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第3章 大切なもの
玲華の狙い⑯
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「いやぁ、なるほどなるほど。面白そうな事になってるなぁ」
玲華がいなくなった後、そう言って背後からニョキっと現れたのは、若手イケメン俳優の山梨陽介さんだった。
とても笑顔だった。
「うぇ!? 山梨さん、盗み聞きはタチが悪いですよ⋯⋯」
「いやぁ、悪い悪い。俺の荷物置き場がそこの裏だったもんでね、ついつい聞いてしまったよ」
くそ⋯⋯もっと離れて話せばよかった。
「彼女達が"優菜"と"沙織"なら、君が"達也"なわけだな?」
「うぐ⋯⋯」
ぐうの音も出ない。
そう⋯⋯彼らが演じる映画のストーリーと、俺の置かれている立場は極めて酷似しているのだ。さっき台本を読んでいて、これは何の冗談なんだと頭を抱えたくなった。
「映画の脚本では"優菜"が勝つけど、実際はどうなるだろうな?」
完全に他人事で、楽しそうだった。
俺も他人事であれば、さぞ楽しい事だっただろう。
「いやー、言っとくけど、"達也"はつらいぞ? 2人に振り回されっぱなしで悩み悩んで、気持ちもぐらぐらぐらぐら。それを表現するのに俺も悩んでるんだけど、ここにいい手本があったわ」
「勝手に人を手本にせんでください⋯⋯」
うんざりとした。
台本をさらっと読んだが、達也のコウモリっぷりにはイライラしたものだ。ただ、よくよく思い返せば、そのコウモリがまさしく自分にも当てはまるのだから、きっと自分を見ているようでイライラしたのだろう。
「にしても、犬飼監督に真正面からぶつかったREIKAちゃんも化け物だけど、RINちゃんもすごいよなー。あの犬飼監督が頭下げたんだぞ? 伝説に残る撮影だろ、これ」
巨匠クラスの人間が高校生の2人に負かされる⋯⋯今日はそんな1日だったのかもしれない。
「そんな2人に争奪されてる君の心情はお察しするよ。俺なら絶対に嫌だね」
こわやこわや、と山梨さんは肩をすくめる。
この野郎、他人事だと思って⋯⋯。
「そうだ、ショー君。君、学校終わるのは何時くらい?」
「え? えっと、大体16時ですね⋯⋯帰宅部なんで」
唐突に訊かれたので、素で答えてしまった。
「よし! じゃあ、学校終わってから俺のスタッフとして撮影に参加してくれよ。バイト代出すから」
「はあ!? なんでですか!」
「え、だって面白いから」
「ふざけないでください。嫌ですよ、俺は」
「そうか? じゃあ、自分の見ず知らずのところで2人のバトルが勝手に進んでていいんだ?」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
それは、確かに困る⋯⋯。
昨日の電話みたいに勝手に話を進んでて当事者の俺が何も知らないというのは、好ましくない。
玲華がいなくなった後、そう言って背後からニョキっと現れたのは、若手イケメン俳優の山梨陽介さんだった。
とても笑顔だった。
「うぇ!? 山梨さん、盗み聞きはタチが悪いですよ⋯⋯」
「いやぁ、悪い悪い。俺の荷物置き場がそこの裏だったもんでね、ついつい聞いてしまったよ」
くそ⋯⋯もっと離れて話せばよかった。
「彼女達が"優菜"と"沙織"なら、君が"達也"なわけだな?」
「うぐ⋯⋯」
ぐうの音も出ない。
そう⋯⋯彼らが演じる映画のストーリーと、俺の置かれている立場は極めて酷似しているのだ。さっき台本を読んでいて、これは何の冗談なんだと頭を抱えたくなった。
「映画の脚本では"優菜"が勝つけど、実際はどうなるだろうな?」
完全に他人事で、楽しそうだった。
俺も他人事であれば、さぞ楽しい事だっただろう。
「いやー、言っとくけど、"達也"はつらいぞ? 2人に振り回されっぱなしで悩み悩んで、気持ちもぐらぐらぐらぐら。それを表現するのに俺も悩んでるんだけど、ここにいい手本があったわ」
「勝手に人を手本にせんでください⋯⋯」
うんざりとした。
台本をさらっと読んだが、達也のコウモリっぷりにはイライラしたものだ。ただ、よくよく思い返せば、そのコウモリがまさしく自分にも当てはまるのだから、きっと自分を見ているようでイライラしたのだろう。
「にしても、犬飼監督に真正面からぶつかったREIKAちゃんも化け物だけど、RINちゃんもすごいよなー。あの犬飼監督が頭下げたんだぞ? 伝説に残る撮影だろ、これ」
巨匠クラスの人間が高校生の2人に負かされる⋯⋯今日はそんな1日だったのかもしれない。
「そんな2人に争奪されてる君の心情はお察しするよ。俺なら絶対に嫌だね」
こわやこわや、と山梨さんは肩をすくめる。
この野郎、他人事だと思って⋯⋯。
「そうだ、ショー君。君、学校終わるのは何時くらい?」
「え? えっと、大体16時ですね⋯⋯帰宅部なんで」
唐突に訊かれたので、素で答えてしまった。
「よし! じゃあ、学校終わってから俺のスタッフとして撮影に参加してくれよ。バイト代出すから」
「はあ!? なんでですか!」
「え、だって面白いから」
「ふざけないでください。嫌ですよ、俺は」
「そうか? じゃあ、自分の見ず知らずのところで2人のバトルが勝手に進んでていいんだ?」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
それは、確かに困る⋯⋯。
昨日の電話みたいに勝手に話を進んでて当事者の俺が何も知らないというのは、好ましくない。
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