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12委員長の資質
12-2
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目を覚ますと、僕はきっちり羽毛布団をかけられ、寝かされていた。
服は……着ていない。
隣には裸のままの佑哉がいて、こちらに背を向けていた。
壁掛け時計は17:30を指していて、軽く1時間は寝ていたと思われる。
「ゆ、ゆうや……」
とんでもなく恥ずかしく思いながら呼ぶと、佑哉はいじっていたスマホをベッドサイドに置き、くるりとこちらに向いた。
「おはようございます。無理させちゃってごめんなさい」
「いや……こちらこそ、っていうか、なんか、その……」
言い淀んでいると、佑哉はほのぼのとした笑顔で頭をなでてきた。
「なんであんな可愛い事態になってたんですか?」
「ぅ……帰り道に、急に……そういう気分になっちゃって。ていうか、あれ? 佑哉きょう、仕事じゃなかった?」
「あ、インフルがふたり出ちゃって。うつったらヤバイから中止になったんですよ。いやあ、玄関開けたら奥から可愛い声が聞こえて、どうしようかと思いましたけど」
なんで、なんであんなこと……しかもタイミング悪く見られちゃうし……。
軽く後悔していると、佑哉が頬擦りしてきた。
「急にムラムラしてきちゃったんだ。可愛い」
「はずかしいよ」
「俺はいいもの見られてラッキーでしたけど」
なんでこんなことになったのかを、言った方がいいのか言わなくてもいいのか……。
いや、付き合ってる相手を差し置いてひとりでするなんて、不快に思われたって不思議はない行為なのだから、ちゃんと説明しないと。
「あの、あのね、佑哉」
「なんですか?」
「その、なんでひとりでしちゃったのか、一応説明した方がいいかなって」
「え、聞きたい聞きたい」
「下校中、目の前に1年の男子が4人で歩いてて、なんかセックスしてみたい的な話してて。それだけだったら別に、男の妄想だし何とも思わなかったんだけど……、その……内容が、『もし俺が葛城くらいイケメンだった何々する』みたいな」
自分で言ってて馬鹿らしくなってきた。
「それが結構過激で、絶対佑哉がしなさそうなことばっかり言うから」
「え? 他人の妄想聞いてその気になっちゃったんですか?」
「…………」
絶対真っ赤になってる。
恥ずかしくて泣きそうになっていると、佑哉は片肘をついて半身を起こし、僕の顔を覗き込んだ。
「しなさそうなことって? 例えば?」
「縛るとか。イケメンだったら許されるだろみたいな暴論と共に」
「あはは、軽く縛っちゃったけどね」
「いや、なんかもっとこう、ハードな感じで、全身縛り付けちゃって身動き取れなくするみたいな」
「ふーん?」
「それで、筆で乳首とかなぞっていじめるとか」
「なるほど?」
「そしたらちょっと勃ってきちゃって……」
もうこれ以上は言いたくない。
そっと布団の中にもぐっていくと、佑哉は優しい声で言った。
「楽しそうだし、今度やってみます? 痛くなくてエロい結び方とか調べますよ」
「えっ? いや、いい。いい。やんない」
「筆とか全く思いつかなかったし。すごいなー、みんなどこでそういう情報仕入れてくるんだろ」
「童貞の妄想の力だと思うよ。我が校の弊害だよね。交際禁止の結果、欲求不満があられもない想像に……」
目から上だけを出す僕の頭を、佑哉はもふもふとなでた。
「先輩オリジナルの妄想も叶えてあげますから、何でもリクエストしてください」
し、しない……。リクエストなんて。
服は……着ていない。
隣には裸のままの佑哉がいて、こちらに背を向けていた。
壁掛け時計は17:30を指していて、軽く1時間は寝ていたと思われる。
「ゆ、ゆうや……」
とんでもなく恥ずかしく思いながら呼ぶと、佑哉はいじっていたスマホをベッドサイドに置き、くるりとこちらに向いた。
「おはようございます。無理させちゃってごめんなさい」
「いや……こちらこそ、っていうか、なんか、その……」
言い淀んでいると、佑哉はほのぼのとした笑顔で頭をなでてきた。
「なんであんな可愛い事態になってたんですか?」
「ぅ……帰り道に、急に……そういう気分になっちゃって。ていうか、あれ? 佑哉きょう、仕事じゃなかった?」
「あ、インフルがふたり出ちゃって。うつったらヤバイから中止になったんですよ。いやあ、玄関開けたら奥から可愛い声が聞こえて、どうしようかと思いましたけど」
なんで、なんであんなこと……しかもタイミング悪く見られちゃうし……。
軽く後悔していると、佑哉が頬擦りしてきた。
「急にムラムラしてきちゃったんだ。可愛い」
「はずかしいよ」
「俺はいいもの見られてラッキーでしたけど」
なんでこんなことになったのかを、言った方がいいのか言わなくてもいいのか……。
いや、付き合ってる相手を差し置いてひとりでするなんて、不快に思われたって不思議はない行為なのだから、ちゃんと説明しないと。
「あの、あのね、佑哉」
「なんですか?」
「その、なんでひとりでしちゃったのか、一応説明した方がいいかなって」
「え、聞きたい聞きたい」
「下校中、目の前に1年の男子が4人で歩いてて、なんかセックスしてみたい的な話してて。それだけだったら別に、男の妄想だし何とも思わなかったんだけど……、その……内容が、『もし俺が葛城くらいイケメンだった何々する』みたいな」
自分で言ってて馬鹿らしくなってきた。
「それが結構過激で、絶対佑哉がしなさそうなことばっかり言うから」
「え? 他人の妄想聞いてその気になっちゃったんですか?」
「…………」
絶対真っ赤になってる。
恥ずかしくて泣きそうになっていると、佑哉は片肘をついて半身を起こし、僕の顔を覗き込んだ。
「しなさそうなことって? 例えば?」
「縛るとか。イケメンだったら許されるだろみたいな暴論と共に」
「あはは、軽く縛っちゃったけどね」
「いや、なんかもっとこう、ハードな感じで、全身縛り付けちゃって身動き取れなくするみたいな」
「ふーん?」
「それで、筆で乳首とかなぞっていじめるとか」
「なるほど?」
「そしたらちょっと勃ってきちゃって……」
もうこれ以上は言いたくない。
そっと布団の中にもぐっていくと、佑哉は優しい声で言った。
「楽しそうだし、今度やってみます? 痛くなくてエロい結び方とか調べますよ」
「えっ? いや、いい。いい。やんない」
「筆とか全く思いつかなかったし。すごいなー、みんなどこでそういう情報仕入れてくるんだろ」
「童貞の妄想の力だと思うよ。我が校の弊害だよね。交際禁止の結果、欲求不満があられもない想像に……」
目から上だけを出す僕の頭を、佑哉はもふもふとなでた。
「先輩オリジナルの妄想も叶えてあげますから、何でもリクエストしてください」
し、しない……。リクエストなんて。
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