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最終章〜終結。そして始まる
137話〜過去に残された書物②
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ここは北側の祭壇付近。
リッツは相変わらずオルドパルスの側で監視を続けていた。
その少し左前の方では、タツキが中庭全体を見回し様子を伺っている。
(だいぶ戦況が変わって来てるみたいだ。それにしても、南側の祭壇の方はユウだけじゃなくクレイまでもが向かって……!?
おいちょっと待て、遠くて微かにしかみえないが。あれって俺が途中まで書いた、この世界でも使えるようになる最強の能力。
見間違いじゃなきゃ、その武器の一部なんじゃ……。時計塔にないと思ったら、誰かがみつけ持ち出してたのか?)
そう思いいつになく真剣な表情になり考え込んだ。
(いったい誰があれをみつけ持ち出した? それに、なんでヤツらの手に渡ってるんだ。
……ん? そうかリッツなら、このことについてなんか知ってるかもな)
そう考えが纏まると立ち上がりリッツの方を向き歩き出した。
一方リッツは、オルドパルスの脇で監視をしながらタツキをみて何やら妄想しニヤけている。すると、鼻血が垂れポタリと落ちた。
それに気づき、ポケットから綺麗な布を取り持つと慌てて鼻血を拭きとる。
(ここ最近、変な妄想しなくなったから大丈夫だと思ってたけど。やっぱり、目の前に本人がいると無理っぽい。
タツキ、カッコ良すぎるからなぁ。……って、あれタツキこっちに向かって来てるどうしたんだろう? まさか、僕の気持ちに気づいて、)
リッツは胸の高鳴りを抑えきれず、立ち上がりタツキの方へと駆け寄った。
それをみたタツキは後退りする。
そうリッツが、なぜこの至近距離で駆け寄ってくるのかが分からなかった。それと、ゾワッとした何かを感じたからである。
「リッツ、なんで持ち場を離れたっ!」
「あっ! そうだった。ごめんなさい」
そう言いリッツは、慌ててオルドパルスの方を向いた。
二人の心配をよそにオルドパルスは、その場から離れずなぜか瞑想をしていた。
「まぁ、逃げる気がないみたいだからよかったけどな」
「ハハハ、そうですね……。そうだタツキ、急にこっちに来てどうしたの?」
少し期待しながらタツキをみつめる。
「ああ、そうだった。お前に、ある物について聞きたいことがあるんだが」
そう言われリッツは、ちょっとガッカリしたが聞きたいことってなんだろうと思った。
タツキは自分が残した書物について説明し始める。
__あの能力の名称は、具現化変換魔術という(タツキが命名)。
具現化変換魔術とは、詠唱して一瞬で違う武器と入れ替えることができる。
だが、その書物と設計図は未完成だった。いや、タツキだけの力では完成することができなかったのだ。
そのため、あとで当時の仲間と共に改めて完成させようと、時計塔に封印して置いたのである。__
「……そっか、あの能力ってタツキが書いた物だったんだね」
「ああ。オパールの元魔導師学園にある時計塔に隠して置いた。誰の目にも触れないように封印までしてな」
「そういえば二年前、その時計塔に行きましたよね。って、まさかそれを回収するため」
そう言われタツキは頷いた。
「だが、誰かが持ち出したあとだったがな」
その話を聞いていたオルドパルスは、閉じていた目をゆっくり開けながら話し始める。
「なるほど。あれを書かれたのが貴方さまということは、二百年前に召喚された方のお一人のようですね」
「そうだが、このことについて何か知っているようだな」
タツキがそう問うとオルドパルスは、コクリと頷いた。そしてその後、その経緯を話し始める。
リッツは相変わらずオルドパルスの側で監視を続けていた。
その少し左前の方では、タツキが中庭全体を見回し様子を伺っている。
(だいぶ戦況が変わって来てるみたいだ。それにしても、南側の祭壇の方はユウだけじゃなくクレイまでもが向かって……!?
おいちょっと待て、遠くて微かにしかみえないが。あれって俺が途中まで書いた、この世界でも使えるようになる最強の能力。
見間違いじゃなきゃ、その武器の一部なんじゃ……。時計塔にないと思ったら、誰かがみつけ持ち出してたのか?)
そう思いいつになく真剣な表情になり考え込んだ。
(いったい誰があれをみつけ持ち出した? それに、なんでヤツらの手に渡ってるんだ。
……ん? そうかリッツなら、このことについてなんか知ってるかもな)
そう考えが纏まると立ち上がりリッツの方を向き歩き出した。
一方リッツは、オルドパルスの脇で監視をしながらタツキをみて何やら妄想しニヤけている。すると、鼻血が垂れポタリと落ちた。
それに気づき、ポケットから綺麗な布を取り持つと慌てて鼻血を拭きとる。
(ここ最近、変な妄想しなくなったから大丈夫だと思ってたけど。やっぱり、目の前に本人がいると無理っぽい。
タツキ、カッコ良すぎるからなぁ。……って、あれタツキこっちに向かって来てるどうしたんだろう? まさか、僕の気持ちに気づいて、)
リッツは胸の高鳴りを抑えきれず、立ち上がりタツキの方へと駆け寄った。
それをみたタツキは後退りする。
そうリッツが、なぜこの至近距離で駆け寄ってくるのかが分からなかった。それと、ゾワッとした何かを感じたからである。
「リッツ、なんで持ち場を離れたっ!」
「あっ! そうだった。ごめんなさい」
そう言いリッツは、慌ててオルドパルスの方を向いた。
二人の心配をよそにオルドパルスは、その場から離れずなぜか瞑想をしていた。
「まぁ、逃げる気がないみたいだからよかったけどな」
「ハハハ、そうですね……。そうだタツキ、急にこっちに来てどうしたの?」
少し期待しながらタツキをみつめる。
「ああ、そうだった。お前に、ある物について聞きたいことがあるんだが」
そう言われリッツは、ちょっとガッカリしたが聞きたいことってなんだろうと思った。
タツキは自分が残した書物について説明し始める。
__あの能力の名称は、具現化変換魔術という(タツキが命名)。
具現化変換魔術とは、詠唱して一瞬で違う武器と入れ替えることができる。
だが、その書物と設計図は未完成だった。いや、タツキだけの力では完成することができなかったのだ。
そのため、あとで当時の仲間と共に改めて完成させようと、時計塔に封印して置いたのである。__
「……そっか、あの能力ってタツキが書いた物だったんだね」
「ああ。オパールの元魔導師学園にある時計塔に隠して置いた。誰の目にも触れないように封印までしてな」
「そういえば二年前、その時計塔に行きましたよね。って、まさかそれを回収するため」
そう言われタツキは頷いた。
「だが、誰かが持ち出したあとだったがな」
その話を聞いていたオルドパルスは、閉じていた目をゆっくり開けながら話し始める。
「なるほど。あれを書かれたのが貴方さまということは、二百年前に召喚された方のお一人のようですね」
「そうだが、このことについて何か知っているようだな」
タツキがそう問うとオルドパルスは、コクリと頷いた。そしてその後、その経緯を話し始める。
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