768 / 1,235
22章 祭りを終えて
少し日を置けば
しおりを挟む
「少しは、良くなってきましたね。」
いくらか日が立った頃、薬が切れる頃合いだとばかりに屋敷を訪れたマルコにそのようにオユキは診断された。
言われずとも、確かにオユキは日々少しづつではあるものの己の復調を感じていた。疲労を感じるまでの時間というのも、それなりに猶予が生まれて来ていた。ただし、全くなくなったのかと言われれば、当然そのような事もなく。
「はい。ですが、どうにも。」
「それはそうでしょう。かなりひどい状態でしたから。確か、余剰の功績が溜まる器をお持ちでしたよね。」
「それも、ご存知ですか。」
今はベッドの脇、備えられた机に置いてあるのだが、数日前からオユキが身に付ければ途端に色が薄れていくのがよくわかった。ここまでの間、余剰として持っていなければ、治療に必要な物として保存されていたというのが嫌でもよくわかる。では、実際の仕組みとしてはどうなのかという話になれば、やはりこれもさっぱり見当がつかないのだが。
「すっかりと、そちらも無くなったようです。」
「ようやく治療に回せるようになった、という事なのでしょうね。オユキさんの内にあった水と癒しの女神様のお力も随分と薄れてきていますから。」
「そう、なのですか。」
腕に酷い怪我を負ったというのは、オユキも理解していた。しかし目を覚ましてみれば僅かに痕が残るだけ。そこに何某かの奇跡の存在を確かに認識してはいたのだが、改めて眼が良いと言われているマルコに言われればそういう物なのだろうと。カナリアからも、色々と言われてはいるのだが彼女の方では全体の流れを見る事に特化しているらしく、留まってしまうと認識が出来ないとの事ではあった。果たして、運動している物体は認識できて、静止している物体を認識できない、そうした上体を何と呼ぶのであったかとオユキはそんな事を考えたりもしたものだ。
「ええ。ここまで来たなら、あとは一月ほどでしょうか。」
「あの、そんなにかかりますか。」
「はい。」
残りは全治一か月。マルコがオユキにそう宣言して、トモエにもくれぐれも気を付ける様にと言い置いて屋敷を後にする。
「困りましたね。」
「そうでしょうか。」
「その、新しい武器を求めて中型をという話だったわけですし。」
此処までの日々で、トモエの語った中型を借りたいという希望。それについても、トモエとオユキだけでなくローレンツやシェリアも含めて検討を行いはしたのだ。生憎と狩猟祭は日が遠く、流石に今度ばかりはオユキの一存で引き起こすわけにもいかない。ウーヴェの話によれば、正直な所素材に含まれるマナが重要であり、勿論素材ごとの特性はあるのだがそれにしても案外とどうにかなると。
ならば狙うべきは、以前にローレンツが一振りのもとに切り捨てて見せたあの中型種。肉が手に入れば、ここ暫くは忙しくしているアイリスも、彼女に散々あれこれと言い募られているセラフィーナも喜ぶことだろう。
「安静にとは思いますが、どうでしょう。」
「トモエさん。」
「少しくらいは、ええ、もう少し体力が戻ったら出かけましょう。馬車もありますし、護衛を頼める方もいますから。」
トモエとしても、あまり先に延ばしてしまうのもやはり気が引ける。
オユキの身に着けている器に色が無い事がやはり気にかかる。少々体を動かして、それこそ外で魔物を狩ってしまえば多少は治りも早くなるのではないかと、そういった考えもトモエにはある。勿論実行に移す前には、医者の助言を仰ぐつもりではいるのだが。
「体調に不足があるならば、当日は見学でしょうね。」
「それしかありませんか。」
馬車に乗って、遠出について行く。それだけで十分に気分転換にはなる。そこで参加できない戦闘が行われるのだとしても、少なくとも護衛による万全の体制があるというのならば、やはり安心はできる。ただ、問題としては。
「以前見た物は、馬車に流石に入るようなサイズでは無かったですよね。」
「はい。護衛の方に荷運びを運ぶのも、流石に気が引けますし。」
