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25章 次に備えて
為すべきは
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オユキにしてみれば、トモエに対に言われたのだと頭を殴られたような衝撃を覚える。言わせてしまったのだと、激しい悲しさが胸の内に去来する。それを言わせぬために、どうにかと意地を張ったのではなかったのか。それを選択させぬために、これまでどうにか己をと律してきたのではないのかと。
募る想いは、嘆きとして。
冬と眠り、雷と輝きが作ったはずの世界が、その姿を覿面に変える。
夢では無く、現実でもここ暫くは度々そうなっているように。オユキの内面を映すかのように。吹雪が、巻き起こる。雪が、世界を閉ざそうとするかのように。誰も、これ以上は近づいてほしくないと言わんばかりに。並みの相手であれば、此処まで踏み込む事は無い。なにかの間違いで、行き過ぎた何かがあったとして踏み込んだとすれば。そこで現れる内面のこうした激情に、当てられて逃げ出すことになる。そこで引かぬものと言うのは、本当に稀有だ。ミズキリでさえ、踏み越えないようにと気を遣っていた。
過去の世界で平然と踏み越えてきたのは。
「オユキさん。責めているわけでは無いのです」
そう、トモエだけ。
「そうした選択肢もあるのだと、身が入らぬと、私に勝つための鍛錬が、時が足りぬ、今の体躯では叶わぬと思うのであれば、それもオユキさんの選択です」
「ですが」
「そうですね。やはり、オユキさんのそうした考えというのは、以前から、今も、有難いものです」
トモエの存在を支える物には、武が常にある。
トモエ自身、己を一本の刀と捉える事もままある。
そんなかつての世界では、存在することも、人の世で生きる事も難しい精神性を持ったトモエが、曲りなりにも家庭を持てたのはそれこそオユキのおかげだ。
「だからこそ、と言えばいいのでしょうか」
内心に吹き荒れる嵐を表すかのように、オユキの瞳からはただ涙が落ちている。以前は、随分と我慢していたものだが今は体に、器の方に影響されているからだろう。ここ暫くは、それも早々と我慢が効かずにいる。そうした姿を見るにつけても、トモエとしては罪深い事をしたと、後悔しないと口にしておきながらも、己の決意の何たる弱さかと反省するばかり。
「有難う御座います。今後もと、そう望んでくれるのは、勿論嬉しいのですが」
オユキが、それを望み。少しでもトモエに並ぼうと、一人にはしないと考えてくれるのはトモエにとって本当に嬉しい事なのだ。こうした難しさを、互いに抱えているからこそ上手くはまった形なのだ。それがどうなるかは、やはり分からない。新しい形を、これから望むのだとしたらそこにはまた過去にもあったような、そうした流れが生まれる事だろう。
「今のまま、それをやはり良しとは出来ないのです。武の道にしても、それを目指すのだと無理をするのも」
「無理は」
「無理では無いというのであれば、やはり現状は得ていない物でしょう」
「はい、そうです」
力なく、トモエに寄り掛かるオユキ。
「あの、そろそろいいかしら」
「繰り返しになるが、やはりあまり時間を使う事が出来ぬのでな」
そして、夫婦の話し合いを二柱の神を放って始めるトモエとオユキに、放置された側から口出しされる。
「オユキ、貴女の事なのだけれど」
そう、こうして徒に時間を使ってはいるのだが、それを解消するための手立てがあるのだと。無為に時間を使っている、という訳でもない。二人にとっては大事な時間であるため、これはこれで守って欲しくはあるのだが時間が無い、あまりこうして意地が出来ないというのであればやむを得ない。それに、トモエも、オユキも。欲しい情報ではあるのだ。一応は、隣国の王妃が魔石からなどと言う話をしていたこともあり、今後用意ができ次第試そうという話にはなっているのだが。
