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決戦Dreaming
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寂寞とした荒野、空には紅い月。退治するのは黒ローブを纏った小柄な少女。雪のように白い肌に毒々しい紫の髪を垂らすその姿はまさにネクロマンサー。髑髏の杖を群青の空に掲げると死霊たちが襤褸布を纏って現われる。
巫女装束に身を包んだ余の手元には祓之御刀と天薙之御刀という一対の刀。紅と蒼の神力を纏う。
「いざ、参る!」
「かかれ!」
アビスのネクロマンサー=アルケー・ツィターのかけ声とともに、骨や錆びた剣を構えた死霊たちが不気味に、よろめきながらこちらへやってくる。祓魔の宝刀があらゆる死霊を容易く切り裂く。
「おのれ! 揺らめく黑焔よ、灼けつく呪詛にその身を焦がせ――ダークブレイズ!」
杖に嵌められた髑髏がカタカタと音を立てながら、黒い火球がこちらに迫り来る。祓之御刀を死霊に突き立て、天薙之御刀を両手で大上段に構え――振り下ろす。
「破ァ!!」
実在、非実在を問わず万物をなぎ払う宝刀が漆黒の炎を薙ぎ払う。再び祓之御刀を引き抜き、骸骨も生ける屍も、狐火さえも斬り祓う。
「その刀ぁ! 日本神話において太陽神天照大神が神武天皇に授けたとされる布都御魂と、素戔嗚尊が八岐大蛇を退治しその尾から手に入れた天叢雲剣をバックボーンに持っているな! フツの音に祓うを当て対死霊の聖剣に、さらに草薙剣とも呼ばれる天叢雲剣は、火災の時に火を切り裂いたという逸話もある。なるほど、非物理攻撃特効があるのもうなずける。実にいい武器だ!!」
喝采を上げる間も、死霊たちは余を狙いそして切り伏せられていく。その切り裂いた死霊たちが黒い炎に包まれる。
「だが無意味だ! アンデッド・クリエイション!!」
これまで倒した死霊が集まって、一体の大きな化物に姿を変えた。骨も屍も関係ないそのグロテスクな見た目に戦意が削がれる。大きな身体に見合わぬ機敏な動きで、巨大な拳が襲いかかる。
「うわ!」
バックステップでは完全に回避できず、衝撃波に尻餅をつく。急いで体勢を整え、天薙之御刀を鞘に戻す。これを倒すなら祓之御刀の力が重要になる。足の後ろへ走り、両手で切り上げる。
「ふはは、無駄だよ双神の巫女よ。アンデッドはかの英雄アキレウスと違って弱点などないよ!!」
洋の東西関係なしに神話ネタを混ぜてくるそのネクロマンサーを鬱陶しく思いつつも、何か核になる部分があるのではないかと方々切り裂くのだが、すぐに修復してしまう。
「ふははは!! 敵はそいつだけではないのだよ! 喰らえ、インフェルネクロ・ハウリング!!」
巨大アンデッドに吹き飛ばされた足下に、ぽっかりと闇色の穴が現われ亡者の手と悲痛な叫びが余の身に襲いかかる。
「ぬわぁ!!!!!!!!」
気が付いたら馴染みの菊花寮の私室だった。
「夢……だよね、普通に考えて。かぁ……顔洗おう」
起きたらさっきまでのリアリティが波のように引いてしまい、ほとんど記憶の彼方へ遠のいてしまった。ただ覚えていることは、長浜先輩に負けた気がするということ。それだけが悔しい。
にしても……夢にまで出てくるとは許すまじネクロマンサーめ。
そして、その日のうちに変化が起きた。夕陽の差し込む風紀委員室に紫の髪をたらしながら、アビスのネクロマンサー=アルケー・ツィターはやってきた。色白の肌を夕陽に染めながら、余を指差してこう叫んだ。
「貴様! いかなる術を以てして我が夢に現われた!!」
「それは余のセリフだ!」
「なぁにぃ? 詳細は忘れたが我は双神の巫女の斬撃に斃れた。この恨み晴らすべくゲーム三本勝負を申し込む!」
立てられた三本の指を折りながら、カード、ビデオ、ボードの三種目を宣言するネクロマンサー。
「一戦目はウィッチ&サーバンツ、二戦目はマリンカート、三戦目はリバーシで勝負だ!」
幸い全て知っているゲームだ。特にマリンカートは遊び倒したゲームだ。ハードにもよるがほぼゲーム側の用意したタスクは達成している。
「カードゲームは学校に持ち込めないからな、日曜正午に商店街の武蔵ゲームショップで合流だ!」
要件だけ言って長浜先輩は去って行った。兄がきっかけでカードゲームをやっているが、もし余がウィッチ&サーバンツを知らなかったらどうするつもりだったのだろうか。
