【完結】だから俺は主人公じゃない!

美兎

文字の大きさ
8 / 19

主人公の存在と幼馴染

しおりを挟む
ヒースカラーのショートウルフ。
グラデーションで鮮やかなコスモスカラーの瞳。

間違いない。


彼が、この世界の主人公だ。


「ユウー、何してるんだ?早く来いよ」
「……、今行く」

ユウ、と呼ばれた彼は俺を再度睨み付けた後、声のした方へ走っていった。

頭が痛い。

ふらりとアルバートの腕の中に崩れる。
まだ眩暈がする…。

「リオ?大丈夫?」
「へ…き、大丈夫だよ…」
「さっきのは…一年生か。知り合い?」
「…ううん、知らない子」

首を横に振って否定したけど、…アルバートに嘘つくことになっちゃった。
だって知らなかったんだ、本当に。
名前…ユウっていうんだ…。

「行こう、アル。もう大丈夫だから」
「そうかい…?リオがそう言うならいいけど…」

まだちょっと眩暈がするけど、これ以上アルバートに迷惑はかけられない。
腕の中から抜け出しアルバートの手を引いて、元々行くはずだった道へ行こうと歩いた。

でも頭の中はあのグラデーションのコスモスカラーが浮かんでしょうがない。

…、どうしよう。
物語、変えちゃった。







「…、見付けた」

​───────​───────​───────



「そういやこの間話した幼馴染、見に行って来たぞ」
「!?」

驚いた拍子に、飲んでいた水が気管に入ったのか俺は噎せてしまった。

「え、そ、それで…?」
「ん?いや別に?相変わらず小さいなって言ったら怒られた」
「それは俺でも怒るよ…」

実技の授業後、疲れた体を癒しに水飲み場に来たらついてきたユーリの一言目がこれ。

という事は、物語が軌道修正し始めてる…?
いや、まだユーリと主人公が会っただけで決めるのは早計な判断だ。

「これからも面倒見てあげるの?」
「んー…そんな事しなくても、別にいいんじゃないか?俺は一応上級生だし同級生に頼る方がいいだろ」

…、されてなかった…。

「あ、でも変なこと言ってたな」
「え…?」

「殿下の婚約者に気を付けろ…だったかな。婚約者ってお前だろ?」

待って、どういう事?
彼にとって、俺は脅威なのか?

脅威だとしたら…やっぱり狙いは、アルバートルート。

アルバートの婚約者…、…もしかして俺は、悪役令嬢ならぬ、悪役令息位置なのか?
……もしそうなら、俺は悪役にならないように動かないといけない。

悪役は、断罪される未来しかないのだから。

「…、なあ、リオ」
「なに?」
「まだ来月だけどさ、パーティーあんじゃん。…アルバート殿下と来るのか…?」
「え、…うん…そのつもり」

正直、自信はなかった。
秋の終わりを告げる枯れた落ち葉。
葉を落とした枝だけの木達。

本当であれば、あの時アルバートは主人公と出逢っている筈だった。
だけどそれを、俺が変えてしまった。

冷たい瞳。
あれは…憎悪、だと思う。
やっぱり、アルバートルート狙いなんだ…。

当たり前だよね。
俺だったら、迷いなくアルバートルートを選ぶ。
でもそれは俺がアルバート推しだったからだ。

彼は、どうしてアルバートルートを選ぼうとしているのだろう。

「リオ?」
「あ、ごめんユーリ。…それで、どうしてそんな事聞いたの?」
「あー…」

ユーリがガリガリと後頭部を乱雑に掻く。
何か言いたげな言葉を飲み込んでは出そうとしているみたいで、俺は首を傾げた。
ユーリは何を言おうとしてるのだろう…?
どうやら決意を固めたようだ。
ユーリが俺を見る目が真剣で、もしかして…と頭の中で浮かぶ憶測。