「力を眠りに閉ざす、そうでは無くて己の物にしなければならないのよ」
「眠りに、閉ざす、ですか」
言われた言葉に、オユキがよくわからぬと首をかしげる。
「多分に感覚的な言葉になるのだがな。生憎と、私にしてもその感覚は分かる物ではない」
「それは、そうでしょう。あなたは刹那の輝き、私は長い眠り。存在が根本から異なるのだから」
「そうはいってくれるがな、こうして常に大気中に在るのも私なのだが」
雷と輝きが、そう軽く嘯いて見せるものだが冬と眠りはとり合わない。関係性が如実に見えると言えばいいのか、此処でも歴然とした力の差があると言えばいいのか。一応は、この世界にも四季はある。確実に、世界の、オユキがはっきりとわかる程にマナの気配が変わるのだ。その中でも、弱いとはいえ、凍土が存在するのは極一部の地域とはいえ、認知がされている神に対して雷と輝きに関してはいよいよ認知の度合いも低かろう。この世界では、雨が降る地域などいよいよもって稀である物だし、神国でも魔国でもまずもって見る事が無い。
こちらで暮らす者達の多くが、先ごろトモエの振るった神鳴りに大いに肝を冷やした事だろう。そこで、あまりにも質の違う力というものを目撃して、心胆寒からしめたことだろう。古来は、そうした現象をして最高神として扱われることもあったのだから。
「まぁ、それも間違いではない。私としても、異邦の想念を知る以上は思うところが当然ある」
先ごろ示したトモエの振る舞い、あれは実に見事であったとそれはもう上機嫌を隠そうともしない。であれば、まぁ、トモエとしても少々の無理を推して、己の好まぬ振る舞いにまで出た甲斐があるというものだ。
「そう、閉ざす、では無く。己の力に変えなければいけないの」
「以前、カナリアさんから、自身が使える形にとそうした話を聞いた事もありますが」
「貴女はそれを行っても、今のところ閉ざしているだけよ」
困ったことに、いよいよ意味が解らぬとオユキは首をかしげる。
「貴女は、少しは話を聞いたようだけれど、器はともかく中身としては人の比率がそこまで高くないのよ」
「あの、そこまでですか」
「そのうち分かる者もいれば、分からない者も。分かったところで、大きく行動が変わる者達は稀なのだけど」
「つまり、私はそちら側という訳ですが」
こうしてわざわざ話をされているという事は、要はオユキはそちら側だという事なのだろう。こうして話を聞いても、何一つ自覚など生まれはしないのだが。
「まぁ、そういうものでしょう。貴女達は、色々と知らない事が多すぎるもの」
「私たちが、ですか」
「ああ、其の方らばかりという訳でも無く、こちらで暮らす者達のほとんどがと言う意味だ」
「かなりの期間、研鑽を積んだようではあるのですが」
「足りぬよ、到底な」
千年以上の研鑽を、随分とまぁあっさりと切り捨ててくれるものだ。
「己の糧に変えるには、貴女に分かるように言うならば、どう言えばいいのかしら」
さて、ここに来ていよいよ冬と眠りが首をかしげて見せる。どうにも、己に比べて聊か年嵩とはいえさして変わらぬ見た目の物がそうした振る舞いをして見せれば、オユキにも思うところがある。何やらトモエが笑いを堪えようとそうした風情でもあるため、猶の事。トモエから見れば、オユキにしても表に出さぬだけで内心では変わらぬだろうとそうした笑いなのだ。実際に、近頃は多少表に出始めているため猶の事よく似ている。トモエの感想は、そこに尽きる。
「食事のような物なのよ、貴女にとって、私に連なるものにとってのマナと言うのは」
「それは、はい、確かに心当たりが」
己がマナというものを自覚した時から常に感じる、空気に混ざる脂の多い肉を前にして感じる様なくどさ。それは、やはり平素の食欲を落とすものであるし、こうして体調が芳しくない時は呼吸だけでも体力を削る。
「もう少し、どうにかなればと、そう思うのですが」
「それは、もう、慣れるしか無いわ。私も苦手だもの」
「あの」
