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第2章 久瀬玲華
宣戦布告
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凛が模擬店の食べ物を何か食べたいと言ったので、中庭のほうに向かった。
火やガスを扱うような飲食系の出店は中庭に固まって出店されている。例外は家庭科室だが、あそこは調理部の占領下で、調理部のみ使用が許可されている。
中庭につくと、簡易ステージが見えてきた。
この簡易ステージでは、学校OBがバンド演奏をしたり、地方出身の漫才師が漫才をやっている。もちろん、名前なんて全く知らない無名な人達だ。
プログラムを見てみると、次はミスコンをやるらしい。
「そういえば凛ってミスコンでないの?」
「でないよ」
何言ってるの、と驚いたように言う。
「いや、だってうちの高校ってそんなミスとかミスターとか決めるほどのやついないし」
こんなの、ほぼ身内ノリのコンテストだ。友達に乗せられて出るような、お調子者が出る。ちなみにミスターの候補者の中には純哉がいた。見るからに乗せられやすいお調子者が身近にいたのをすっかり忘れていた。女子は誰が出るんだろうと思ってみていると、候補者なし⋯。
(まあ、そりゃそうか)
本気でミスコンになりたくてこんなのに自推で出るやつも痛いし、かといって他人から乗せられてまで出たくないであろうもの。大学のミスコンであれば、アナウンサーであったりと就職に役立つ場合も多いらしいが、田舎の高校のミスコンに選ばれたところで、自己満足にしかならない。特に、女子は色々確執や対立なども起きやすいことから、変に出るといじめの対象にもなりそうだ。
目立つ必要がない場合、無理に目立ちたいとは思わない。
もう、立候補者がいないならやめておけばいいのに⋯⋯。
そんなことを考えながらステージを見ていると、漫才師の漫才が終わった。
そして、司会の人にマイクが渡ってミスコンへとつなごうとした時、何やらステージ周辺がざわつき始めた。
そして、司会者も口を司会を中断して、口をパクパクさせている。確かあの司会者も在校生で、確か放送部の誰かだったように思うが⋯⋯どうしたのだとうか。
さらにざわつきが大きくなる。
「⋯⋯何かあったのかな?」
凛が目を細めてステージを見ている。
俺もよく見えないが⋯⋯しばらく見守ってくると、司会者がどうぞどうぞ、と招き入れるような動作を取る。
すると、1人の私服の女性がステージに上がってきた。司会者は仕事も忘れて、いきなり握手している。握手を終えてその女性が客席側を振り向く。
「⋯⋯⋯ッ!」
俺と凛はその姿を見て、絶句した。信じたくなかった。ここにいちゃいけない奴がそこにいたのだ。
「鳴那高のみなさん、ハーイ♪ 本日のシークレットゲスト・REIKAです!」
テレビのバラエティ番組で出るような〝本物〟の挨拶に、一斉に歓声に沸いた。その歓声を聞いた連中が何事かと校舎内から身を乗り出して中庭のステージを見る。
ぞろぞろと一気に中庭に人が集まってきた。
「きょ、今日偶然撮影で近くまで来ていたREIKAさんが遊びにきてくれましたー!」
司会が叫ぶように言う。もうプロレスの実況中継のようなテンションだ。
まるで真夏のフェスのような大歓声が起きている。鳴那高始まって以来の盛り上がり具合ではないかというような状況。
そりゃそうだ。今やテレビCMでも出ているような有名タレントがこんな田舎の学校まで来たのだ。盛り上がらないはずがない。
「REIKAさん、今日は一体どうしてこちらに!? シークレットと言っても、私共も何も聞いていないのですがッ」
司会が興奮気味に訊く。この司会にしてもこんな展開は予想していなかっただろうが、おそらく全人類が誰も予期していない事が起こっている。玲華はそういう女だった。
「うん、ほんとはただ遊びに来ていただけ。たまたま学園祭やってるって聞いたから」
その言葉を聞いて、悟った。
昨日俺がうっかり喋ってしまったからだ。しかし、だからといってくるか? そしてステージに上がるか?