ローレンツ辺りは、そんなもの始まりの町まで引き摺ってこようなどと言っていたが、流石にそれを実際に頼むわけにもいかない。オユキとしては、彼の手をふさぐわけにはいかないのだ。護衛として、彼がいるからこそ安心が出来るとそういった部分もある。
「あの子たちも、月と安息の神殿に向かうために色々と。」
「そうですね。気分転換にと思わない事も無いのですが、流石に日が変わる予想がある場所までというのは。」
気分転換に連れ出すには、流石に問題があるだろう。トモエの言葉には、オユキも頷いて見せるしかない。
結局はトモエの方でも色々と吹っ切れた事もあり、出来合いの武器を早速とばかりに、それこそ先のウーヴェの話を聞くついでに買い求めてきた。早速とばかりにそれらを使って、見本として振るっている。そうした時間を午前中、魔物を狩りに少し外に出ては、戻ってきて一緒に鍛錬に励んでいる。少女たちは流石に教会で色々と準備があるようで、なかなか魔物を狩りに出る事までは出来ていないのだが、それでも欠かさず武器を一緒に振っている。近々移動がある。それも、相応に長い期間。聞いた話では、凡そ一月と聞いているが、ローレンツに計画を頼んだこともあり実際にはもう少しどころか半分ほどに短縮できそうだとは聞いている。到着する日付が重要なのか、道中に欠ける時間が重要なのか。その辺りはロザリア司教に聞いてくるようにと、オユキからも少女たちに話している。
「そうですね。」
それこそ誘えばシグルドとパウ辺りは興味を示すだろうが、彼らの方もそろそろ少女たちに任せるばかりでは済まなくなってくる頃だろう。教会でと考えている少女たちは、当然こうした機会に色々と覚えなければならない事もある。しかし、彼女たちと離れる気が無い少年たちは、普段は一緒に習う事が無かろうとも、寧ろ少女達の為に整えなければならない物が多い。護衛の手配、荷物の整理。そうした物が、彼らの仕事になってくる頃だ。
「あの子たちも、そろそろ色々と手配の仕方を学ぶべき時期でしょうからね。今度ばかりは、私達の方で人を出しますが。」
「ええ。ローレンツ様にも頼んでおきましょうか。」
ローレンツをトモエとオユキの護衛に連れ出すとして、では彼がいない間に出来る事を少年たちに任せるというのも一つ。
「オユキさんは、本当に良いのですか。」
「ええ、勿論です。」
トモエが望んだ以上は、それを優先しようとオユキは考える。ここまで、かなりオユキの思うように行動してきたのだ。珍しくという程では無い。言葉にしないのだとしても、トモエが何を望んでいるのかオユキが考えた上で実現を探ってきたこと実現したことも多い。ただ、今度ばかりははっきりとトモエが口に出したのだ。
「本当は、オユキさんとしては領都に向かいたいのでしょう。」
「それは、はい。流石に一度くらいは上司に期間の報告をすべきとは思いますし。」
トモエがオユキの計画を取りやめた、そこには当然公爵への報告というのも含まれている。勿論、その後に控えている国王その人への報告も。隣国の王妃がいつまで滞在するのかは定かでは無いのだが、そちらが変える前には王都に向かおうか、それくらいの事は考えていたのだ。どうにも、今回の事でオユキが倒れて以降、シェリアからトモエの決断が、カレンからも方々に知らされたようで、今となっては午前中にオユキが目を通すべき書類も相応に減ってきている。
近頃ではすっかりとファルコから毎日のように送られてくる計画書、その確認を日々行ってから他に目を通している。あと数日もあれば、どうにか終わるだろう。
「オユキさんは、まじめですね。」
「勤め人としては、ごく当然かとも思いますが。」
「手紙で、報告は済んでいるのでしょう。」
「それは、そうなのですが。」
さて、トモエにはその辺りの事を話しているだろうかと少し考えて、改めて口にしてしまえば良いと。
「端的に言えば、信頼できない方の目に触れるのですよね。」
「こちらでは、その。」
「はい。領主の持つ機能として、領主間で利用が可能な通信機能ではあるのですが。」
