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27章 雨乞いを
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意外な事と、そう評してもいいのだろうか。この森は、やはり発生させたミリアムに従う物であるらしい。森の端、その周囲にいる者たちですら、認識ができるようで。
「話し合いは、終わりましたか」
「ええ、最低限の共有は」
ローレンツに連れられて、トモエが深い森を進んでくる。他の者たちが、相も変わらずこの突如発生した森に入ってこないのを見れば、攻撃、外敵の排除と言う意味では十分以上の能力を持っているものであるらしい。誰を入れて、誰を入れぬのか。それこそ、どうやってこの森を進めばいいのか、光も陸に差さぬこの深い森では、簡単に迷う事だろう。
「であれば、良かったのでしょう」
「トモエ卿が慌てぬのはなぜかと思えば、成程」
そして、色々と。それこそ、ミリアムにこういったことを気にかける様にと、それはもう散々オユキが怪しいと思う所を上げていけば。今となっては、何やら己の能力で生み出した樹木に慰められるかのような、そのような様子になっている。もたれるようにするミリアム、その姿勢を支える様に幹は形を変えて。何やら、オユキにとっては慣れぬ香りが森を満たしている。もしやと思って、オユキのほうでは袖を使って口元を覆ったりもしたのだが、そのような物ではないのだとシェリアに示されたため、今は自然体で。
すっかりと落ち込んだミリアムに合わせる様に、既に木々は攻撃を、オユキをとらえようとする素振りを既に止めているため、シェリアの隣にオユキは降ろされている。
「ええ、流石にミリアムさんもそこまで逸る事は無いでしょうから」
「あの、もしかして」
「オユキさんの事ですから、私は勿論気が付きますよ」
ミリアムから、そちらにしてもわかっていたのでは無いかと、そんな視線がトモエに向く。ただ、生憎と、その期待は筋違いなものだとそうトモエからは返すしかない。他の相手が何を考えているのか、それはやはりトモエに分かる物ではない。どうやら噓をついている、隠し事をしている。そうした事はオユキよりもよく分かる。あのカルラと言う女性が、何やら陸でも無い事を考えているらしいと、それにしてもトモエからオユキに話したことだ。そして、その話をもとに、オユキが重ねた推論を既にミリアムにも共有したことだろう。側に居たシェリアにしても。
「だとしたら、本当に私だけですか。何も、気が付いていなかったのは」
「程度の差はあれ、他の者たちも何かあるとは考えておる。何より、オユキ様の警戒が露骨なのだ。ならば、我ら護衛を任じられている物は、それに対して配慮を行うとも」
そして、ミリアムが他の誰かが、神国から来た者たちの中で、誰か一人でも自分の見方がいないのかと言い出すのだが、それに対してローレンツの言葉はにべもない。今回こちらに来ている者たち、その中で役割分担はあまりにも明確なのだ。戦力としてこちらに来ている者たちもいる。しかし、騎士たちに与えられた王命はあくまで護衛。勿論、過剰な人数ではあるのだから、その余剰を使って周囲の狩猟なども行っている。だが、やはり今こちらに来ている者たちの、今この場にいる者たちの主たる仕事と言うのは、現地で情報を集めて今後の計画を立案すること。それ以上の物ではない。
「トモエさんは、何処から」
「お尋ねになっていることはわかりませんが、少なくともオユキさんが暇だというのは嘘ですよ」
「ええ。流石に、私も療養でこちらに来ているわけですし。何より、こちらの国の王妃様の手を借りねばならぬこともありますから」
そうして、揃って気が付かないはずが無いと、そうした言葉をかけるたびにただ森の中に満ちる芳香が強くなっていく。安息香、そう呼ばれる成分ではあるし、実際に香りを楽しむための目的に使われている物でもある。
「そういえば、オユキさん。こちらのアンソクコウノキは、伐採すれば」
