頭が堅くて何が悪いっ

御堂どーな

文字の大きさ
上 下
57 / 69
12委員長の資質

12-2

しおりを挟む
 目を覚ますと、僕はきっちり羽毛布団をかけられ、寝かされていた。
 服は……着ていない。
 隣には裸のままの佑哉がいて、こちらに背を向けていた。
 壁掛け時計は17:30を指していて、軽く1時間は寝ていたと思われる。

「ゆ、ゆうや……」

 とんでもなく恥ずかしく思いながら呼ぶと、佑哉はいじっていたスマホをベッドサイドに置き、くるりとこちらに向いた。

「おはようございます。無理させちゃってごめんなさい」
「いや……こちらこそ、っていうか、なんか、その……」

 言い淀んでいると、佑哉はほのぼのとした笑顔で頭をなでてきた。

「なんであんな可愛い事態になってたんですか?」
「ぅ……帰り道に、急に……そういう気分になっちゃって。ていうか、あれ? 佑哉きょう、仕事じゃなかった?」

「あ、インフルがふたり出ちゃって。うつったらヤバイから中止になったんですよ。いやあ、玄関開けたら奥から可愛い声が聞こえて、どうしようかと思いましたけど」

 なんで、なんであんなこと……しかもタイミング悪く見られちゃうし……。
 軽く後悔していると、佑哉が頬擦りしてきた。

「急にムラムラしてきちゃったんだ。可愛い」
「はずかしいよ」
「俺はいいもの見られてラッキーでしたけど」

 なんでこんなことになったのかを、言った方がいいのか言わなくてもいいのか……。
 いや、付き合ってる相手を差し置いてひとりでするなんて、不快に思われたって不思議はない行為なのだから、ちゃんと説明しないと。

「あの、あのね、佑哉」
「なんですか?」
「その、なんでひとりでしちゃったのか、一応説明した方がいいかなって」
「え、聞きたい聞きたい」

「下校中、目の前に1年の男子が4人で歩いてて、なんかセックスしてみたい的な話してて。それだけだったら別に、男の妄想だし何とも思わなかったんだけど……、その……内容が、『もし俺が葛城くらいイケメンだった何々する』みたいな」

 自分で言ってて馬鹿らしくなってきた。

「それが結構過激で、絶対佑哉がしなさそうなことばっかり言うから」
「え? 他人の妄想聞いてその気になっちゃったんですか?」
「…………」

 絶対真っ赤になってる。
 恥ずかしくて泣きそうになっていると、佑哉は片肘をついて半身を起こし、僕の顔を覗き込んだ。

「しなさそうなことって? 例えば?」
「縛るとか。イケメンだったら許されるだろみたいな暴論と共に」
「あはは、軽く縛っちゃったけどね」
「いや、なんかもっとこう、ハードな感じで、全身縛り付けちゃって身動き取れなくするみたいな」
「ふーん?」
「それで、筆で乳首とかなぞっていじめるとか」
「なるほど?」
「そしたらちょっと勃ってきちゃって……」

 もうこれ以上は言いたくない。
 そっと布団の中にもぐっていくと、佑哉は優しい声で言った。

「楽しそうだし、今度やってみます? 痛くなくてエロい結び方とか調べますよ」
「えっ? いや、いい。いい。やんない」
「筆とか全く思いつかなかったし。すごいなー、みんなどこでそういう情報仕入れてくるんだろ」
「童貞の妄想の力だと思うよ。我が校の弊害だよね。交際禁止の結果、欲求不満があられもない想像に……」

 目から上だけを出す僕の頭を、佑哉はもふもふとなでた。

「先輩オリジナルの妄想も叶えてあげますから、何でもリクエストしてください」

 し、しない……。リクエストなんて。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

おやすみ前にホットミルクを(ショートショート)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:874pt お気に入り:0

魔女のおやつ 〜もふもふな異世界で恋をしてお菓子を作る〜

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,607pt お気に入り:52

【完結】【R18BL】学年二位は、学年一位の命令を聞く

BL / 完結 24h.ポイント:14,123pt お気に入り:583

腹黒伯爵の甘く淫らな策謀

恋愛 / 完結 24h.ポイント:156pt お気に入り:2,847

処理中です...