ただここで問題がいくつか。メイにしても、マリーア公爵にしても。これまで見てきた領主と見える人物が、本当に直接数多くの手紙を処理するのかという話だ。
「恐らく、ゲーム時代のようにとはいかないのでしょう。封蝋なども各家の家紋が押されているところ見れば、恐らくは物質を離れた場所に直接というものでしょう。」
「ですが、封は。」
「元あったように、それで御終いですよ、その程度では。」
封がしてあるから誰も開けていない、そんな事はあり得ない。
オユキでさえいくらか方法を思いつくのだ。こちらで暮らす者達、まさに魔窟と呼ぶにふさわしい環境で生き抜く者達であれば、当然それに気が付かないはずもない。何となれば、過去の異邦人が、今もこちらで世話をされている者達がいくらでも過去にあった事例を話している事だろう。
「どうにも、公爵様ですらそのように考えている様子ですから。」
基本的に重要な事、外に聞かれて困る事というのは手紙に書かれていない。では、これまでのやり取りで何が書かれているのかと言えば、一度顔を見せに来なさい、やはりそれに尽きるのだ。
「こちらの世界でも、人の世は変わりありませんか。」
「ええ。人が暮らす世界です。では、それが神々の御心に叶わぬのかと言えば、また難しい物なのでしょう。」
それこそ、純然たる善意としてそうしたことを行う者がいるに違いないのだ。この世界の統治者はとかく忙しい。もう少し細分化を行い、権限の委譲を行っていけば少しは楽になりもするのだろうが、この世界の在り方がそれを許しはしない。人がとにかく足りていない。そして、管理する側になりたいと考えるものなど、実のところさしていないのだ。
「全く、せっかくこのような世界ですのに。」
「このような世界だからこそ、色々と手がかかる物ですよ。」
生前であれば、既にある程度以上は完成した政治のシステムがあった。議論を重ねる場が、用意されていた。しかし、こちらではそうでは無い。
いくらか日が立った頃、薬が切れる頃合いだとばかりに屋敷を訪れたマルコにそのようにオユキは診断された。
言われずとも、確かにオユキは日々少しづつではあるものの己の復調を感じていた。疲労を感じるまでの時間というのも、それなりに猶予が生まれて来ていた。ただし、全くなくなったのかと言われれば、当然そのような事もなく。
「はい。ですが、どうにも。」
「それはそうでしょう。かなりひどい状態でしたから。確か、余剰の功績が溜まる器をお持ちでしたよね。」
「それも、ご存知ですか。」
今はベッドの脇、備えられた机に置いてあるのだが、数日前からオユキが身に付ければ途端に色が薄れていくのがよくわかった。ここまでの間、余剰として持っていなければ、治療に必要な物として保存されていたというのが嫌でもよくわかる。では、実際の仕組みとしてはどうなのかという話になれば、やはりこれもさっぱり見当がつかないのだが。
「すっかりと、そちらも無くなったようです。」
「ようやく治療に回せるようになった、という事なのでしょうね。オユキさんの内にあった水と癒しの女神様のお力も随分と薄れてきていますから。」
「そう、なのですか。」
腕に酷い怪我を負ったというのは、オユキも理解していた。しかし目を覚ましてみれば僅かに痕が残るだけ。そこに何某かの奇跡の存在を確かに認識してはいたのだが、改めて眼が良いと言われているマルコに言われればそういう物なのだろうと。カナリアからも、色々と言われてはいるのだが彼女の方では全体の流れを見る事に特化しているらしく、留まってしまうと認識が出来ないとの事ではあった。果たして、運動している物体は認識できて、静止している物体を認識できない、そうした上体を何と呼ぶのであったかとオユキはそんな事を考えたりもしたものだ。
「ええ。ここまで来たなら、あとは一月ほどでしょうか。」
「あの、そんなにかかりますか。」
「はい。」
残りは全治一か月。マルコがオユキにそう宣言して、トモエにもくれぐれも気を付ける様にと言い置いて屋敷を後にする。
「困りましたね。」
「そうでしょうか。」
「その、新しい武器を求めて中型をという話だったわけですし。」