「お前が殿下の婚約者って分かってる。…だけど俺はその前からずっとお前を見てきた」

「そのパーティー、俺と行く気はないか」




やっぱり、と自分の予想が当たってしまった事に…頭を抱えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

【旧作】美貌の冒険者は、憧れの騎士の側にいたい

市川
BL
優美な憧れの騎士のようになりたい。けれどいつも魔法が暴走してしまう。 魔法を制御する銀のペンダントを着けてもらったけれど、それでもコントロールできない。 そんな日々の中、勇者と名乗る少年が現れて――。 不器用な美貌の冒険者と、麗しい騎士から始まるお話。 旧タイトル「銀色ペンダントを離さない」です。 第3話から急展開していきます。

流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆4月19日18時から、この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」を1話ずつ公開予定です。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

聞いてた話と何か違う!

きのこのこのこ
BL
春、新しい出会いに胸が高鳴る中、千紘はすべてを思い出した。俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラ男会計にワンコな書記、庶務は双子の愉快な生徒会メンバーと送るドキドキな日常――前世で大人気だったBLゲームを。そしてそのゲームの舞台こそ、千紘が今日入学した名門鷹耀学院であった。 生徒会メンバーは変態ばかり!?ゲームには登場しない人気グループ!? 聞いてた話と何か違うんですけど! ※主人公総受けで過激な描写もありますが、固定カプで着地します。 他のサイトにも投稿しています。

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

断罪されるはずの推し(悪役令息)を、俺が全力で幸せにしてみせます

月乃
BL
 前世の記憶が蘇った時、俺は熱中したBLゲームの世界だった。そのBLゲームには俺が熱中する理由となった推しが存在した。この世界では悪役令息として、理不尽に断罪される運命にある彼だった。  ゲームを何度やり直しても救えなかった彼の未来を変えるため、俺は決意する。剣術一筋だった俺が、推しのためなら学ぶ気のなかった魔術だって身につけて魔術学園へ入学する。  さあ行こうか、ゲームの舞台である魔術学園へ。  俺は彼の隣で、断罪されるはずの悪役令息を幸せにするため、ゲームの運命に全力で抗う!

声だけカワイイ俺と標の塔の主様

鷹椋
BL
※第2部準備中。  クールで男前な見た目に反し、透き通るような美しい女声をもつ子爵子息クラヴィス。前世を思い出し、冷遇される環境からどうにか逃げだした彼だったが、成り行きで性別を偽り大の男嫌いだという引きこもり凄腕魔法使いアルベルトの使用人として働くことに。 訳あって視力が弱い状態のアルベルトはクラヴィスが男だと気づかない。むしろその美声を気に入られ朗読係として重宝される。 そうして『メイドのリズ』として順調に仕事をこなしていたところ、今度は『無口な剣士クラヴィス』としても、彼と深く関わることになってしまって――

異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた

k-ing /きんぐ★商業5作品
BL
 病院に勤めている橘湊は夜勤明けに家へ帰ると、傷ついた少年が玄関で倒れていた。  言葉も話せず、身寄りもわからない少年を一時的に保護することにした。  小さく甘えん坊な少年との穏やかな日々は、湊にとってかけがえのない時間となる。  しかし、ある日突然、少年は「ありがとう」とだけ告げて異世界へ帰ってしまう。  湊の生活は以前のような日に戻った。  一カ月後に少年は再び湊の前に現れた。  ただ、明らかに成長スピードが早い。  どうやら違う世界から来ているようで、時間軸が異なっているらしい。  弟のように可愛がっていたのに、急に成長する少年に戸惑う湊。  お互いに少しずつ気持ちに気づいた途端、少年は遊びに来なくなってしまう。  あの時、気持ちだけでも伝えれば良かった。  後悔した湊は彼が口ずさむ不思議な呪文を口にする。  気づけば少年の住む異世界に来ていた。  二つの世界を越えた、純情な淡い両片思いの恋物語。  序盤は幼い宰相との現実世界での物語、その後異世界への物語と話は続いていきます。

処理中です...