「どうでしょうか。手順などはカナリアさんに聞かねばなりませんし、しかし、成程。そうした樹木ですか」
オユキとしては、トモエに言われてこの樹木は成程そうした物かと。
「自然の添加物としてよく利用されていますし、防腐作用もありましたか。あとは、家畜の飼料にも安息香酸として良く添加されている物でしたね」
それは、実に使い道が多そうな樹木だと。オユキの視線が、ミリアムから、何やら得体のしれぬ樹木として見ていたものから、純粋に資源としてみる目に変わる。振り返ってみれば、あまり始まりの町を離れるわけには、そのように言っていた。子供たちの言葉に、それともアベルであったか。聞いた話として、数が増えてきたところだとそうした話も合った。てっきり、そちらにも生命としての上限があるのだろうと、それだけの事だと考えていたものだが確かに飼料が無ければ繁殖も難しい。それは、家畜も、人も変わらぬ節理として。
「そのあたりは、どうなっているのでしょう」
「さて、こちらで区分があるとは思えませんが、能力の差か、それとも明確な区別か」
「オユキ様、今度は何をお考えですか」
オユキのつぶやきに、話の流れで何を考えているのか理解が及ぶトモエはすぐに乗ってくるものだが、それに着いてこれないシェリアからは疑問が。それに対して、説明をとも少し考えはするのだが、流石にそうした話に関してはこうして森の中で行うようなものでは無い。そう考えて、オユキは一度頭を振って、すっかりそれ始めた思考を切り替える。
「一度、カナリアさんも交えて話した方がいいのでしょう。一先ずは、屋敷に戻りましょうか」
そう。何やら人とは全く異なる物の見え方をしているらしい、カナリア。そちらに魂のありからしい、繋がっている根源だとかそうした話をされたこともある。ならば、確認してみるのがいいだろうと。ついでに、今回発生した木材、その処理を任せようとまで考えて。
「オユキさん」
「ええと、なんでしょう、トモエさん」
そして、もう決めたことだと考えて、シェリアに頼んで屋敷に向かってもらおうと考えたところに、トモエから声がかかる。
「オユキさんは、既にミリアムさんに彼らの今後について話していますか」
「はい」
それに関しては、周囲に、王都から離れた場所にも間違いなく残された者たちがいるだろうからと。そういった物たちを迎えに行くために、彼らの中から一部と、護衛の一部を連れて。トモエとオユキに与えられている馬車を使うつもりだと、そうした話をしたばかり。
「とすると、対価についても」
「はて。王都からの方々と同様、こちらで魔物から得た物の荷拾いを頼むと、それは言っていませんでしたか」
「あの、聞いてないです」
「では、今お伝えしましたね」
何やらしっかりと抜けがあったらしい。
「荷拾いですか。それは、まぁ、勿論一部の方は問題なくできるでしょうが」
「一部と言う事は、そうですか」
要は、腕が無い者達もいるのだから当然足に不自由を抱える者たちもいるだろう。ミリアムが言いよどむ以上は、先頭に支障が出る、軽くしか動けないどころではなく、失った者たちもいるらしいとそれにしても理解が及ぶ。実際に、そうした者たちを見てきたミリアムだからこそ、過去の己の判断を悔やむからこそ今回の挑発に実に簡単に乗ったのだろう。そちらについては、まぁ、オユキとしても実際に見た後であれば、今よりもさらに気が滅入る事となったには違いない。
「ミリアムさんにお任せして、良かったですね」
「オユキ様であれば、そうでしょうとも。ですが、その者たちをさらにとしますか」
「正直、他に方法も無いですから」
目下のところ、オユキにとって気の進まない事としてそんな人物たちに、荷拾いが出来ぬという物たちには、残された神国の者たちが暮らす場まで案内を頼むという、実に困難な仕事を言わなければならない。こちらに来るだけでも、かなりの負担を得たことだろう。だというのに、もう一度、前回よりは実際にはましだとは言え、同じ行程を戻ってくれと頼まなければならない。さらには、そこで残されているかもしれない遺品であったりの回収も。