では、流石にどうにもならぬのではないかと、オユキとしてはそう言うしかない。
「食事、貴女、量が少ないものね」
さて、どうしようか。
まさにそうした風を隠しもしない相手に、オユキは最早閉口をせざるを得ない。
「言葉の足りぬ者で迷惑をかけるな。言ってしまえば、食事と同じようにすればよい」
そして、冬と眠りに変わって、今度は雷と輝きから。感覚的な話で合って、こちらにしてもよくわからぬとそう言っていたはずではあるのだが。
「感覚的な言葉など、理解など、やはり結論としては己の分からぬ部分、日々の事に合わせるのが手っ取り早いものだからな」
「それは、そうかもしれませんが」
「トモエの振る舞いと変わらんよ。己の体に、それを自然と出来るだけの積み重ねを行うだけだ」
トモエの振る舞いを引き合いに出されれば、今のオユキがどう考えるかなどわかった上での言葉であるには違いない。まったく、この相手にしても、つくづく一筋縄でいかぬと言えばいいのか。人の思考を当然の如く読み解ける相手に、される側としてはいよいよ手も足も出ないと言えばいいのか。何とも複雑怪奇な世界であり、オユキの予想の範疇を、過去に知っていたはずの物が既に礎となってそれ以上の物がいくらでも詰みあがっているのだと、そう改めて突き付けられるものだ。
「基本として、食事とそう言う事ですか」
「オユキの思いつくところで、一番近い物を言っただけじゃない」
「それはそうだが、他に言いようも無かろう」
雷と輝きが乱暴にまとめて見せたのだが、冬と眠りはどうにもそうでは無いのだと言わんばかり。
「いいわ」
そして、考えても、口にしても伝わらぬ言葉があるからと、何やらもう面倒だと言わんばかりに。
「私と、そうね、一応こちらも」
だからこそ、出来る仕組みの一つとして、それを行って見せるのだと。
「この先ね、そうね、少し時間をあげるわ」
だからこそ、試練と言う形をとる。他に、どうにもならぬものを、どうにかするために。
「好む品を、月と安息の神殿まで持ってきなさいな。そうすれば、助けになる道具を与えるわ」
功績を、与えてくれようとそう話しが決まる。トモエでは、オユキでもどうにもならぬものを、神の力をもって叶えて見せようと。
募る想いは、嘆きとして。
冬と眠り、雷と輝きが作ったはずの世界が、その姿を覿面に変える。
夢では無く、現実でもここ暫くは度々そうなっているように。オユキの内面を映すかのように。吹雪が、巻き起こる。雪が、世界を閉ざそうとするかのように。誰も、これ以上は近づいてほしくないと言わんばかりに。並みの相手であれば、此処まで踏み込む事は無い。なにかの間違いで、行き過ぎた何かがあったとして踏み込んだとすれば。そこで現れる内面のこうした激情に、当てられて逃げ出すことになる。そこで引かぬものと言うのは、本当に稀有だ。ミズキリでさえ、踏み越えないようにと気を遣っていた。
過去の世界で平然と踏み越えてきたのは。
「オユキさん。責めているわけでは無いのです」
そう、トモエだけ。
「そうした選択肢もあるのだと、身が入らぬと、私に勝つための鍛錬が、時が足りぬ、今の体躯では叶わぬと思うのであれば、それもオユキさんの選択です」
「ですが」
「そうですね。やはり、オユキさんのそうした考えというのは、以前から、今も、有難いものです」
トモエの存在を支える物には、武が常にある。
トモエ自身、己を一本の刀と捉える事もままある。
そんなかつての世界では、存在することも、人の世で生きる事も難しい精神性を持ったトモエが、曲りなりにも家庭を持てたのはそれこそオユキのおかげだ。
「だからこそ、と言えばいいのでしょうか」
内心に吹き荒れる嵐を表すかのように、オユキの瞳からはただ涙が落ちている。以前は、随分と我慢していたものだが今は体に、器の方に影響されているからだろう。ここ暫くは、それも早々と我慢が効かずにいる。そうした姿を見るにつけても、トモエとしては罪深い事をしたと、後悔しないと口にしておきながらも、己の決意の何たる弱さかと反省するばかり。
