魔王でした。自分を殺した勇者な婚約者などお断りです。

一零

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勇者の子孫なんかお断り!8歳

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リヨネッタ8歳

 スティーブ王子からの鬱陶しいほどに手紙が届くようになった。内容は挨拶と一言だけのシンプルなものだが数が多い。2日に1回でまし、酷いと1日に2.3通届く。

「新手の嫌がらせか!!妾は筆豆になりたくない!!」

 リヨネッタは怒りながらも律儀に返事を簡素に返す。勇者の子孫に負けた気分になりたくないからだ。
 頻繁にお茶会でも顔を合わせるようになったのに、会えば挨拶と一言だけ添えた手紙に返事をよこせと催促され、少しうんざりもしていた。周囲の人間は婚約者と交流をとることに歓迎の雰囲気でとめてくれそうもなかった。

ある日―

 不貞腐れた顔のリヨネッタは、珍しく好奇心をかきたてられる王子の手紙をもらった。

「カエル顔の宰相の息子…?ふむ、呪いの類いのようだな…体液が毒になってしまっていて、自身の毒で体調を崩しやすくなっている…魔法で誤魔化しているが皮膚は緑と紫のコントラストでとても人間にみえない…か…」

 彼女の中で魔王だった頃の記憶が蘇る。四天王で側近の1人にいたフローグというカエル魔物だ。
 醜く不気味な容姿に加え強力な毒液を吐くが、気弱で誰かのサポートをしたがる世話好きなやつだ。何よりもおやつにかじると良い声で泣いてくれて、甘辛い毒味と鳥の肉の触感が良いハーモニーとなっていてとても美味しい側近だった。

「妾が生まれ変わったのだから、あいつも生まれ変わっていても不思議ではないな。良い人をやっているらしいし、会ってみたいのぅ…」

 スティーブからは新しい友達ができたとして書かれていた。じゅるりと涎を飲み込んで、リヨネッタは手紙の返事に自分も友達になりたいから会わせてほしいと書いた。

 宰相は最初は王子の婚約者に醜いものは見せられないと拒絶してきた。しかし、リヨネッタは諦めずに両親に将来の為に交流したいと訴えかけた。
両親は謎の呪いがうつるかもしれないと、渋い顔をしていたがスティーブが毎日見舞いに行っていると書いた手紙をみせて、どうしても自分も友達になりたいと泣いてお願いした。

(ここまでお願いしてダメなら、最悪は宰相邸に忍び込んじゃろう。)

 邪なことを考え、うつむくリヨネッタに何を思ったのか母親が抱きしめてきた。父親は何かを納得しようと考えるようにうなっている。

「なんて優しい子なの…あなた、ここまでリヨネッタがお願いしているのだから叶えてあげましょう!!」
「ううむ…病弱ながらとても優秀な頭脳を持っている。呪いがとければ時期宰相は間違いない子だし、第一王子の友人ならリヨネッタに横恋慕することもない…か?これ以上私たちの天使が泣くのをみたくない…、だが…うーむ…」

(これはいけるな!!)

 ちょろすぎる両親にリヨネッタはほくそ笑んだ。水の魔法を使って更に目元に水を垂らしていけば、ウソ泣きの完成だ。

「お願い、お母さま、お父様!!」

 優しい天使どころが、魔王のお願いは受理された。
 反対されるかと思った祖父母は、コネを作ることは良いことだとあっさり許可して後押しをしてくれた。


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