此処までの日々で、トモエの語った中型を借りたいという希望。それについても、トモエとオユキだけでなくローレンツやシェリアも含めて検討を行いはしたのだ。生憎と狩猟祭は日が遠く、流石に今度ばかりはオユキの一存で引き起こすわけにもいかない。ウーヴェの話によれば、正直な所素材に含まれるマナが重要であり、勿論素材ごとの特性はあるのだがそれにしても案外とどうにかなると。
ならば狙うべきは、以前にローレンツが一振りのもとに切り捨てて見せたあの中型種。肉が手に入れば、ここ暫くは忙しくしているアイリスも、彼女に散々あれこれと言い募られているセラフィーナも喜ぶことだろう。
「安静にとは思いますが、どうでしょう。」
「トモエさん。」
「少しくらいは、ええ、もう少し体力が戻ったら出かけましょう。馬車もありますし、護衛を頼める方もいますから。」
トモエとしても、あまり先に延ばしてしまうのもやはり気が引ける。
オユキの身に着けている器に色が無い事がやはり気にかかる。少々体を動かして、それこそ外で魔物を狩ってしまえば多少は治りも早くなるのではないかと、そういった考えもトモエにはある。勿論実行に移す前には、医者の助言を仰ぐつもりではいるのだが。
「体調に不足があるならば、当日は見学でしょうね。」
「それしかありませんか。」
馬車に乗って、遠出について行く。それだけで十分に気分転換にはなる。そこで参加できない戦闘が行われるのだとしても、少なくとも護衛による万全の体制があるというのならば、やはり安心はできる。ただ、問題としては。
「以前見た物は、馬車に流石に入るようなサイズでは無かったですよね。」
「はい。護衛の方に荷運びを運ぶのも、流石に気が引けますし。」
ローレンツ辺りは、そんなもの始まりの町まで引き摺ってこようなどと言っていたが、流石にそれを実際に頼むわけにもいかない。オユキとしては、彼の手をふさぐわけにはいかないのだ。護衛として、彼がいるからこそ安心が出来るとそういった部分もある。
「あの子たちも、月と安息の神殿に向かうために色々と。」
「そうですね。気分転換にと思わない事も無いのですが、流石に日が変わる予想がある場所までというのは。」
気分転換に連れ出すには、流石に問題があるだろう。トモエの言葉には、オユキも頷いて見せるしかない。
結局はトモエの方でも色々と吹っ切れた事もあり、出来合いの武器を早速とばかりに、それこそ先のウーヴェの話を聞くついでに買い求めてきた。早速とばかりにそれらを使って、見本として振るっている。そうした時間を午前中、魔物を狩りに少し外に出ては、戻ってきて一緒に鍛錬に励んでいる。少女たちは流石に教会で色々と準備があるようで、なかなか魔物を狩りに出る事までは出来ていないのだが、それでも欠かさず武器を一緒に振っている。近々移動がある。それも、相応に長い期間。聞いた話では、凡そ一月と聞いているが、ローレンツに計画を頼んだこともあり実際にはもう少しどころか半分ほどに短縮できそうだとは聞いている。到着する日付が重要なのか、道中に欠ける時間が重要なのか。その辺りはロザリア司教に聞いてくるようにと、オユキからも少女たちに話している。
「そうですね。」
それこそ誘えばシグルドとパウ辺りは興味を示すだろうが、彼らの方もそろそろ少女たちに任せるばかりでは済まなくなってくる頃だろう。教会でと考えている少女たちは、当然こうした機会に色々と覚えなければならない事もある。しかし、彼女たちと離れる気が無い少年たちは、普段は一緒に習う事が無かろうとも、寧ろ少女達の為に整えなければならない物が多い。護衛の手配、荷物の整理。そうした物が、彼らの仕事になってくる頃だ。
「あの子たちも、そろそろ色々と手配の仕方を学ぶべき時期でしょうからね。今度ばかりは、私達の方で人を出しますが。」
「ええ。ローレンツ様にも頼んでおきましょうか。」
ローレンツをトモエとオユキの護衛に連れ出すとして、では彼がいない間に出来る事を少年たちに任せるというのも一つ。
「オユキさんは、本当に良いのですか。」
「ええ、勿論です。」
