【北の果てのキトゥルセン】 ~辺境の王子に転生したので、まったり暮らそうと思ったのに、どんどん国が大きくなっていく件について~

次元謄一

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第2章 

第66話 ケモズ共和国攻略編 ルレ隊、ダンジョン突入

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ルレ隊はダンジョン入口に到着した。

町のグールを殲滅し終わった時、

伝令から、オスカー様率いるダンジョン突入隊の支援に回れと通達が来たのだった。

ダンジョンへはまだ戦える36人で突入した。

先導は事前に聞いていた金色の機械蜂がしてくれる。

機械蜂はルレの目の前で2回まわり、こっちだと言わんばかりに通路に飛んでいった。

「隊長、道分かるんですか?」

1班班長のレグロが少年のような顔で聞いてきた。

「ん? 分かる訳ないじゃん」

「ええー」

「ユウリナ神の化身であるこの機械蜂についていけばいいって言われたからさ」

「……隊長って隊長らしくないですよね。何か……緩いです。

ノストラの人ってマイペースな人多い気がする。

この前入ってきた新米たち、シボさんが隊長だと思ってたらしいですよ」

「あらら。僕って威厳ないのね。まあ、仕事さえきっちりやりゃいいでしょ」

「確かにミルコップ軍団長、ルレ隊長のこと買ってますもんね」

「それね。知ってる」

「隊長、嬉しそー」

「しかも今回はオスカー様もいらっしゃってるからな。こう見えても一応やる気はあるよ」

「意外ですね。隊長でも手柄とか報酬とかに興味あるんですね。

ていうか今回の作戦って何ですか? うちらなんも知らされてないんですけど」

「あ、そうだったっけ? ごめんね。

えーとね、ケモズ共和国の精鋭部隊がこのダンジョンで行方不明だから、

捜索するっっていう任務」

「なるほど。さっきは町でたくさん危険な目に合いましたからね。

今回は戦闘じゃなくて正直ほっとしました」

「でも魔物と遭遇したら戦うよ?」

「それはもちろんです。隊長も今日その剣だから先頭にいるんでしょ?」

「ばれた? おっそろしい切れ味なんだよ、これ。

一回握ったら離せなくなる。中毒性のある剣なんて始めてだ」

ルレはシボから預かったその剣を前に出した。

剣の腹に松明の光が鈍く反射している。

細身で片刃、先端の刃と反対側が少し膨らんだ形をしている。

重心が刃先に来るので剣速が早くなり、威力も増す。

そして恐ろしく切れ味がいい。刃には刃紋が波打っている。

「シボさんがその剣を手放すなんて、俺夢見てるのかも」

レグロがそう言うのも頷ける。


角を曲がると通路は腐樹の森と化していた。新しい。最近のだ。

ついこの前まで生きていた人たち。

連れ去られたケモズ共和国の国民か……。

よく見れば木の幹に獣人の顔が浮かび上がっていた。

黒い木々が通路の奥までを埋めている。

「燃やして」

ルレの声に近くの兵が火を放った。

パチパチと音を立て、炎は通路全体に広がった。

突然、機械蜂がピーピーと鳴いた。

「何ですか?」

「分かんない」

ルレが首を傾げた時、目の前の腐樹が数本なぎ倒され、奥から魔物が飛び出してきた。

「戦闘用意!!」

前衛部隊と三体のチグイが激突した。

複数の盾で押し返し、飛んできた槍がチグイの身体に刺さる。

体液が飛び散り、兵士の甲冑にバシャッとかかる。

ルレは死んだチグイの身体を上り、

後続のトカゲのような魔物、キバウを真っ二つにした。

とてつもない切れ味にルレは楽しくなった。

「ちょっと隊長! 先行かないで下さーい!」

部下たちも次々死骸を乗り越えて、ルレの後を追う。

正面の暗闇からは魔物の気配がする。

「まだ来ますね……どういう作戦で?」

「逃げも隠れも出来ない一本道、斬って斬って斬りまくるしかない! 行くぞ!」

「ああ! 待って隊長! 何あの人自由過ぎ! みんな行くぞー!」

「ウオオー!!」

ルレ隊は一丸となって魔物の群れと激突した。



20分後。

30体ほどの魔物を倒したルレ隊は多少の犠牲を出しながらも歩みを進めていた。

「なあ、やばいってウチの隊長。半分くらい一人で倒しちゃったよ」

「ああ、そんなに身体大きくないし、正直強そうに見えなかったけど、恐ろしい人だな」

「町の時はどこにいるか分かんなかったから戦うとこ見れてなかったしな」

「おまけに緩いし厳しくないし、ちょっとめんどくさがりだし、

俺らにとっちゃ最高じゃね?」

「だな。ボサップ軍に入った知り合いは厳しくて理不尽で泣きそうって言ってたぞ」

「ノストラ人は細かいこと気にしないからな。でも副隊長は……」

「ああ……あの人の存在忘れてた。見てるだけなら最高なのにな……」

「な。細かすぎて息が詰まるっていうか……。

でも言ってることが正論だから誰も何も言えないっていう……」

後ろから聞こえてくる部下の会話ににやけていたルレは、

目の前の機械蜂がフッと羽ばたきを止め、地面に落ちた事にしばらく気が付かなかった。

「あれ、隊長。機械蜂は?」

しばらく歩いてからレグロが指摘した。

「あれ? いない」

「え? ちょ……まずいんじゃ? 道分かんないですよね……?」

その時、突き当りの通路に炎が走った。

「うおーびっくりしたー。熱っ!」

「……行くよ」

角を曲がると見知った背中が目に入った。

「別の隊?」

「違うよ。……やっぱりな。あれは……オスカー様だ」

「えええええ!」

向こうに人影。あれは獣人か? なぜ戦っているんだ?

魔剣を構えるオスカーの周りには数人が倒れている。

まさか【王の左手】が全滅?

その中にはユウリナ神の姿もあった。

劣勢。

そう思った瞬間、ルレは駆け出していた。
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