23 / 33
本編
017 ぬりぬり
しおりを挟む
その日は初めて指名してくれたお客様に、注文されたオムライスをあーんしてあげていた。
「いやあ、こういうお店来るの初めてだったけど、けっこうありだね」
「楽しんでいただけているようでなによりです」
お客様は二十代半ばくらいで髪色も明るいギャルっぽいお姉さんだ。爪も綺麗に塗られている。
「ネイル、ご自分でやられるんですか?」
「え? あ、そうなんだよ。爪とぉ、車塗るの得意なんだよ」
「車もですか?」
車を塗るって、お仕事でそういうことをしているんだろうか。
「あたし、駐車場借りてるんだけど、砂利の駐車場でさあ、けっこう石が跳ねて車に傷がつくの。そしたら、タッチペンっていう……うーん、それこそマニキュアみたいなやつで塗ってあげるんだよ。実際、ほんと同じようなもんだよ。下地があって、色を置いて、クリアを重ね塗りする感じでさ」
そんな話をしつつもお客様の手が私のおっぱいをさわさわと下着越しに撫でる。癒しを提供するお仕事だから気にしはしないんだけど、なんとなく上手な気がしてちょっと背中がぞわっとする。
「お姉さん、仕事はネイル系なの?」
少し距離感を詰めてお姉さん呼びしてみる。お姉さんは首を横に振って、普通のOLだと答えた。
「爪も実はこれつけ爪なんだよね。それに、つけ爪の方がなにかと便利だし?」
胸元にあった手をつーっと太ももまで下ろすお姉さん。これはタチの手つきだ。
「お姉さん、彼女は?」
「いたらここには来れないよ。最近別れたんだ。ランちゃんはどっち?」
「どっちかって言われればタチかなあ」
一応ギターボーカルやってる身だから指使いには自信はある。けどまぁ、バリタチに抱かれるのも悪くないかなっていう思いはある。なんならモエちゃんには抱かれたいくらいだ。マカさんは抱きたいかも。
「っふ、彼女がいるかいないかって質問なんだけど」
「……あぁ、あはは。それはさておき、お姉さんはタチでしょ?」
完全に勘違いしていた。自分の中でお姉さんをタチ判定しているうちに、タチネコの二択が頭の中を占めてしまったらしい。とはいえ、別に彼女がいるかどうかはちょっと躱しておきたいような、そうでもないような。
「まあね。で、今はフリーなの?」
「口説かれてます? フリーですけど、別にこの店アフターとかないですよ」
「なぁんだ、健全だなぁ」
このお店を健全って表現する人、非常にレアだな。かなーり不健全だと思うんだけどな。
「元カノはさあ、別にビアンじゃなかったのにあたしが強引に抱いて彼女にしちゃったからさぁ、次はちゃんと好き同士になりたいんだよね」
「なるほどね」
「まぁ、取り敢えず今日はありがと。また来ることがあったら指名するよ」
時間も来たのでお姉さんの席を離れる。今日も一風変わったお客様に出会ったなぁ。この仕事、案外楽しんでるなぁ。
「いやあ、こういうお店来るの初めてだったけど、けっこうありだね」
「楽しんでいただけているようでなによりです」
お客様は二十代半ばくらいで髪色も明るいギャルっぽいお姉さんだ。爪も綺麗に塗られている。
「ネイル、ご自分でやられるんですか?」
「え? あ、そうなんだよ。爪とぉ、車塗るの得意なんだよ」
「車もですか?」
車を塗るって、お仕事でそういうことをしているんだろうか。
「あたし、駐車場借りてるんだけど、砂利の駐車場でさあ、けっこう石が跳ねて車に傷がつくの。そしたら、タッチペンっていう……うーん、それこそマニキュアみたいなやつで塗ってあげるんだよ。実際、ほんと同じようなもんだよ。下地があって、色を置いて、クリアを重ね塗りする感じでさ」
そんな話をしつつもお客様の手が私のおっぱいをさわさわと下着越しに撫でる。癒しを提供するお仕事だから気にしはしないんだけど、なんとなく上手な気がしてちょっと背中がぞわっとする。
「お姉さん、仕事はネイル系なの?」
少し距離感を詰めてお姉さん呼びしてみる。お姉さんは首を横に振って、普通のOLだと答えた。
「爪も実はこれつけ爪なんだよね。それに、つけ爪の方がなにかと便利だし?」
胸元にあった手をつーっと太ももまで下ろすお姉さん。これはタチの手つきだ。
「お姉さん、彼女は?」
「いたらここには来れないよ。最近別れたんだ。ランちゃんはどっち?」
「どっちかって言われればタチかなあ」
一応ギターボーカルやってる身だから指使いには自信はある。けどまぁ、バリタチに抱かれるのも悪くないかなっていう思いはある。なんならモエちゃんには抱かれたいくらいだ。マカさんは抱きたいかも。
「っふ、彼女がいるかいないかって質問なんだけど」
「……あぁ、あはは。それはさておき、お姉さんはタチでしょ?」
完全に勘違いしていた。自分の中でお姉さんをタチ判定しているうちに、タチネコの二択が頭の中を占めてしまったらしい。とはいえ、別に彼女がいるかどうかはちょっと躱しておきたいような、そうでもないような。
「まあね。で、今はフリーなの?」
「口説かれてます? フリーですけど、別にこの店アフターとかないですよ」
「なぁんだ、健全だなぁ」
このお店を健全って表現する人、非常にレアだな。かなーり不健全だと思うんだけどな。
「元カノはさあ、別にビアンじゃなかったのにあたしが強引に抱いて彼女にしちゃったからさぁ、次はちゃんと好き同士になりたいんだよね」
「なるほどね」
「まぁ、取り敢えず今日はありがと。また来ることがあったら指名するよ」
時間も来たのでお姉さんの席を離れる。今日も一風変わったお客様に出会ったなぁ。この仕事、案外楽しんでるなぁ。
5
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
AV研は今日もハレンチ
楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo?
AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて――
薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる