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第19話 ダルク民国攻略編 魔物襲撃
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「魔物?」
「はい。ヨコハ村、イズナ村にて被害報告が上がっております。
ヨコハ村、死者11名、負傷者3名。行方不明者5名。
イズナ村、死者3名、行方不明者8名。
報告によると深夜、チグイの大群が村の外側を襲撃。更にダルク族の戦士もいたようです。
家を破壊し、畑を荒らし、村人を誘拐して去っていきました。
実はこのところ【腐樹の森】の外側や、村の近くでも徘徊する魔物が増えてきまして、
警備を強化しようとした矢先の事でした」
ヨコハ村、イズナ村は確か8時と9時の方角だ。
バルバレスの報告を聞いて、疑問に思った。
村人が誘拐されたことなんてここ数年の報告書にはなかったことだ。
ダルク族。王族になってから初めて知った存在。
一般には知られていない、【腐樹の森】の奥深くに国家を作り、
魔物と共生して生きる奇異な民族。
「もしかするとあの言い伝えが?」
「なんだ、ラムレス」
「……はい。昔の古文書や歌に残っているのです。【腐樹の森】の奥には【腐王】なる存在がいて、
数百年に一度、産卵をすると。その際、食料として人間が攫われる、という内容です」
「魔物の親玉みたいなものか?……その腐王が産卵するとどうなるんだ?」
「分かりません。しかし、本当なら災厄が始まると書かれています」
ふーむ。胡散臭い気もするし、マジな気もする。
手は打っておいた方がいいか。
「分かった。その【腐王】とやらを探して討伐しよう。出来るなら【腐樹の森】も焼きたいが、
まぁそこはダルク民国と交渉だな。バルバレス、軍から魔物退治に長けている部隊を選んでくれ。
俺が直接行こう」
「オスカー様が直接? ……いやしかし」
「燃やすのなら好都合だろう? 魔剣フラレウムの能力はこの為にあると考えよ」
渋るラムレスをネネルとカカラルも連れて行くからと説き伏せた。
「ネネルにも働いてもらわないとな。
モルトやマイヤーと毎晩酒盛りしてるから酒樽の減りが早い。働かざる者食うべからずだ」
それから俺が留守の間の話を進めた。
軍団長マーハント率いる300名の討伐軍がヨコハ村に入ると、村民からは大歓声が起きた。
村の広場にて俺が挨拶したり、マーハントが説明したり、カカラルが火を噴いたり、
もう一度俺が炎を出したり。
泣いて喜ぶ人もいた。それだけ魔物が脅威なんだろう。
軍の駐屯基地はボロボロだった。
激しい攻防の後がそこら中に見え、駐屯基地の若い隊長アルトゥールの鎧も、
ボロボロに砕けていた。
300名の軍隊は基地の前に野営した。俺のテントの周りに兵が集まっている気がする。
「オスカー様の周りは暖かいと評判ですから」
マーハントは、もちろん高い忠誠心があるから護衛につきたい者も多い、と付け加えた。
優しいな、マーハント。
あんま喋んない奴だけど、コミュ力は高い。ヒトと距離をとるのが上手いのだろう。
接客業やってた? ホール長になれるよ君!
沈黙してても気まずくない、そんな奴。
その日の夜、早速魔物の襲撃があった。
【千里眼】の能力で定期的に見張っていたので、発見が早かったのが幸いだ。
【腐樹の森】からチグイが100匹前後、その奥にはウデナガに乗った30人程のダルク族。
「まずは我々にお任せ下さい」
「しかし、マーハント。魔剣の力なら一掃できる……」
「そうでしょうが、オスカー様に頼っていては、我々の存在意義がなくなってしまいます。
オスカー様には、我々が窮地の時に出て来て欲しいのです。
我が軍は長年魔物と戦っています。どうか信頼して任せて頂きたい」
軍人の意地か。何でもかんでも効率を優先させると、それが後々非効率になることがある。
時には感情を汲んであげることも必要だろう。前世での経験がそう言っている。
「分かった。ただし初動の指揮は譲れない。接近戦からだ」
「ありがとうございます」
マーハントは前線に移動し、隊列を整え始めた。
「ネネルは俺の横にいろよ?」
「分かったわ。動くのはいざという時だけね」
「ああ。本当にやばい時だけだ。極力危険な所へは行くな。なにせ姫様だからな」
「やめてよ。私はもう姫じゃない」
「あーいや……俺のって意味」
「ほえぇ!…………」
赤面したネネルはもじもじしながら顔を手で隠した。ちょっとからかい過ぎかな?
