんな女性(男性でも可)だったのだろうか。
【妄想1】
「おさむっちの奥さんって、どんな人なの?おさむっちが選んだ人なんだから、かなりの美人だよね。写真とかないの?」
「ないですよ。妻は写真を撮られるのが苦手で、なかなか写真を撮らせてくれなくて。二人で旅行に行って記念撮影しようと言っても、一緒に撮らせてもくれないですから」
「かなり自分に自信がないのか、逆に自分がかなり美人かわかっているのかのどちらかだね。ブスで自分の写真を他人に見せたくないか、美人過ぎて自分の写真の流出を恐れているのか。でもさ、そんな人と良く結婚したね」
「実は、妻は僕の弱みに付け込んできまして。僕の秘密を知られてしまったので、それをネタにされて仕方なく……」
「ふうん。それなら私に任せてよ。これも幼なじみのよしみってやつだね。その代わりと言っては何だけど、奥さんと離婚出来たら、私の頼みを一つ、聞いてもらえるかな?」
「いいですよ」
「交渉成立だね。約束は守ってもらうから」
大鷹は妻の愚痴を幼馴染の年上の彼女にこぼしていた。真っ黒な髪を背中まで伸ばした目鼻立ちが整った美人だ。どうして、目の前に座る彼女を選ばずに妻を選んでしまったのか。彼女の指を見ると、指輪はしていない。もし、昔の約束がまだ有効ならば。
(妻と離婚出来たら、その時は)
GW(ゴールデンウィーク)の休みにこうして誘いに乗ってくれたということは、彼女は彼氏がいないのかもしれない。
(とはいっても、僕の手は血にまみれてしまっている。そんな僕には妻みたいな女と居るのがお似合いなのかもしれない)
大鷹は目の前に座る彼女の笑顔がとても眩しく見えた。
食事がひと段落して、私は河合さんに質問する。とりあえず、河合さんが見たという女性の話を聞くことにした。絶対に大鷹さんは浮気をしないという信頼があるが、聞いておくだけ聞いておこう。
「なんだかずいぶんとご自分に自信がおありのようですね。でもまあ、おおたかっちは容姿で先輩と結婚したわけではないので、どんなに美女が言い寄ろうとなびかないと思いますけど」
失礼なことを言う後輩である。しかし、そんなことをいちいち指摘していたら、この後輩とはうまくやっていけない。無言でジトリと見つめると、さすがに空気を読んで後輩は大鷹さんが女性について話し出した。
「実は私、大鷹さんと二人で会っていた女性がどこかで見たことがあるような気がするんですよねえ。あんなに美人な人だったら、絶対に一度見たら忘れないと思うんですけど」
人をランチに誘ってまで話したい内容だったにも関わらず、河合さんの話はあいまいで要領を得ない。河合さんが見たことのある、一度見たら忘れられないほどの美人。もし、私が知っている人物ならば、選択肢はいくつかある。
① 大鷹さんの叔母「千沙さん」
② 大鷹さんの従弟「きらりさん」
③ 大鷹さんの弟の奥さん「李江さん」
④ 女装した大鷹さんの従弟「守君」
➃については、もしそうだとしたら面白いなと思った程度のことだ。選択肢には入らない。
それにしても、大鷹さんの周りは美人ぞろいで眼福である。イケメンの周りには自然と美人が集まる習性でもあるのだろうか。そうだとしても、大鷹さんは私を結婚相手に選んでくれた。美人が周りにいる環境で私が選ばれたことに、少しは自信を持ってもいいのかもしれない。
「まあ、この話はこの辺にしておきましょう。あいまいにしておいた方が、妄想が膨らみますから」
「はあ」
「それに、もし私が女性のことを思い出したら、さすがに先輩も心穏やかにこんなところでランチなんてできないはずでしょう?きっと、先輩とランチを終えるころには思い出せる気がしますから安心して妄想してください」
河合さんはうさん臭い笑顔で私を見つめる。河合さんの言うことも一理あるが、だとしたら今日のランチの目的とは。何か隠している気はするが、私がなにを言っても話すことは無いだろう。基本的に私は引きこもり体質でコミュニケーション能力が欠如している。他人から話しを引き出すのは苦手だ。
私はあきらめて妄想の世界に浸ることにした。さて、大鷹さんが二人きりで出会ったのはいったいどんな女性(男性でも可)だったのだろうか。
【妄想1】
「おさむっちの奥さんって、どんな人なの?おさむっちが選んだ人なんだから、かなりの美人だよね。写真とかないの?」
「ないですよ。妻は写真を撮られるのが苦手で、なかなか写真を撮らせてくれなくて。二人で旅行に行って記念撮影しようと言っても、一緒に撮らせてもくれないですから」
「かなり自分に自信がないのか、逆に自分がかなり美人かわかっているのかのどちらかだね。ブスで自分の写真を他人に見せたくないか、美人過ぎて自分の写真の流出を恐れているのか。でもさ、そんな人と良く結婚したね」
「実は、妻は僕の弱みに付け込んできまして。僕の秘密を知られてしまったので、それをネタにされて仕方なく……」
「ふうん。それなら私に任せてよ。これも幼なじみのよしみってやつだね。その代わりと言っては何だけど、奥さんと離婚出来たら、私の頼みを一つ、聞いてもらえるかな?」
「いいですよ」
「交渉成立だね。約束は守ってもらうから」
大鷹は妻の愚痴を幼馴染の年上の彼女にこぼしていた。真っ黒な髪を背中まで伸ばした目鼻立ちが整った美人だ。どうして、目の前に座る彼女を選ばずに妻を選んでしまったのか。彼女の指を見ると、指輪はしていない。もし、昔の約束がまだ有効ならば。
(妻と離婚出来たら、その時は)
GW(ゴールデンウィーク)の休みにこうして誘いに乗ってくれたということは、彼女は彼氏がいないのかもしれない。
(とはいっても、僕の手は血にまみれてしまっている。そんな僕には妻みたいな女と居るのがお似合いなのかもしれない)
大鷹は目の前に座る彼女の笑顔がとても眩しく見えた。
0
あなたにおすすめの小説
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる