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2 放課後は独り占め
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悶々としながらお風呂に入り、緊張気味にLINEを送った。
電話がかかってくる。
「も、しもし」
『こんばんは。お疲れさま』
「体調平気ですか?」
『うん、ようやく調子が戻ってきたところ。せっかくの日曜日だったのに、もったいないことしちゃった』
春馬さんにとって休日とは、心ゆくまで腐男子活動ができるときなのだ。
「きょうは何か読みました?」
『うん。たまにはむかし気に入ってた作品を読もうかなと思って、色々見てた』
「たとえば?」
『放課後は独り占め』
「ゴホッ!」
思わずむせた。
いや、『放課後は独り占め』って……いま最も読んじゃダメな作品では?
なぜダメかというと、俺たちと状況が似すぎているのだ。
ネットで知り合った友達に会いに行ってみたら、まさかの先生。
そして秘密の関係が始まる。
……その後ふたりはすぐヤっちゃうので、そこは俺たちとは全然違うけど。
『大丈夫?』
「ゴホ……すいません。完全に動揺しました」
正直に言ったら、春馬さんは控えめにクスクスと笑った。
『攻めのモラルのなさが好きなんだよね。BLをBLたらしめている感じ』
「あー、言いたいことは分かります。でも、じゃあ完全にファンタジーエロかって言ったら、案外そうでもないんですよね」
『そうそう。行動に一貫性もあるし、さほど現実離れもしていない。ただ、こんな人が職員室にいたら困っちゃうなとは思うけど』
あとで読もう。
ていうか、先生×生徒ものを総おさらいして、行き場のない萌えを消化しよう。
そう心の中で決意していたら、春馬さんが、まじめな声で言った。
『高野くん。あのね、僕、真剣に考えたんだけど。やっぱり会えないかな?』
「えっ?」
『人生は1回しかないのに、思った通りにしないなんてもったいないなって思って。本当に、仕事辞めてもいいかなと思う』
いや、え? その発言は別に萌えないです。
普通にやばいでしょ。
「春馬さん、先生は辞めないでください」
『うーん、でも、気の合う友達ができる方が僕の人生にとって重要』
どうしたらこの人を止められる……?
と考えたときに、ふいっと、恭平の顔が浮かんだ。
ええい、こうなったら強硬手段だ。
「俺、川上先生に会うのだけが学校の楽しみなんです。だから先生辞めないで」
『え?』
「川上先生がいなかったら本当、学校行く意味ないです。最近俺、先生の顔見るためだけに学校行ってるんですよ」
『でも』
「俺きょう1日考えてたこと言いますから。だから先生はやめないでください」
俺は、すうっと深呼吸をして言った。
「俺も、会って話したいなって思いました。漫画のこと語り合いたいのもそうですけど、普通に春馬さんのこともっと知りたいなって思って。だからきょうは、本当は、駄々こねようと思ってたんです。きのうはあんなこと言ったけど、ほんとは会って遊びたいって。それなのに、春馬さんの方がヤケ酒飲んで仕事辞めるとか言い出すから、びっくりしちゃいました。辞めなくていいですから、内緒で普通に会ってくれませんか?」
何も返事がない。
答えをじっと待っていたら、春馬さんは、静かに切り出した。
『いや……びっくりした。そんな風に考えてくれてたなんて。ごめんね、完全に僕の片思いかなと思ってた』
「か、かた……!?」
『うん。友達になりたいと思ってるの、僕だけかなって』
「あ、友達ね、あ、はい……いや、俺だって普通になりたいですよ」
なんだいまの! 片思いって!
録音しておけばよかった……。
絶望的にイチコロにされつつ、話の続きを聞く。
『来週の土日どちらかで、池袋行こう?』
「はい。土曜がバイト休みなんで、行きましょう」
正式に、腐男子仲間ができました。
相手は生物科の先生です。
ちなみに俺は、その人のことが好きです。
電話がかかってくる。
「も、しもし」
『こんばんは。お疲れさま』
「体調平気ですか?」
『うん、ようやく調子が戻ってきたところ。せっかくの日曜日だったのに、もったいないことしちゃった』
春馬さんにとって休日とは、心ゆくまで腐男子活動ができるときなのだ。
「きょうは何か読みました?」
『うん。たまにはむかし気に入ってた作品を読もうかなと思って、色々見てた』
「たとえば?」
『放課後は独り占め』
「ゴホッ!」
思わずむせた。
いや、『放課後は独り占め』って……いま最も読んじゃダメな作品では?
なぜダメかというと、俺たちと状況が似すぎているのだ。
ネットで知り合った友達に会いに行ってみたら、まさかの先生。
そして秘密の関係が始まる。
……その後ふたりはすぐヤっちゃうので、そこは俺たちとは全然違うけど。
『大丈夫?』
「ゴホ……すいません。完全に動揺しました」
正直に言ったら、春馬さんは控えめにクスクスと笑った。
『攻めのモラルのなさが好きなんだよね。BLをBLたらしめている感じ』
「あー、言いたいことは分かります。でも、じゃあ完全にファンタジーエロかって言ったら、案外そうでもないんですよね」
『そうそう。行動に一貫性もあるし、さほど現実離れもしていない。ただ、こんな人が職員室にいたら困っちゃうなとは思うけど』
あとで読もう。
ていうか、先生×生徒ものを総おさらいして、行き場のない萌えを消化しよう。
そう心の中で決意していたら、春馬さんが、まじめな声で言った。
『高野くん。あのね、僕、真剣に考えたんだけど。やっぱり会えないかな?』
「えっ?」
『人生は1回しかないのに、思った通りにしないなんてもったいないなって思って。本当に、仕事辞めてもいいかなと思う』
いや、え? その発言は別に萌えないです。
普通にやばいでしょ。
「春馬さん、先生は辞めないでください」
『うーん、でも、気の合う友達ができる方が僕の人生にとって重要』
どうしたらこの人を止められる……?
と考えたときに、ふいっと、恭平の顔が浮かんだ。
ええい、こうなったら強硬手段だ。
「俺、川上先生に会うのだけが学校の楽しみなんです。だから先生辞めないで」
『え?』
「川上先生がいなかったら本当、学校行く意味ないです。最近俺、先生の顔見るためだけに学校行ってるんですよ」
『でも』
「俺きょう1日考えてたこと言いますから。だから先生はやめないでください」
俺は、すうっと深呼吸をして言った。
「俺も、会って話したいなって思いました。漫画のこと語り合いたいのもそうですけど、普通に春馬さんのこともっと知りたいなって思って。だからきょうは、本当は、駄々こねようと思ってたんです。きのうはあんなこと言ったけど、ほんとは会って遊びたいって。それなのに、春馬さんの方がヤケ酒飲んで仕事辞めるとか言い出すから、びっくりしちゃいました。辞めなくていいですから、内緒で普通に会ってくれませんか?」
何も返事がない。
答えをじっと待っていたら、春馬さんは、静かに切り出した。
『いや……びっくりした。そんな風に考えてくれてたなんて。ごめんね、完全に僕の片思いかなと思ってた』
「か、かた……!?」
『うん。友達になりたいと思ってるの、僕だけかなって』
「あ、友達ね、あ、はい……いや、俺だって普通になりたいですよ」
なんだいまの! 片思いって!
録音しておけばよかった……。
絶望的にイチコロにされつつ、話の続きを聞く。
『来週の土日どちらかで、池袋行こう?』
「はい。土曜がバイト休みなんで、行きましょう」
正式に、腐男子仲間ができました。
相手は生物科の先生です。
ちなみに俺は、その人のことが好きです。
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