先生は腐男子仲間!

御堂どーな

文字の大きさ
11 / 72
2 放課後は独り占め

2-4

しおりを挟む
 悶々としながらお風呂に入り、緊張気味にLINEを送った。
 電話がかかってくる。

「も、しもし」
『こんばんは。お疲れさま』
「体調平気ですか?」
『うん、ようやく調子が戻ってきたところ。せっかくの日曜日だったのに、もったいないことしちゃった』

 春馬さんにとって休日とは、心ゆくまで腐男子活動ができるときなのだ。

「きょうは何か読みました?」
『うん。たまにはむかし気に入ってた作品を読もうかなと思って、色々見てた』
「たとえば?」
『放課後は独り占め』
「ゴホッ!」

 思わずむせた。
 いや、『放課後は独り占め』って……いま最も読んじゃダメな作品では?

 なぜダメかというと、俺たちと状況が似すぎているのだ。
 ネットで知り合った友達に会いに行ってみたら、まさかの先生。
 そして秘密の関係が始まる。
 ……その後ふたりはすぐヤっちゃうので、そこは俺たちとは全然違うけど。

『大丈夫?』
「ゴホ……すいません。完全に動揺しました」

 正直に言ったら、春馬さんは控えめにクスクスと笑った。

『攻めのモラルのなさが好きなんだよね。BLをBLたらしめている感じ』
「あー、言いたいことは分かります。でも、じゃあ完全にファンタジーエロかって言ったら、案外そうでもないんですよね」
『そうそう。行動に一貫性もあるし、さほど現実離れもしていない。ただ、こんな人が職員室にいたら困っちゃうなとは思うけど』

 あとで読もう。
 ていうか、先生×生徒ものを総おさらいして、行き場のない萌えを消化しよう。

 そう心の中で決意していたら、春馬さんが、まじめな声で言った。

『高野くん。あのね、僕、真剣に考えたんだけど。やっぱり会えないかな?』
「えっ?」
『人生は1回しかないのに、思った通りにしないなんてもったいないなって思って。本当に、仕事辞めてもいいかなと思う』

 いや、え? その発言は別に萌えないです。
 普通にやばいでしょ。

「春馬さん、先生は辞めないでください」
『うーん、でも、気の合う友達ができる方が僕の人生にとって重要』

 どうしたらこの人を止められる……?
 と考えたときに、ふいっと、恭平の顔が浮かんだ。
 ええい、こうなったら強硬手段だ。

「俺、川上先生に会うのだけが学校の楽しみなんです。だから先生辞めないで」
『え?』
「川上先生がいなかったら本当、学校行く意味ないです。最近俺、先生の顔見るためだけに学校行ってるんですよ」
『でも』
「俺きょう1日考えてたこと言いますから。だから先生はやめないでください」

 俺は、すうっと深呼吸をして言った。

「俺も、会って話したいなって思いました。漫画のこと語り合いたいのもそうですけど、普通に春馬さんのこともっと知りたいなって思って。だからきょうは、本当は、駄々こねようと思ってたんです。きのうはあんなこと言ったけど、ほんとは会って遊びたいって。それなのに、春馬さんの方がヤケ酒飲んで仕事辞めるとか言い出すから、びっくりしちゃいました。辞めなくていいですから、内緒で普通に会ってくれませんか?」

 何も返事がない。
 答えをじっと待っていたら、春馬さんは、静かに切り出した。

『いや……びっくりした。そんな風に考えてくれてたなんて。ごめんね、完全に僕の片思いかなと思ってた』
「か、かた……!?」
『うん。友達になりたいと思ってるの、僕だけかなって』
「あ、友達ね、あ、はい……いや、俺だって普通になりたいですよ」

 なんだいまの! 片思いって!
 録音しておけばよかった……。
 絶望的にイチコロにされつつ、話の続きを聞く。

『来週の土日どちらかで、池袋行こう?』
「はい。土曜がバイト休みなんで、行きましょう」

 正式に、腐男子仲間ができました。
 相手は生物科の先生です。
 ちなみに俺は、その人のことが好きです。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい
BL
 若くして王となった幼馴染のリューラと公爵令息として生まれた頃からチヤホヤされ、神童とも言われて調子に乗っていたサライド。  昔は泣き虫で気弱だったリューラだが、いつの間にか顔も性格も身体つきも政治手腕も剣の腕も……何もかも完璧で、手の届かない眩しい存在になっていた。  年下でもあるリューラに何一つ敵わず、不貞腐れていたサライド。  リューラが国民から愛され、称賛される度にサライドは少し憎らしく思っていた。  

処理中です...