ブックメイカー ~ゴミスキルを開花させた少年は、孤児から頂点へと成り上がる~

卯月 みつび

文字の大きさ
41 / 54
第三章 スキルの力と金策と裏切り

十三

しおりを挟む
 僕は、オリアーナと別れた後、建物の片隅でそっと本を開く。

 そして目をつぶり念じると、そこはもう本の世界だ。



 鬱蒼と茂る森の中を歩いていると、僕が来たのを察したのだろう。ルルルが嬉しそうに飛びついてきた。



「エンド! もうみんな揃ってる!」

「本当? ずいぶん早いんだね」

「みんな、エンドのこと待ってる! ほら、早く! 早く!」



 僕を一生懸命引っ張るルルルを見ていたレイカが、興奮した彼女をそっと諭した。



「そんなに焦らなくても大丈夫ですよ。エンド様が困ってるじゃないですか」

「え? 本当か? ルルル、困らせたか!?」

「大丈夫だよ、ルルル。待たせてるなら急がなくちゃね」

「うん! 行こう!」



 はしゃぐルルルの後ろを、僕とレイカはゆっくりと追いかけていく。



 今日は、蝙蝠族のドロフェイさんから庇護下に加わりたいと言われたあの日から一週間後。

 つまり、他種族が集まる日だ。

 不安と緊張をないまぜにしながらも、僕はなぜだか興奮しているようだ。

 さっきから胸の高鳴りが止まらない。



 そんな鼓動の音を抑えるかのように、僕は胸の前で拳を握りしめた。









「エンド様。この度は、我らを受け入れてくれると聞き、大変ありがたく思っております。我らは誇り高き犬人族。鼻の良さと足の速さには自信があります」

「エンド様っていうんだってね! うちらは猫人族だにゃ! すばしっこさなら負けないから、なんでも言ってくれていいにゃ」

「僕らは鼠人族なんだな。戦いは得意じゃないけど、小さいからどこへでも入り込めるんだな」

「僕たちはね、熊人族だよ。力仕事なら任せてね」

「我ら蝙蝠族はドロフェイから紹介がありました通り、夜と空を翔けることなら負けませぬ。他にも少数民族はおりますが、狐人族に加え、我らもエンド様の配下にしていただきたく思っております。何卒、よろしくおねがいいたします」



 そういうと、砕けた言葉遣いの人たちも、跪き頭を下げてくれた。

 本当に、種族毎に特徴があるんだなぁと思っていると、レイカは先日と同じような冷たい表情で彼らを見下ろしていた。



「誇り高き獣人の方々よ。エンド様はあなた方の来訪を心待ちにされていた。この世界はエンド様のスキルの力。飢えず、襲われず、安全と安寧をあなた方に与えるでしょう。エンド様が求めるのは信頼。その信頼を築くために、あなた方は何を示してくださいますか?」



 レイカの言葉に、目の前に跪いていた長達は顔を上げた。



「犬人族は忠誠を。我ら一族の誇りを保てるならば、どんなことでもいたしましょう」

「うちらも同じ感じかにゃ? 楽しそうなことには協力するにゃ! なんなら、可愛い子もたくさんいるからそういうのもありかもしれないにゃ」

「僕らもできることならなんでもするんだな。細かいことと楽しいことが得意だから、何か作ったりしたら必ずもってくるんだな」

「僕たちもがんばるよ! 家を作りたいっていうから、木を切ったり、力仕事は全部やろうかなって思ってるよ」

「我ら蝙蝠族も、あなた方に忠誠を。もともと日陰の身。どんなに汚いことでもかならず成し遂げることを約束いたしましょう」



 全員の言葉を聞き終えると、レイカは僕のほうへ振り向いた。

 獣人族達とレイカの視線を受けた僕は、その迫力に気圧される。

 が、今ここでひいては彼らに示しがつかない気がした。皮膚がびりびりするくらいの圧力に耐えながら、僕は一歩を踏み出し口を開く。



「ありがとう……。ここは僕のスキルがつくった世界……。でも、同時にここに住むみんなの世界でもあると思うんだ。虐げられ続けた僕らは、ここで安寧を得る……そのために協力していけたらいいと思っています。どうか……よろしくおねがいします!」



 僕が頭を下げると、見えない向こうでレイカが笑ってくれた気がした。

 照れくさくて顔を上げると、先ほどまでの緊張感は雲散し、ゆるい空気が流れていた。



「それではエンド様。狐人族の皆が宴の用意をしてくれています。今日はせっかく多くの種族が集まったんですから。一緒に楽しい時間をすごしましょう!」



 レイカはそういうと、狐人族達がいる集落へと皆を案内していった。


しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...