「有難う御座います。今後もと、そう望んでくれるのは、勿論嬉しいのですが」
オユキが、それを望み。少しでもトモエに並ぼうと、一人にはしないと考えてくれるのはトモエにとって本当に嬉しい事なのだ。こうした難しさを、互いに抱えているからこそ上手くはまった形なのだ。それがどうなるかは、やはり分からない。新しい形を、これから望むのだとしたらそこにはまた過去にもあったような、そうした流れが生まれる事だろう。
「今のまま、それをやはり良しとは出来ないのです。武の道にしても、それを目指すのだと無理をするのも」
「無理は」
「無理では無いというのであれば、やはり現状は得ていない物でしょう」
「はい、そうです」
力なく、トモエに寄り掛かるオユキ。
「あの、そろそろいいかしら」
「繰り返しになるが、やはりあまり時間を使う事が出来ぬのでな」
そして、夫婦の話し合いを二柱の神を放って始めるトモエとオユキに、放置された側から口出しされる。
「オユキ、貴女の事なのだけれど」
そう、こうして徒に時間を使ってはいるのだが、それを解消するための手立てがあるのだと。無為に時間を使っている、という訳でもない。二人にとっては大事な時間であるため、これはこれで守って欲しくはあるのだが時間が無い、あまりこうして意地が出来ないというのであればやむを得ない。それに、トモエも、オユキも。欲しい情報ではあるのだ。一応は、隣国の王妃が魔石からなどと言う話をしていたこともあり、今後用意ができ次第試そうという話にはなっているのだが。
「力を眠りに閉ざす、そうでは無くて己の物にしなければならないのよ」
「眠りに、閉ざす、ですか」
言われた言葉に、オユキがよくわからぬと首をかしげる。
「多分に感覚的な言葉になるのだがな。生憎と、私にしてもその感覚は分かる物ではない」
「それは、そうでしょう。あなたは刹那の輝き、私は長い眠り。存在が根本から異なるのだから」
「そうはいってくれるがな、こうして常に大気中に在るのも私なのだが」
雷と輝きが、そう軽く嘯いて見せるものだが冬と眠りはとり合わない。関係性が如実に見えると言えばいいのか、此処でも歴然とした力の差があると言えばいいのか。一応は、この世界にも四季はある。確実に、世界の、オユキがはっきりとわかる程にマナの気配が変わるのだ。その中でも、弱いとはいえ、凍土が存在するのは極一部の地域とはいえ、認知がされている神に対して雷と輝きに関してはいよいよ認知の度合いも低かろう。この世界では、雨が降る地域などいよいよもって稀である物だし、神国でも魔国でもまずもって見る事が無い。
こちらで暮らす者達の多くが、先ごろトモエの振るった神鳴りに大いに肝を冷やした事だろう。そこで、あまりにも質の違う力というものを目撃して、心胆寒からしめたことだろう。古来は、そうした現象をして最高神として扱われることもあったのだから。
「まぁ、それも間違いではない。私としても、異邦の想念を知る以上は思うところが当然ある」
先ごろ示したトモエの振る舞い、あれは実に見事であったとそれはもう上機嫌を隠そうともしない。であれば、まぁ、トモエとしても少々の無理を推して、己の好まぬ振る舞いにまで出た甲斐があるというものだ。
「そう、閉ざす、では無く。己の力に変えなければいけないの」
「以前、カナリアさんから、自身が使える形にとそうした話を聞いた事もありますが」
「貴女はそれを行っても、今のところ閉ざしているだけよ」
困ったことに、いよいよ意味が解らぬとオユキは首をかしげる。
「貴女は、少しは話を聞いたようだけれど、器はともかく中身としては人の比率がそこまで高くないのよ」
「あの、そこまでですか」
「そのうち分かる者もいれば、分からない者も。分かったところで、大きく行動が変わる者達は稀なのだけど」
「つまり、私はそちら側という訳ですが」