なぜか羽がバサバサと動いていた。近くの護衛の顔にびたんびたん当たっている。
なんでしょう。犬の尻尾的な?
電撃は出すなよ?
「来るぞ! 火矢を構えろ!」
森の淵からチグイの群れが飛び出た。チグイは馬ほどある棘の生えたダンゴムシだ。
足はかなり速く、カメレオンの舌のように伸びる吸血口に吸いつかれると、
肉や内臓をズボっと吸われてしまう厄介な魔物だ。
「放て!」
夜空に弧を描き、火矢はチグイの群れに突き刺さった。
よし、ドンピシャ。
もう一回放ち、群れの周囲は火の海になった。平原は乾燥しているから燃えやすい。
マーハント軍は抜刀した。重装甲兵が前に出る。
身体に矢を受けながらも火を突破したチグイと歩兵が衝突した。
マーハントが言う通り、軍は戦い慣れていた。
飛び出してきたチグイの吸血口をかわし、または盾で受け、
頭の殻の隙間に剣を突きてて、次々と撃破してゆく。
しかし、被害がない訳でもない。
見ているだけっていうのは息苦しいな。
火矢で大分仕留めていたとはいえ、かなりの速さでマーハント軍は魔物を制圧した。
「次来るぞ!」
森の中から魔物に乗ったダルク兵が飛び出してきた。
「はい。ヨコハ村、イズナ村にて被害報告が上がっております。
ヨコハ村、死者11名、負傷者3名。行方不明者5名。
イズナ村、死者3名、行方不明者8名。
報告によると深夜、チグイの大群が村の外側を襲撃。更にダルク族の戦士もいたようです。
家を破壊し、畑を荒らし、村人を誘拐して去っていきました。
実はこのところ【腐樹の森】の外側や、村の近くでも徘徊する魔物が増えてきまして、
警備を強化しようとした矢先の事でした」
ヨコハ村、イズナ村は確か8時と9時の方角だ。
バルバレスの報告を聞いて、疑問に思った。
村人が誘拐されたことなんてここ数年の報告書にはなかったことだ。
ダルク族。王族になってから初めて知った存在。
一般には知られていない、【腐樹の森】の奥深くに国家を作り、
魔物と共生して生きる奇異な民族。
「もしかするとあの言い伝えが?」
「なんだ、ラムレス」
「……はい。昔の古文書や歌に残っているのです。【腐樹の森】の奥には【腐王】なる存在がいて、
数百年に一度、産卵をすると。その際、食料として人間が攫われる、という内容です」
「魔物の親玉みたいなものか?……その腐王が産卵するとどうなるんだ?」
「分かりません。しかし、本当なら災厄が始まると書かれています」
ふーむ。胡散臭い気もするし、マジな気もする。
手は打っておいた方がいいか。
「分かった。その【腐王】とやらを探して討伐しよう。出来るなら【腐樹の森】も焼きたいが、
まぁそこはダルク民国と交渉だな。バルバレス、軍から魔物退治に長けている部隊を選んでくれ。
俺が直接行こう」
「オスカー様が直接? ……いやしかし」
「燃やすのなら好都合だろう? 魔剣フラレウムの能力はこの為にあると考えよ」
渋るラムレスをネネルとカカラルも連れて行くからと説き伏せた。
「ネネルにも働いてもらわないとな。
モルトやマイヤーと毎晩酒盛りしてるから酒樽の減りが早い。働かざる者食うべからずだ」
それから俺が留守の間の話を進めた。
軍団長マーハント率いる300名の討伐軍がヨコハ村に入ると、村民からは大歓声が起きた。
村の広場にて俺が挨拶したり、マーハントが説明したり、カカラルが火を噴いたり、