「オユキさん、例えばカナリアさんでは」
「以前、トモエさんも聞いていたかと思いますが、核でしたか、そちらに記録されてしまえば」
そう、治らぬ傷を抱える、その期間がどれほどかはわからないのだが、王都で見た者たちにしても回復が出来ていないのだ。水と癒しの神殿がある国ですら、そうなのだ。では、その神殿がないこの国は、魔術を主体として奇跡の恩恵も恐らく薄いだろうこの国ではどうかと言えば、望むべくもない。神殿がない。教会は、カナリアが位を返しただろう教会はあるのだろうが、それにしても巫女として訪れているというのにそちらに一度向かってはどうかと魔国の王妃が言ってくることも無いのだ。実に細々と、そうあるのだろう。
「悲しい、ですか。オユキさんは」
「いえ、どう言えばいいのでしょうか」
悲しさよりも、覚える感情はどちらかと言えば疑問に向かい始めている。
「遷都は、いつ行われたのでしょうか、それ次第ですね」
「相応に広い王都ではある様に見えますが、確かに、それ次第ですか」
この国は知識と魔の国であり、今の王都には神殿がある。他の神々を主として崇める教会が、この王都の中にあるのだろうかと考えれば、やはりそこには疑問の一つも生まれてくる。少なくとも、月と安息、水と癒しくらいは最低限として置かれているとは考えている。特に、後者については、新しい教会を河沿いの砦に作るという話になり、そこに向かっていた神職の者たちとていたのだから。思い返してみれば、そちらにまだ足を向けていないなと。
「そうですね、しばらく、いえ、一度そちらに向かってみましょうか」
森の中を満たす香りのせいだろうか。どうにも、オユキの思考はうちにばかり向かう。何処か、周囲に対して気を張るような、そうした常の物ではなく。何処か、安心できる場所にいる、トモエと二人の時間で、良くそうある様に。そんなオユキの様子を確認したうえで、トモエとしてはやはり多少はこの木材、香として残した方がいいだろうとそんな事をシェリアと視線だけで会話をして。
「かつての世界では、どちらかと言えば消化に良いとか、そのような話だったようにも思うのですが」
どちらかと言えば、名前のほうを優先されたのだろうか。
「話し合いは、終わりましたか」
「ええ、最低限の共有は」
ローレンツに連れられて、トモエが深い森を進んでくる。他の者たちが、相も変わらずこの突如発生した森に入ってこないのを見れば、攻撃、外敵の排除と言う意味では十分以上の能力を持っているものであるらしい。誰を入れて、誰を入れぬのか。それこそ、どうやってこの森を進めばいいのか、光も陸に差さぬこの深い森では、簡単に迷う事だろう。
「であれば、良かったのでしょう」
「トモエ卿が慌てぬのはなぜかと思えば、成程」
そして、色々と。それこそ、ミリアムにこういったことを気にかける様にと、それはもう散々オユキが怪しいと思う所を上げていけば。今となっては、何やら己の能力で生み出した樹木に慰められるかのような、そのような様子になっている。もたれるようにするミリアム、その姿勢を支える様に幹は形を変えて。何やら、オユキにとっては慣れぬ香りが森を満たしている。もしやと思って、オユキのほうでは袖を使って口元を覆ったりもしたのだが、そのような物ではないのだとシェリアに示されたため、今は自然体で。
すっかりと落ち込んだミリアムに合わせる様に、既に木々は攻撃を、オユキをとらえようとする素振りを既に止めているため、シェリアの隣にオユキは降ろされている。
「ええ、流石にミリアムさんもそこまで逸る事は無いでしょうから」
「あの、もしかして」
「オユキさんの事ですから、私は勿論気が付きますよ」
ミリアムから、そちらにしてもわかっていたのでは無いかと、そんな視線がトモエに向く。ただ、生憎と、その期待は筋違いなものだとそうトモエからは返すしかない。他の相手が何を考えているのか、それはやはりトモエに分かる物ではない。どうやら噓をついている、隠し事をしている。そうした事はオユキよりもよく分かる。あのカルラと言う女性が、何やら陸でも無い事を考えているらしいと、それにしてもトモエからオユキに話したことだ。そして、その話をもとに、オユキが重ねた推論を既にミリアムにも共有したことだろう。側に居たシェリアにしても。
