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第1章 雨宮凛
もう一度あの場所で②
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「えっと……絶賛失踪中の人?」
「残念、外れ。もう失踪はしてないから──って、やっぱり私のこと知ってたの?」
彼女はまだ手を退けてくれない。でも、失踪はしていないという事は、もう話はまとまったという事だろうか。
「あの時は知らなかったよ。本当に。ただ、あれだけ騒がれたら気付くだろ」
「あははっ、確かに! 私もあんなに騒ぎになると思わなかったから」
可笑しそうに笑う声が耳に流れてくる。早く、早く彼女の顔が見たかった。
「で、そろそろ手退けてよ。雨宮凛さん」
「はい、正解」
彼女の華々しい声と共に視界は広がった。
慌てて振り返ると、そこには有名モデル・RIN……いや、雨宮凛が嬉しそうに笑っていた。
今日はキャップを深く被って黒いTシャツにジーンズと、前とは違って明らかに見つからない事を意識した服装だった。
「久しぶり」
「半世紀ぶり?」
意味もなくボケてみたのは、きっと照れ隠しだ。
「運命が私達を引き裂いたのね……」
「でもこうして再会できたよ」
「そうだねっ」
凛は嬉しそうに笑った。意味のない挨拶。それが繋がった、妙な達成感。彼女もそんなものを感じたのだろうか。
「隣、座っていい?」
「え、えっと……勿論」
どうも、と凛はキャップを外して並ぶ様に座る。
彼女の急な申し出に当惑を隠せない。やばい。緊張して話せない。この前はここまで緊張しなかったのに。
相手が有名モデルだからか、それともこの2週間求めていたからか……夢だか現実だかわからない。話す事は沢山あるはずなのに、思い浮かばなかった。
「この二週間、翔くんはどうしてた?」
凛から話を切り出した。
君を捜してた。なんて、勿論言えるはずがなかった。
「別に。学校行って、帰って、寝て、食って、友達と喋って⋯⋯それの繰り返しだったよ」
「ふぅん」
凛は目を細めて笑っていた。
「良いと思うよ、そういうの」
「そうかな。皆こんなんだと思うよ、この町は。やることないし」
「んー、私はそういうの憧れてたけどね」
過去形? どういうことだろうか。有名モデルには縁のない生活なのかもしれない。
「凛は?」
「私? 私はバタバタしてたかな。事務所や色んなとこ謝りに行ったり、手続きで行ったり来たり」
「大変そうだな」
「もー、そんな他人事に言うけどさ、ほんっっとに大変だったんだから! あんなに怒られまくるとは思わなかったなー」
彼女は口を尖らせて冗談っぽく言ったが、おそらく本当に大変だったのだろう。言った後に深い溜息を吐いていた。
「でも、私が選んだことだから……最後はちゃんとしないとね」
「……俺のせいか?」
気になって訊いてみた。この二週間、ずっと気にかかっていた事だ。
「違うよ。私が選んだの」
「俺が一人の芸能人の未来奪ったとかシャレになんねーぞ」
「だから違うってば。そこまで私は他人任せで自分の人生を決めない。ちゃんと自分で考えて、自分の納得のいく理由を見出せたから辞めたの。そういう意味でも、翔くんには感謝してるよ」
それってやっぱ俺のせいなんじゃないか。いや、俺の考えを採用したっていうべきか。どちらもも似たような話だけれども。
「で、どうして凛はここに来たんだ?」
「残念、外れ。もう失踪はしてないから──って、やっぱり私のこと知ってたの?」
彼女はまだ手を退けてくれない。でも、失踪はしていないという事は、もう話はまとまったという事だろうか。
「あの時は知らなかったよ。本当に。ただ、あれだけ騒がれたら気付くだろ」
「あははっ、確かに! 私もあんなに騒ぎになると思わなかったから」
可笑しそうに笑う声が耳に流れてくる。早く、早く彼女の顔が見たかった。
「で、そろそろ手退けてよ。雨宮凛さん」
「はい、正解」
彼女の華々しい声と共に視界は広がった。
慌てて振り返ると、そこには有名モデル・RIN……いや、雨宮凛が嬉しそうに笑っていた。
今日はキャップを深く被って黒いTシャツにジーンズと、前とは違って明らかに見つからない事を意識した服装だった。
「久しぶり」
「半世紀ぶり?」
意味もなくボケてみたのは、きっと照れ隠しだ。
「運命が私達を引き裂いたのね……」
「でもこうして再会できたよ」
「そうだねっ」
凛は嬉しそうに笑った。意味のない挨拶。それが繋がった、妙な達成感。彼女もそんなものを感じたのだろうか。
「隣、座っていい?」
「え、えっと……勿論」
どうも、と凛はキャップを外して並ぶ様に座る。
彼女の急な申し出に当惑を隠せない。やばい。緊張して話せない。この前はここまで緊張しなかったのに。
相手が有名モデルだからか、それともこの2週間求めていたからか……夢だか現実だかわからない。話す事は沢山あるはずなのに、思い浮かばなかった。
「この二週間、翔くんはどうしてた?」
凛から話を切り出した。
君を捜してた。なんて、勿論言えるはずがなかった。
「別に。学校行って、帰って、寝て、食って、友達と喋って⋯⋯それの繰り返しだったよ」
「ふぅん」
凛は目を細めて笑っていた。
「良いと思うよ、そういうの」
「そうかな。皆こんなんだと思うよ、この町は。やることないし」
「んー、私はそういうの憧れてたけどね」
過去形? どういうことだろうか。有名モデルには縁のない生活なのかもしれない。
「凛は?」
「私? 私はバタバタしてたかな。事務所や色んなとこ謝りに行ったり、手続きで行ったり来たり」
「大変そうだな」
「もー、そんな他人事に言うけどさ、ほんっっとに大変だったんだから! あんなに怒られまくるとは思わなかったなー」
彼女は口を尖らせて冗談っぽく言ったが、おそらく本当に大変だったのだろう。言った後に深い溜息を吐いていた。
「でも、私が選んだことだから……最後はちゃんとしないとね」
「……俺のせいか?」
気になって訊いてみた。この二週間、ずっと気にかかっていた事だ。
「違うよ。私が選んだの」
「俺が一人の芸能人の未来奪ったとかシャレになんねーぞ」
「だから違うってば。そこまで私は他人任せで自分の人生を決めない。ちゃんと自分で考えて、自分の納得のいく理由を見出せたから辞めたの。そういう意味でも、翔くんには感謝してるよ」
それってやっぱ俺のせいなんじゃないか。いや、俺の考えを採用したっていうべきか。どちらもも似たような話だけれども。
「で、どうして凛はここに来たんだ?」
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