と思ったが、玲華は面白いと思ったことはやるような女だ。一般常識の枠にとらわれてはいけなかった。
火やガスを扱うような飲食系の出店は中庭に固まって出店されている。例外は家庭科室だが、あそこは調理部の占領下で、調理部のみ使用が許可されている。
中庭につくと、簡易ステージが見えてきた。
この簡易ステージでは、学校OBがバンド演奏をしたり、地方出身の漫才師が漫才をやっている。もちろん、名前なんて全く知らない無名な人達だ。
プログラムを見てみると、次はミスコンをやるらしい。
「そういえば凛ってミスコンでないの?」
「でないよ」
何言ってるの、と驚いたように言う。
「いや、だってうちの高校ってそんなミスとかミスターとか決めるほどのやついないし」
こんなの、ほぼ身内ノリのコンテストだ。友達に乗せられて出るような、お調子者が出る。ちなみにミスターの候補者の中には純哉がいた。見るからに乗せられやすいお調子者が身近にいたのをすっかり忘れていた。女子は誰が出るんだろうと思ってみていると、候補者なし⋯。
(まあ、そりゃそうか)
本気でミスコンになりたくてこんなのに自推で出るやつも痛いし、かといって他人から乗せられてまで出たくないであろうもの。大学のミスコンであれば、アナウンサーであったりと就職に役立つ場合も多いらしいが、田舎の高校のミスコンに選ばれたところで、自己満足にしかならない。特に、女子は色々確執や対立なども起きやすいことから、変に出るといじめの対象にもなりそうだ。
目立つ必要がない場合、無理に目立ちたいとは思わない。
もう、立候補者がいないならやめておけばいいのに⋯⋯。
そんなことを考えながらステージを見ていると、漫才師の漫才が終わった。
そして、司会の人にマイクが渡ってミスコンへとつなごうとした時、何やらステージ周辺がざわつき始めた。
そして、司会者も口を司会を中断して、口をパクパクさせている。確かあの司会者も在校生で、確か放送部の誰かだったように思うが⋯⋯どうしたのだとうか。
さらにざわつきが大きくなる。
「⋯⋯何かあったのかな?」
凛が目を細めてステージを見ている。
俺もよく見えないが⋯⋯しばらく見守ってくると、司会者がどうぞどうぞ、と招き入れるような動作を取る。
すると、1人の私服の女性がステージに上がってきた。司会者は仕事も忘れて、いきなり握手している。握手を終えてその女性が客席側を振り向く。
「⋯⋯⋯ッ!」
俺と凛はその姿を見て、絶句した。信じたくなかった。ここにいちゃいけない奴がそこにいたのだ。
「鳴那高のみなさん、ハーイ♪ 本日のシークレットゲスト・REIKAです!」
テレビのバラエティ番組で出るような〝本物〟の挨拶に、一斉に歓声に沸いた。その歓声を聞いた連中が何事かと校舎内から身を乗り出して中庭のステージを見る。
ぞろぞろと一気に中庭に人が集まってきた。
「きょ、今日偶然撮影で近くまで来ていたREIKAさんが遊びにきてくれましたー!」
司会が叫ぶように言う。もうプロレスの実況中継のようなテンションだ。
まるで真夏のフェスのような大歓声が起きている。鳴那高始まって以来の盛り上がり具合ではないかというような状況。
そりゃそうだ。今やテレビCMでも出ているような有名タレントがこんな田舎の学校まで来たのだ。盛り上がらないはずがない。
「REIKAさん、今日は一体どうしてこちらに!? シークレットと言っても、私共も何も聞いていないのですがッ」
司会が興奮気味に訊く。この司会にしてもこんな展開は予想していなかっただろうが、おそらく全人類が誰も予期していない事が起こっている。玲華はそういう女だった。
「うん、ほんとはただ遊びに来ていただけ。たまたま学園祭やってるって聞いたから」
その言葉を聞いて、悟った。
昨日俺がうっかり喋ってしまったからだ。しかし、だからといってくるか? そしてステージに上がるか?
と思ったが、玲華は面白いと思ったことはやるような女だ。一般常識の枠にとらわれてはいけなかった。
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