こうしてわざわざ話をされているという事は、要はオユキはそちら側だという事なのだろう。こうして話を聞いても、何一つ自覚など生まれはしないのだが。
「まぁ、そういうものでしょう。貴女達は、色々と知らない事が多すぎるもの」
「私たちが、ですか」
「ああ、其の方らばかりという訳でも無く、こちらで暮らす者達のほとんどがと言う意味だ」
「かなりの期間、研鑽を積んだようではあるのですが」
「足りぬよ、到底な」
千年以上の研鑽を、随分とまぁあっさりと切り捨ててくれるものだ。
「己の糧に変えるには、貴女に分かるように言うならば、どう言えばいいのかしら」
さて、ここに来ていよいよ冬と眠りが首をかしげて見せる。どうにも、己に比べて聊か年嵩とはいえさして変わらぬ見た目の物がそうした振る舞いをして見せれば、オユキにも思うところがある。何やらトモエが笑いを堪えようとそうした風情でもあるため、猶の事。トモエから見れば、オユキにしても表に出さぬだけで内心では変わらぬだろうとそうした笑いなのだ。実際に、近頃は多少表に出始めているため猶の事よく似ている。トモエの感想は、そこに尽きる。
「食事のような物なのよ、貴女にとって、私に連なるものにとってのマナと言うのは」
「それは、はい、確かに心当たりが」
己がマナというものを自覚した時から常に感じる、空気に混ざる脂の多い肉を前にして感じる様なくどさ。それは、やはり平素の食欲を落とすものであるし、こうして体調が芳しくない時は呼吸だけでも体力を削る。
「もう少し、どうにかなればと、そう思うのですが」
「それは、もう、慣れるしか無いわ。私も苦手だもの」
「あの」
では、流石にどうにもならぬのではないかと、オユキとしてはそう言うしかない。
「食事、貴女、量が少ないものね」
さて、どうしようか。
まさにそうした風を隠しもしない相手に、オユキは最早閉口をせざるを得ない。
「言葉の足りぬ者で迷惑をかけるな。言ってしまえば、食事と同じようにすればよい」
そして、冬と眠りに変わって、今度は雷と輝きから。感覚的な話で合って、こちらにしてもよくわからぬとそう言っていたはずではあるのだが。
「感覚的な言葉など、理解など、やはり結論としては己の分からぬ部分、日々の事に合わせるのが手っ取り早いものだからな」
「それは、そうかもしれませんが」
「トモエの振る舞いと変わらんよ。己の体に、それを自然と出来るだけの積み重ねを行うだけだ」
トモエの振る舞いを引き合いに出されれば、今のオユキがどう考えるかなどわかった上での言葉であるには違いない。まったく、この相手にしても、つくづく一筋縄でいかぬと言えばいいのか。人の思考を当然の如く読み解ける相手に、される側としてはいよいよ手も足も出ないと言えばいいのか。何とも複雑怪奇な世界であり、オユキの予想の範疇を、過去に知っていたはずの物が既に礎となってそれ以上の物がいくらでも詰みあがっているのだと、そう改めて突き付けられるものだ。
「基本として、食事とそう言う事ですか」
「オユキの思いつくところで、一番近い物を言っただけじゃない」
「それはそうだが、他に言いようも無かろう」
雷と輝きが乱暴にまとめて見せたのだが、冬と眠りはどうにもそうでは無いのだと言わんばかり。
「いいわ」
そして、考えても、口にしても伝わらぬ言葉があるからと、何やらもう面倒だと言わんばかりに。
「私と、そうね、一応こちらも」
だからこそ、出来る仕組みの一つとして、それを行って見せるのだと。
「この先ね、そうね、少し時間をあげるわ」
だからこそ、試練と言う形をとる。他に、どうにもならぬものを、どうにかするために。
「好む品を、月と安息の神殿まで持ってきなさいな。そうすれば、助けになる道具を与えるわ」
功績を、与えてくれようとそう話しが決まる。トモエでは、オユキでもどうにもならぬものを、神の力をもって叶えて見せようと。
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