トモエが望んだ以上は、それを優先しようとオユキは考える。ここまで、かなりオユキの思うように行動してきたのだ。珍しくという程では無い。言葉にしないのだとしても、トモエが何を望んでいるのかオユキが考えた上で実現を探ってきたこと実現したことも多い。ただ、今度ばかりははっきりとトモエが口に出したのだ。
「本当は、オユキさんとしては領都に向かいたいのでしょう。」
「それは、はい。流石に一度くらいは上司に期間の報告をすべきとは思いますし。」
トモエがオユキの計画を取りやめた、そこには当然公爵への報告というのも含まれている。勿論、その後に控えている国王その人への報告も。隣国の王妃がいつまで滞在するのかは定かでは無いのだが、そちらが変える前には王都に向かおうか、それくらいの事は考えていたのだ。どうにも、今回の事でオユキが倒れて以降、シェリアからトモエの決断が、カレンからも方々に知らされたようで、今となっては午前中にオユキが目を通すべき書類も相応に減ってきている。
近頃ではすっかりとファルコから毎日のように送られてくる計画書、その確認を日々行ってから他に目を通している。あと数日もあれば、どうにか終わるだろう。
「オユキさんは、まじめですね。」
「勤め人としては、ごく当然かとも思いますが。」
「手紙で、報告は済んでいるのでしょう。」
「それは、そうなのですが。」
さて、トモエにはその辺りの事を話しているだろうかと少し考えて、改めて口にしてしまえば良いと。
「端的に言えば、信頼できない方の目に触れるのですよね。」
「こちらでは、その。」
「はい。領主の持つ機能として、領主間で利用が可能な通信機能ではあるのですが。」
ただここで問題がいくつか。メイにしても、マリーア公爵にしても。これまで見てきた領主と見える人物が、本当に直接数多くの手紙を処理するのかという話だ。
「恐らく、ゲーム時代のようにとはいかないのでしょう。封蝋なども各家の家紋が押されているところ見れば、恐らくは物質を離れた場所に直接というものでしょう。」
「ですが、封は。」
「元あったように、それで御終いですよ、その程度では。」
封がしてあるから誰も開けていない、そんな事はあり得ない。
オユキでさえいくらか方法を思いつくのだ。こちらで暮らす者達、まさに魔窟と呼ぶにふさわしい環境で生き抜く者達であれば、当然それに気が付かないはずもない。何となれば、過去の異邦人が、今もこちらで世話をされている者達がいくらでも過去にあった事例を話している事だろう。
「どうにも、公爵様ですらそのように考えている様子ですから。」
基本的に重要な事、外に聞かれて困る事というのは手紙に書かれていない。では、これまでのやり取りで何が書かれているのかと言えば、一度顔を見せに来なさい、やはりそれに尽きるのだ。
「こちらの世界でも、人の世は変わりありませんか。」
「ええ。人が暮らす世界です。では、それが神々の御心に叶わぬのかと言えば、また難しい物なのでしょう。」
それこそ、純然たる善意としてそうしたことを行う者がいるに違いないのだ。この世界の統治者はとかく忙しい。もう少し細分化を行い、権限の委譲を行っていけば少しは楽になりもするのだろうが、この世界の在り方がそれを許しはしない。人がとにかく足りていない。そして、管理する側になりたいと考えるものなど、実のところさしていないのだ。
「全く、せっかくこのような世界ですのに。」
「このような世界だからこそ、色々と手がかかる物ですよ。」
生前であれば、既にある程度以上は完成した政治のシステムがあった。議論を重ねる場が、用意されていた。しかし、こちらではそうでは無い。
0
あなたにおすすめの小説
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。
享年は25歳。
周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。
25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる