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本編
025 夏真っ盛り
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「うわっ、今日めちゃくちゃ暑い……!」
カフェスペースの入り口を開けた瞬間、外から熱気が流れ込んできた。セミの声がけたたましく響き、アスファルトからの照り返しが眩しい。
「ランちゃん、今日は冷たいドリンクいっぱい出そうだね」
そう言いながら、メグさんが大きな氷の入ったピッチャーをカウンターに置いた。
「もう、すでにすごいオーダー入ってるよ!」
モエちゃんがトレイを片手に、店内を忙しなく動き回っている。
「えーっと、テーブル3番にフローズンベリーラテ、5番にココナッツミルクティー……あ、7番はマンゴーパフェ2つだって!」
「はいはい、ちょっと待ってね!」
私は急いでブレンダーを手に取り、カップに氷とエスプレッソ、ミルクを注ぐ。スイッチを入れると、ガリガリと心地よい音が響いた。
「ランちゃん、フローズンベリーラテ、お願いね!」
「了解! ちょっと待って……あっ!」
慌ててラテをグラスに注いだ瞬間、指先に冷たいものが触れた。思わず飛び跳ねると、サラさんがクスッと笑っていた。
「ランちゃん、冷たいの苦手?」
「いや、ちょっと油断してただけです……!」
「ふふ、可愛いね」
そう言いながら、サラさんは私の頬にひんやりしたアイスティーのグラスをそっと当てた。
「ひゃっ……!?」
「ほら、涼しくなった?」
「も~、いきなりやめてくださいよ!」
私は頬を押さえながら、サラさんを睨む。でも、涼しげに微笑むその顔を見ると、怒る気も失せてしまう。
「お待たせしました、フローズンベリーラテです!」
メグさんがトレイを抱えて、テーブル席へ向かう。そこでは、夏らしいワンピースを着たお客様たちが嬉しそうに手を叩いていた。
「わぁ~! かわいい!」
「写真撮ってもいいですか?」
「もちろんですよ!」
シルキストの夏メニューは、見た目も華やかにこだわっている。フローズンベリーラテには色とりどりのベリーがたっぷりのり、ココナッツミルクティーはクリームとトロピカルフルーツが鮮やかに飾られている。
「今年の夏メニュー、すごく人気ですね」
カウンターの隣で、ユラが優雅にお盆を拭きながら微笑んだ。
「うん、お客様もすごく楽しそう!」
私は汗を拭いながら、また次のドリンクを作るために手を動かす。
なんだかすっかりキッチン補助までお仕事になってしまった。まぁ、料理はできないからドリンクがメインなんだけど。
夕方になり、少し涼しくなった頃。
「はぁ~、今日も頑張った~……!」
私はカウンターに突っ伏しながら、氷たっぷりのレモンティーを一口飲んだ。冷たい甘酸っぱさが喉を潤し、一気にクールダウンする。
「ランちゃん、今日もお疲れさま」
サラさんが隣に座り、同じく冷たいドリンクを口にする。
「うん、でも楽しかった!」
「ふふ、それならよかった」
サラさんがそっと私の頬を指でなぞる。
「……?」
「まだちょっと熱いね」
そう言いながら、サラさんは自分の飲んでいたグラスを私の頬にまた押し当てた。
「ひゃっ!? だからそれやめてくださいって!」
「だって、ランちゃんの反応、可愛いんだもん」
にこりと微笑むサラさんに、私はむくれて頬を膨らませる。
こうして、シルキストの夏らしい一日は、ちょっとしたいたずらとともに過ぎていくのだった。
カフェスペースの入り口を開けた瞬間、外から熱気が流れ込んできた。セミの声がけたたましく響き、アスファルトからの照り返しが眩しい。
「ランちゃん、今日は冷たいドリンクいっぱい出そうだね」
そう言いながら、メグさんが大きな氷の入ったピッチャーをカウンターに置いた。
「もう、すでにすごいオーダー入ってるよ!」
モエちゃんがトレイを片手に、店内を忙しなく動き回っている。
「えーっと、テーブル3番にフローズンベリーラテ、5番にココナッツミルクティー……あ、7番はマンゴーパフェ2つだって!」
「はいはい、ちょっと待ってね!」
私は急いでブレンダーを手に取り、カップに氷とエスプレッソ、ミルクを注ぐ。スイッチを入れると、ガリガリと心地よい音が響いた。
「ランちゃん、フローズンベリーラテ、お願いね!」
「了解! ちょっと待って……あっ!」
慌ててラテをグラスに注いだ瞬間、指先に冷たいものが触れた。思わず飛び跳ねると、サラさんがクスッと笑っていた。
「ランちゃん、冷たいの苦手?」
「いや、ちょっと油断してただけです……!」
「ふふ、可愛いね」
そう言いながら、サラさんは私の頬にひんやりしたアイスティーのグラスをそっと当てた。
「ひゃっ……!?」
「ほら、涼しくなった?」
「も~、いきなりやめてくださいよ!」
私は頬を押さえながら、サラさんを睨む。でも、涼しげに微笑むその顔を見ると、怒る気も失せてしまう。
「お待たせしました、フローズンベリーラテです!」
メグさんがトレイを抱えて、テーブル席へ向かう。そこでは、夏らしいワンピースを着たお客様たちが嬉しそうに手を叩いていた。
「わぁ~! かわいい!」
「写真撮ってもいいですか?」
「もちろんですよ!」
シルキストの夏メニューは、見た目も華やかにこだわっている。フローズンベリーラテには色とりどりのベリーがたっぷりのり、ココナッツミルクティーはクリームとトロピカルフルーツが鮮やかに飾られている。
「今年の夏メニュー、すごく人気ですね」
カウンターの隣で、ユラが優雅にお盆を拭きながら微笑んだ。
「うん、お客様もすごく楽しそう!」
私は汗を拭いながら、また次のドリンクを作るために手を動かす。
なんだかすっかりキッチン補助までお仕事になってしまった。まぁ、料理はできないからドリンクがメインなんだけど。
夕方になり、少し涼しくなった頃。
「はぁ~、今日も頑張った~……!」
私はカウンターに突っ伏しながら、氷たっぷりのレモンティーを一口飲んだ。冷たい甘酸っぱさが喉を潤し、一気にクールダウンする。
「ランちゃん、今日もお疲れさま」
サラさんが隣に座り、同じく冷たいドリンクを口にする。
「うん、でも楽しかった!」
「ふふ、それならよかった」
サラさんがそっと私の頬を指でなぞる。
「……?」
「まだちょっと熱いね」
そう言いながら、サラさんは自分の飲んでいたグラスを私の頬にまた押し当てた。
「ひゃっ!? だからそれやめてくださいって!」
「だって、ランちゃんの反応、可愛いんだもん」
にこりと微笑むサラさんに、私はむくれて頬を膨らませる。
こうして、シルキストの夏らしい一日は、ちょっとしたいたずらとともに過ぎていくのだった。
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