「だとしたら、本当に私だけですか。何も、気が付いていなかったのは」
「程度の差はあれ、他の者たちも何かあるとは考えておる。何より、オユキ様の警戒が露骨なのだ。ならば、我ら護衛を任じられている物は、それに対して配慮を行うとも」
そして、ミリアムが他の誰かが、神国から来た者たちの中で、誰か一人でも自分の見方がいないのかと言い出すのだが、それに対してローレンツの言葉はにべもない。今回こちらに来ている者たち、その中で役割分担はあまりにも明確なのだ。戦力としてこちらに来ている者たちもいる。しかし、騎士たちに与えられた王命はあくまで護衛。勿論、過剰な人数ではあるのだから、その余剰を使って周囲の狩猟なども行っている。だが、やはり今こちらに来ている者たちの、今この場にいる者たちの主たる仕事と言うのは、現地で情報を集めて今後の計画を立案すること。それ以上の物ではない。
「トモエさんは、何処から」
「お尋ねになっていることはわかりませんが、少なくともオユキさんが暇だというのは嘘ですよ」
「ええ。流石に、私も療養でこちらに来ているわけですし。何より、こちらの国の王妃様の手を借りねばならぬこともありますから」
そうして、揃って気が付かないはずが無いと、そうした言葉をかけるたびにただ森の中に満ちる芳香が強くなっていく。安息香、そう呼ばれる成分ではあるし、実際に香りを楽しむための目的に使われている物でもある。
「そういえば、オユキさん。こちらのアンソクコウノキは、伐採すれば」
「どうでしょうか。手順などはカナリアさんに聞かねばなりませんし、しかし、成程。そうした樹木ですか」
オユキとしては、トモエに言われてこの樹木は成程そうした物かと。
「自然の添加物としてよく利用されていますし、防腐作用もありましたか。あとは、家畜の飼料にも安息香酸として良く添加されている物でしたね」
それは、実に使い道が多そうな樹木だと。オユキの視線が、ミリアムから、何やら得体のしれぬ樹木として見ていたものから、純粋に資源としてみる目に変わる。振り返ってみれば、あまり始まりの町を離れるわけには、そのように言っていた。子供たちの言葉に、それともアベルであったか。聞いた話として、数が増えてきたところだとそうした話も合った。てっきり、そちらにも生命としての上限があるのだろうと、それだけの事だと考えていたものだが確かに飼料が無ければ繁殖も難しい。それは、家畜も、人も変わらぬ節理として。
「そのあたりは、どうなっているのでしょう」
「さて、こちらで区分があるとは思えませんが、能力の差か、それとも明確な区別か」
「オユキ様、今度は何をお考えですか」
オユキのつぶやきに、話の流れで何を考えているのか理解が及ぶトモエはすぐに乗ってくるものだが、それに着いてこれないシェリアからは疑問が。それに対して、説明をとも少し考えはするのだが、流石にそうした話に関してはこうして森の中で行うようなものでは無い。そう考えて、オユキは一度頭を振って、すっかりそれ始めた思考を切り替える。
「一度、カナリアさんも交えて話した方がいいのでしょう。一先ずは、屋敷に戻りましょうか」
そう。何やら人とは全く異なる物の見え方をしているらしい、カナリア。そちらに魂のありからしい、繋がっている根源だとかそうした話をされたこともある。ならば、確認してみるのがいいだろうと。ついでに、今回発生した木材、その処理を任せようとまで考えて。
「オユキさん」
「ええと、なんでしょう、トモエさん」
そして、もう決めたことだと考えて、シェリアに頼んで屋敷に向かってもらおうと考えたところに、トモエから声がかかる。
「オユキさんは、既にミリアムさんに彼らの今後について話していますか」
「はい」
それに関しては、周囲に、王都から離れた場所にも間違いなく残された者たちがいるだろうからと。そういった物たちを迎えに行くために、彼らの中から一部と、護衛の一部を連れて。トモエとオユキに与えられている馬車を使うつもりだと、そうした話をしたばかり。
