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最終章〜終結。そして始まる

142話〜その技は危険にて・前編:改済

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 ここは南側の祭壇より西北西に位置する場所。

 ハクリュウとバルムは戦っていたが、祭壇の方の異変に気づき一旦休戦することにした。

 そうガインが未完成の能力を使おうとしていたからだ。

 そんな中タツキは、なぜかここに来ていた。そして全身傷だらけになり、尚且つ左腕を負傷し地面に座り込み苦痛の表情で祭壇の方をみている。

 そんなタツキのことをハクリュウは申し訳ないと思いながらみていた。

(あの時、自分では冷静さを保ってるって思ってたけど、今思うとそうじゃなかった。
 あとで……タツキさんにお詫びとお礼しないとな。でも、タツキさんて……まぁいいか、あとでにしよう。今はそれどころじゃないし、)

 そう思いハクリュウは南側の祭壇の方へと視線を向ける。


 なぜこうなったのか……時は、少し前に巻き戻り__


 __どう動くかお互いに牽制し合っていた。

 ハクリュウはバルムを鋭い眼光で睨みながら、いつでも腰の細身の剣を抜けるように右手を柄に添える。

 片やバルムは、バトルアックスを構え直すとハクリュウを見下すような目でみた。

 そんなバルムの態度に苛立ちハクリュウは、更に怒りを露わにする。だが、普段のハクリュウであればここまで感情を表に出すことはない。

 そうバルムが、死ぬかもしれない戦いを楽しんでいることと、自分を馬鹿にするような態度をとったからだ。

『どおしたっ! なぜ動かねぇ? まさか、ビビッてんじゃねぇだろうな』

 そう言いハクリュウを挑発する。

『……』

 ハクリュウは、一瞬その挑発に乗りそうになった。

(クッ、ここは抑えろ、アイツの挑発に乗るな。だけど、クソッ!!)

 だがそう言い聞かせ必死に堪える。

『フッ、何か言いたそうなツラしてるみてぇだが。まさか、言い返せねぇってわけじゃねぇよな?』

『ああ、そんなわけないだろっ!』

 そう言いながらハクリュウは、なんとか冷静さを保ちバルムとの目線を合わせたまま、どう仕掛けるかと思考を巡らせていた。

 バルムは、そんなハクリュウに対し徐々に苛立ち始める。

(クソッ、俺の言葉や態度には反応してるくせに、挑発に乗る気配がねぇ。かなり耐えてるみてぇだが。
 どうする? あっちから仕掛けてこねぇとなると動きづれぇ。だが、流石にこのままなんもしねぇのもなぁ)

 そう思いハクリュウとの間合いを詰めようと右足を一歩前へ踏み出す。

 それをみたハクリュウは、今だと思い右手を柄に添えたまま腰を低くし前かがみになると、バルム目掛け剣を抜こうとした。

 それを待ってたかのようにバルムは、前に出した右足を引っ込めバトルアックスを持ち直すと、右足で地面を思いっきりドンっと踏み鳴らす。

 それと同時に右足のブーツが緑に光、ハクリュウ目掛け地面から尖った岩が突きでる。

 ハクリュウは咄嗟に危険を察知し避けようとするが、間に合わないと思い細身の剣を即座に抜き突き出た尖った岩を斬りつけ砕いた。

『クソッ、避けきれないっ!』

 だがその砕かれた無数の岩の欠片がハクリュウを襲う。

 その時バルムは、いつの間にかハクリュウの目の前やや上にいてバトルアックスを振り下ろそうとしていた。

(な、なんで……このままじゃ。仕方ない、今更装備のレベルを上げられないし。こうなったら、シュウさんが得意だったあれをやるしかないか)

 瞬時にそう思うとハクリュウは、すかさず後ろに飛びバルムの攻撃を回避する。

 そして半径約十メートル以内の範囲に仲間がいないことを確認すると目を閉じ、力を抜いたままの状態で半身に構える。

 《奥義 壱の型 暁!!》

 そう言うと技を発動させた。

 それをみたバルムは、ハクリュウが何を考えているのか分からないため警戒する。

『それは、なんのつもりだっ! まるで、殺してくれって言ってるみてぇじゃねぇか。お前、俺を馬鹿にしてるのか?』

 そう言われるもハクリュウは、何も答えず体をだらんとしたままだ。

 バルムは無言のままのハクリュウに対し怒りを露わにする。


 一方タツキは、その様子を遠くながらみていた。

(おい、ハクリュウ!? まさか、あれをやるつもりじゃねぇだろうなっ!!)
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