もう一度俺が炎を出したり。
泣いて喜ぶ人もいた。それだけ魔物が脅威なんだろう。
軍の駐屯基地はボロボロだった。
激しい攻防の後がそこら中に見え、駐屯基地の若い隊長アルトゥールの鎧も、
ボロボロに砕けていた。
300名の軍隊は基地の前に野営した。俺のテントの周りに兵が集まっている気がする。
「オスカー様の周りは暖かいと評判ですから」
マーハントは、もちろん高い忠誠心があるから護衛につきたい者も多い、と付け加えた。
優しいな、マーハント。
あんま喋んない奴だけど、コミュ力は高い。ヒトと距離をとるのが上手いのだろう。
接客業やってた? ホール長になれるよ君!
沈黙してても気まずくない、そんな奴。
その日の夜、早速魔物の襲撃があった。
【千里眼】の能力で定期的に見張っていたので、発見が早かったのが幸いだ。
【腐樹の森】からチグイが100匹前後、その奥にはウデナガに乗った30人程のダルク族。
「まずは我々にお任せ下さい」
「しかし、マーハント。魔剣の力なら一掃できる……」
「そうでしょうが、オスカー様に頼っていては、我々の存在意義がなくなってしまいます。
オスカー様には、我々が窮地の時に出て来て欲しいのです。
我が軍は長年魔物と戦っています。どうか信頼して任せて頂きたい」
軍人の意地か。何でもかんでも効率を優先させると、それが後々非効率になることがある。
時には感情を汲んであげることも必要だろう。前世での経験がそう言っている。
「分かった。ただし初動の指揮は譲れない。接近戦からだ」
「ありがとうございます」
マーハントは前線に移動し、隊列を整え始めた。
「ネネルは俺の横にいろよ?」
「分かったわ。動くのはいざという時だけね」
「ああ。本当にやばい時だけだ。極力危険な所へは行くな。なにせ姫様だからな」
「やめてよ。私はもう姫じゃない」
「あーいや……俺のって意味」
「ほえぇ!…………」
赤面したネネルはもじもじしながら顔を手で隠した。ちょっとからかい過ぎかな?
なぜか羽がバサバサと動いていた。近くの護衛の顔にびたんびたん当たっている。
なんでしょう。犬の尻尾的な?
電撃は出すなよ?
「来るぞ! 火矢を構えろ!」
森の淵からチグイの群れが飛び出た。チグイは馬ほどある棘の生えたダンゴムシだ。
足はかなり速く、カメレオンの舌のように伸びる吸血口に吸いつかれると、
肉や内臓をズボっと吸われてしまう厄介な魔物だ。
「放て!」
夜空に弧を描き、火矢はチグイの群れに突き刺さった。
よし、ドンピシャ。
もう一回放ち、群れの周囲は火の海になった。平原は乾燥しているから燃えやすい。
マーハント軍は抜刀した。重装甲兵が前に出る。
身体に矢を受けながらも火を突破したチグイと歩兵が衝突した。
マーハントが言う通り、軍は戦い慣れていた。
飛び出してきたチグイの吸血口をかわし、または盾で受け、
頭の殻の隙間に剣を突きてて、次々と撃破してゆく。
しかし、被害がない訳でもない。
見ているだけっていうのは息苦しいな。
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「次来るぞ!」
森の中から魔物に乗ったダルク兵が飛び出してきた。
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