「とすると、対価についても」
「はて。王都からの方々と同様、こちらで魔物から得た物の荷拾いを頼むと、それは言っていませんでしたか」
「あの、聞いてないです」
「では、今お伝えしましたね」
何やらしっかりと抜けがあったらしい。
「荷拾いですか。それは、まぁ、勿論一部の方は問題なくできるでしょうが」
「一部と言う事は、そうですか」
要は、腕が無い者達もいるのだから当然足に不自由を抱える者たちもいるだろう。ミリアムが言いよどむ以上は、先頭に支障が出る、軽くしか動けないどころではなく、失った者たちもいるらしいとそれにしても理解が及ぶ。実際に、そうした者たちを見てきたミリアムだからこそ、過去の己の判断を悔やむからこそ今回の挑発に実に簡単に乗ったのだろう。そちらについては、まぁ、オユキとしても実際に見た後であれば、今よりもさらに気が滅入る事となったには違いない。
「ミリアムさんにお任せして、良かったですね」
「オユキ様であれば、そうでしょうとも。ですが、その者たちをさらにとしますか」
「正直、他に方法も無いですから」
目下のところ、オユキにとって気の進まない事としてそんな人物たちに、荷拾いが出来ぬという物たちには、残された神国の者たちが暮らす場まで案内を頼むという、実に困難な仕事を言わなければならない。こちらに来るだけでも、かなりの負担を得たことだろう。だというのに、もう一度、前回よりは実際にはましだとは言え、同じ行程を戻ってくれと頼まなければならない。さらには、そこで残されているかもしれない遺品であったりの回収も。
「オユキさん、例えばカナリアさんでは」
「以前、トモエさんも聞いていたかと思いますが、核でしたか、そちらに記録されてしまえば」
そう、治らぬ傷を抱える、その期間がどれほどかはわからないのだが、王都で見た者たちにしても回復が出来ていないのだ。水と癒しの神殿がある国ですら、そうなのだ。では、その神殿がないこの国は、魔術を主体として奇跡の恩恵も恐らく薄いだろうこの国ではどうかと言えば、望むべくもない。神殿がない。教会は、カナリアが位を返しただろう教会はあるのだろうが、それにしても巫女として訪れているというのにそちらに一度向かってはどうかと魔国の王妃が言ってくることも無いのだ。実に細々と、そうあるのだろう。
「悲しい、ですか。オユキさんは」
「いえ、どう言えばいいのでしょうか」
悲しさよりも、覚える感情はどちらかと言えば疑問に向かい始めている。
「遷都は、いつ行われたのでしょうか、それ次第ですね」
「相応に広い王都ではある様に見えますが、確かに、それ次第ですか」
この国は知識と魔の国であり、今の王都には神殿がある。他の神々を主として崇める教会が、この王都の中にあるのだろうかと考えれば、やはりそこには疑問の一つも生まれてくる。少なくとも、月と安息、水と癒しくらいは最低限として置かれているとは考えている。特に、後者については、新しい教会を河沿いの砦に作るという話になり、そこに向かっていた神職の者たちとていたのだから。思い返してみれば、そちらにまだ足を向けていないなと。
「そうですね、しばらく、いえ、一度そちらに向かってみましょうか」
森の中を満たす香りのせいだろうか。どうにも、オユキの思考はうちにばかり向かう。何処か、周囲に対して気を張るような、そうした常の物ではなく。何処か、安心できる場所にいる、トモエと二人の時間で、良くそうある様に。そんなオユキの様子を確認したうえで、トモエとしてはやはり多少はこの木材、香として残した方がいいだろうとそんな事をシェリアと視線だけで会話をして。
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どちらかと言えば、名前のほうを優先されたのだろうか。
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