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第3章 大切なもの
玲華の狙い③
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「あの子って、豪プロのサヤカちゃんだよね? サヤカちゃんって女優志望だっけ?」
凛が遠巻きに叱られている女の子を見て、小さな声で言う。
豪プロってなんだ? と思っていると、有名なプロダクションの名前だと補足してくれた。
「前に一緒に仕事した時に少し話したんだけどさ、あの時は歌手やりたいって言ってた」
「あー⋯⋯実はそれには裏の事情があってね。聞きたい?」
「え、聞きたい聞きたい!」
凛と玲華がサヤカちゃんとやらについて何やら楽しそうに話している。
そんな二人が話しているのを見て、俺は『うわ、なんかすげー芸能人同士の会話って感じがする』などと勝手に思っていた。
俺全然ついていけてない。ていうか、やっぱりこの二人が仲良くしているのに違和感しかない。こいつらまじで何があったんだよ。
「あんまり大きな声じゃ言えないんだけどさ、サヤカはスポンサーのご要望なんだって。"沙織"役のオーディションも出来レース。サヤカ本人が言ってたから間違いなし」
玲華が声を潜めて、そして楽しそうに話していた。おそらく誰かに話したくて堪らなかったのだろう。その説明を聞いて、凛は「あー、なるほど」と納得していた。ちなみに"沙織"とは、サヤカちゃんとやらが演じている女の子で、玲華演じる"優菜"のライバル役だ。
「えっと⋯⋯それっていいの?」
一般人の俺、思わず聞いてしまう。オーディションが出来レースって、オーディションの意味がないじゃないか。
「まあ、良いか悪いかでいうと悪いんだけど、よくある話だよ。映画作りには巨額な資金が必要だからね」
田中マネージャーが代わりに答えてくれた。
彼の話によると、映画作りは基本的にスポンサーからお金を集めて作られる事が多いという。特に、犬飼監督レベルの作品になると、安くても数千万ほど必要なのだそうだ。
スポンサーには、お金を持っているプロダクションもなることが多い。あとは想像するのも容易いが、出資するから自分のところの売り出したいタレントを使え、と言う要望を突きつけるのだという。
「マンガの実写映画とかで、明らかにその人選はないって配役見たことがあるだろう? それも、こういう大人の事情が絡んでるのさ」
「うわあ⋯⋯すっごい夢が壊れる話⋯⋯」
知らないほうが良かった。芸能界ってこわいんだな。
凛が遠巻きに叱られている女の子を見て、小さな声で言う。
豪プロってなんだ? と思っていると、有名なプロダクションの名前だと補足してくれた。
「前に一緒に仕事した時に少し話したんだけどさ、あの時は歌手やりたいって言ってた」
「あー⋯⋯実はそれには裏の事情があってね。聞きたい?」
「え、聞きたい聞きたい!」
凛と玲華がサヤカちゃんとやらについて何やら楽しそうに話している。
そんな二人が話しているのを見て、俺は『うわ、なんかすげー芸能人同士の会話って感じがする』などと勝手に思っていた。
俺全然ついていけてない。ていうか、やっぱりこの二人が仲良くしているのに違和感しかない。こいつらまじで何があったんだよ。
「あんまり大きな声じゃ言えないんだけどさ、サヤカはスポンサーのご要望なんだって。"沙織"役のオーディションも出来レース。サヤカ本人が言ってたから間違いなし」
玲華が声を潜めて、そして楽しそうに話していた。おそらく誰かに話したくて堪らなかったのだろう。その説明を聞いて、凛は「あー、なるほど」と納得していた。ちなみに"沙織"とは、サヤカちゃんとやらが演じている女の子で、玲華演じる"優菜"のライバル役だ。
「えっと⋯⋯それっていいの?」
一般人の俺、思わず聞いてしまう。オーディションが出来レースって、オーディションの意味がないじゃないか。
「まあ、良いか悪いかでいうと悪いんだけど、よくある話だよ。映画作りには巨額な資金が必要だからね」
田中マネージャーが代わりに答えてくれた。
彼の話によると、映画作りは基本的にスポンサーからお金を集めて作られる事が多いという。特に、犬飼監督レベルの作品になると、安くても数千万ほど必要なのだそうだ。
スポンサーには、お金を持っているプロダクションもなることが多い。あとは想像するのも容易いが、出資するから自分のところの売り出したいタレントを使え、と言う要望を突きつけるのだという。
「マンガの実写映画とかで、明らかにその人選はないって配役見たことがあるだろう? それも、こういう大人の事情が絡んでるのさ」
「うわあ⋯⋯すっごい夢が壊れる話⋯⋯」
知らないほうが良かった。芸能界ってこわいんだな。
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