「さっきのってさ、デートの誘いなんじゃね?」
デッキ構築を脳内で考え始めていたせいで、佐野先輩がぼそっと呟いた言葉は聞き取れなかった。
巫女装束に身を包んだ余の手元には祓之御刀と天薙之御刀という一対の刀。紅と蒼の神力を纏う。
「いざ、参る!」
「かかれ!」
アビスのネクロマンサー=アルケー・ツィターのかけ声とともに、骨や錆びた剣を構えた死霊たちが不気味に、よろめきながらこちらへやってくる。祓魔の宝刀があらゆる死霊を容易く切り裂く。
「おのれ! 揺らめく黑焔よ、灼けつく呪詛にその身を焦がせ――ダークブレイズ!」
杖に嵌められた髑髏がカタカタと音を立てながら、黒い火球がこちらに迫り来る。祓之御刀を死霊に突き立て、天薙之御刀を両手で大上段に構え――振り下ろす。
「破ァ!!」
実在、非実在を問わず万物をなぎ払う宝刀が漆黒の炎を薙ぎ払う。再び祓之御刀を引き抜き、骸骨も生ける屍も、狐火さえも斬り祓う。
「その刀ぁ! 日本神話において太陽神天照大神が神武天皇に授けたとされる布都御魂と、素戔嗚尊が八岐大蛇を退治しその尾から手に入れた天叢雲剣をバックボーンに持っているな! フツの音に祓うを当て対死霊の聖剣に、さらに草薙剣とも呼ばれる天叢雲剣は、火災の時に火を切り裂いたという逸話もある。なるほど、非物理攻撃特効があるのもうなずける。実にいい武器だ!!」
喝采を上げる間も、死霊たちは余を狙いそして切り伏せられていく。その切り裂いた死霊たちが黒い炎に包まれる。
「だが無意味だ! アンデッド・クリエイション!!」
これまで倒した死霊が集まって、一体の大きな化物に姿を変えた。骨も屍も関係ないそのグロテスクな見た目に戦意が削がれる。大きな身体に見合わぬ機敏な動きで、巨大な拳が襲いかかる。
「うわ!」
バックステップでは完全に回避できず、衝撃波に尻餅をつく。急いで体勢を整え、天薙之御刀を鞘に戻す。これを倒すなら祓之御刀の力が重要になる。足の後ろへ走り、両手で切り上げる。
「ふはは、無駄だよ双神の巫女よ。アンデッドはかの英雄アキレウスと違って弱点などないよ!!」
洋の東西関係なしに神話ネタを混ぜてくるそのネクロマンサーを鬱陶しく思いつつも、何か核になる部分があるのではないかと方々切り裂くのだが、すぐに修復してしまう。
「ふははは!! 敵はそいつだけではないのだよ! 喰らえ、インフェルネクロ・ハウリング!!」
巨大アンデッドに吹き飛ばされた足下に、ぽっかりと闇色の穴が現われ亡者の手と悲痛な叫びが余の身に襲いかかる。
「ぬわぁ!!!!!!!!」
気が付いたら馴染みの菊花寮の私室だった。
「夢……だよね、普通に考えて。かぁ……顔洗おう」
起きたらさっきまでのリアリティが波のように引いてしまい、ほとんど記憶の彼方へ遠のいてしまった。ただ覚えていることは、長浜先輩に負けた気がするということ。それだけが悔しい。
にしても……夢にまで出てくるとは許すまじネクロマンサーめ。
そして、その日のうちに変化が起きた。夕陽の差し込む風紀委員室に紫の髪をたらしながら、アビスのネクロマンサー=アルケー・ツィターはやってきた。色白の肌を夕陽に染めながら、余を指差してこう叫んだ。
「貴様! いかなる術を以てして我が夢に現われた!!」
「それは余のセリフだ!」
「なぁにぃ? 詳細は忘れたが我は双神の巫女の斬撃に斃れた。この恨み晴らすべくゲーム三本勝負を申し込む!」
立てられた三本の指を折りながら、カード、ビデオ、ボードの三種目を宣言するネクロマンサー。
「一戦目はウィッチ&サーバンツ、二戦目はマリンカート、三戦目はリバーシで勝負だ!」
幸い全て知っているゲームだ。特にマリンカートは遊び倒したゲームだ。ハードにもよるがほぼゲーム側の用意したタスクは達成している。
「カードゲームは学校に持ち込めないからな、日曜正午に商店街の武蔵ゲームショップで合流だ!」
要件だけ言って長浜先輩は去って行った。兄がきっかけでカードゲームをやっているが、もし余がウィッチ&サーバンツを知らなかったらどうするつもりだったのだろうか。
「さっきのってさ、デートの誘いなんじゃね?」
デッキ構築を脳内で考え始めていたせいで、佐野先輩がぼそっと呟いた言葉は聞き取れなかった。
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